2002年03月14日 

参議院 総務委員会   議事録

地方自治法等の一部改正案 会議録 ホーム


○松井孝治君 

民主党・新緑風会の松井孝治でございます。九十分というお時間をいただきましたので、多少じっくりと質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、基本的に、せっかく、地方自治も、地方行政、総務省の行政にも通暁しておられる片山総務大臣、お忙しいところ、ずっと張り付いていただけるようですから、片山総務大臣に基本的に全部お尋ねをしたいと思います。

部分的には、私が申し上げた部分、政府委員に、局長さんから御説明いただく部分もあろうかと思います。特段申し上げない限り、総務大臣にお答えをいただきたいと思います。

   〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕

 まず最初に、この法案なんですけれども、審議の在り方は当然委員会の事項でございますが、この法案の内容というものを見ますと、住民訴訟制度のような非常に住民自治の根幹の部分、これはある意味ではじっくり議論をしなければいけない部分。

それと、政府が非常に政策的に推進しておられるような市町村合併、これは正に総務省さんでこの法案を日切れ扱いにしてほしいという要望を出されたという部分はそこにあるわけですが、そういうある意味では時間との争いになっているような部分がある。

 当然、地方分権であるとか住民自治という大きな目的のくくりでいえば、それは共通する事項はあるんですが、こういう改正内容の緊急性、あるいは制度的な問題、その内容において相当異質な部分を抱える法案を一本に束ねて、それを地方自治、住民、自治体合併の方を急ぐから、個別の事例があるからというような形で、非常に、日切れ扱いで審議してほしいというような方針というのは、やはり国会における審議の在り方、ここは大臣に御答弁いただくべきものではないかもしれませんが、それを踏まえて考えると、参議院議員である片山大臣でいらっしゃいますから、やはりこれも政治家として、あるいは以前には正に国会対策というものを束ねておられたお立場もあるわけですから、場合によってはそういう政治家としてのお考えも含めて、今回の法案、これを束ねてこういう扱いで審議されるということについて、行政の長という立場のみならず政治家としてのお考えも含めて、御見解を賜りたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 法案をどういう形で出すかというのはいろんなこれは考え方、議論があると思いますけれども、私も国対委員長やらせていただきまして、とにかく法案が多いものですから大変審議日程が窮屈になるもので、国対的な考え方で言うとできるだけ似たような法案はまとめてほしいと、こういうことになるんですね。

 それで、地方自治法の場合には、今まで地方制度調査会から御答申をいただいたものを制度化するというのが普通だったんですね。そこで今回も、第二十六次の地方制度調査会から御答申いただいたものがそのほとんどの内容になっていると。それ以外にも若干あるのかもしれませんが、そういうものを含めて法案をまとめさせていただいたので、今、松井委員が言われるように、何でも入っているじゃないかと、ややそういう感じはあると思いますけれども。

 いろいろ考えまして、私のところの方は、特に総務省は法案が多うございまして、三省庁が一緒になっておりますから、だからいつも国対からできるだけ法案をまとめて少なくしろと、こういうふうな御指摘もいただいておりますので、そういう万般のことを考えまして今回のこういう地方自治法等の一部改正に、市町村合併特例法の一部改正もやっておりますけれども、そういうことになったわけでございまして、大変苦しいところでございますので、御事情を御賢察の上、御理解を賜りたいと思います。

○松井孝治君

 余りこれを議論をしていても中身に入れませんので、今の御見解を賜ったということで、中身の議論をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、私の方は、市町村合併の部分から議論をさせていただきたいと思います。

 この合併推進に当たって、先ほどから森元議員も御質問をされました、午前中の一般質疑でも又市議員も御質問されましたけれども、住民投票制度の導入。

これは、昭和五十一年の地方制度調査会で答申がなされて、二十五年掛かってやっとこの住民投票制度というものが部分的に導入されたということだと思います。

その中身を見てみますと、先ほど来議論に一部出ていますように、住民投票制度の導入というのは合併協議会の設置に限定していると。しかも、その内容は合併推進のための一方向のものなんですね。

 これは森元議員が今お話をされましたけれども、住民の意思というのはいろんな意思があるわけですが、その一方向に限定して、しかも合併自身についての意思決定に直接かかわる部分ではなくて合併協議会の設置に限定していると、こういうことになっているわけですけれども、

これは一般の方々にはちょっと分かりにくいもので、何で合併について住民の民意を問わないのか、そうすれば賛成、反対、両方の議論がきちっとフェアに出るじゃないかというのが一般の方々の率直な思いじゃないかと思いますが。

 まあ二十五年掛かって、しかもこういう部分的に導入、しかもそれは合併の方向にのみ住民の意思が働くというような形で導入されたことについて、これは、私の見解はまた別に申し上げますけれども、

まずはその経緯とか趣旨、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、御説明いただけますでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 ちょっと経緯につきましては後ほど自治行政局長から答えていただきたいと思いますけれども、とにかく今、合併協議会の発議が百ぐらい出まして、実際、それが議会で異議ないと言われるのは二十七だっていうんですよね。

住民発議を、そういう仕組みを作って、それが全く生かされないで葬られるというのはいかがかなと。

 だから、住民発議として合併協議会を作るという発議は出たんですから、それが議会が嫌だと、あるいは議会がとにかく放置すると、こういう場合にはもう一遍住民投票で、協議会ですから、置くということを住民の判断に任したらどうだろうかと、こういうことでございまして、今回地方分権、同じことを何度も繰り返しますけれども、推進委員会の意見もございましたので、そこまで制度化させていただいたわけであります。

 経緯についてはちょっと自治行政局長から。

○松井孝治君

 それでは、行政局長さんにお尋ねをしたいんですが、その経緯も含めてお答えいただければ有り難いんですが、今の大臣の御説明を伺っていても、あるいは巷間言われていることを聞いても、住民の合併に対する意思というものがあったとしても、それはいろんな議論がありますでしょう、個別、ケースによっても違うと思います。

やはり、議員や首長さんというのは合併によって自らの地位を失う可能性がある、そういう意味でどうしても、住民から、合併したい、住民サービスの向上を求めてそういう要望が出ても、言ってみれば、抵抗勢力というと最近のはやりの言葉ですが、利害関係人なわけですね、その合併に伴う。

自らの地位が失われるかもしれない、そういう立場の方々がやっぱりブロックしている、そういうケースが多々ある。

 それに対して、むしろ住民の発意というものをもう一回確認することによって、そういう首長や議員さんが自らの立場を守るために抵抗しているとすれば、そこをオーバーライドする、そういう制度として位置付けられているように思うんですが、先ほど、二十五年前の経緯、この二十五年間の経緯と、それから私が今申し上げたこと、これは大臣も大体その答弁でおっしゃったと思いますが、そういう趣旨の今回の住民投票制度の導入というふうに考えてよろしいかどうか、局長さん、お願いします。

○政府参考人(芳山達郎君)

 先ほど御指摘がありました五十一年の地方制度調査会でございますが、住民の自治意識の向上に資するための方策に関する答申ということでございまして、その中で、住民投票制度について、住民意識醸成の見地から、例えば地方団体の廃置分合、特定の重要な、重大な施策等々について住民投票制度を導入することを検討する必要があろうということで、しかしながら、この住民投票制度は補完的な制度として採用されるもので、議会等との機能との関係というのに深く配慮をする必要があるということで従来御論議をされました。

 それで、先ほど、その後、二十六次の地方制度調査会でございますけれども、引き続き一般住民投票制度についての御論議がなされたわけでございます。その中で、やはり論議として、住民投票の対象とする事項でありますとか議会等の権限でありますとか投票結果の拘束力の在り方でありますとか、種々の検討について正論を得なかったと。メリットのあるという御意見の人もあればデメリットもあるという御意見で分かれたわけでございますが、ただ、市町村合併については、限定的に住民投票制度の導入をすることが適当であるということが、御答申を受けたわけでございます。

 その後、地方分権委員会の御答申も踏まえて、今御指摘がありましたように、住民発議の制度の中で、例えば、ある町では五〇%以上の署名を集めたというところを、あとはまあ三〇%、四〇%というところで議会にお出ししたら、その五〇%のところで議会で否決をされたというようなこともありまして、一番高い得票、署名を集めたところで合併の協議会の否決がなされたものですから、全体として合併協議会が設立できないというような状況でございました。

 そういうことも含めて、先ほど大臣から御答弁ありましたように、五十一地域、百件の発議のうちに十五の地域、二十七件しか発議をされておらないと。その他については議会が否決をしたか長が付議をしなかったというようなことでございまして、そういうこともありまして、今、先生御指摘ありましたように、住民の意思と議会の意思ないしは長の意思との間に乖離がある場合がある。その点を、そのそごをどうにか解消したいということもありまして、住民発議の一環として引き続き署名を集めていただいて、それも要件を厚くした署名要件でございますが、していただいて、それで住民投票にお掛けするという制度を導入した次第でございます。

○松井孝治君

 これはもう大臣にお尋ねしたいんですけれども、先ほど大臣が御発言、御答弁で、形を変えた新たな連邦制的なものがあってもいいんじゃないかと。

これ、おっしゃったのは、都道府県と市町村との関係で連邦制という言葉をお使いになられたと思うんですけれども、非常に重要な発言だったと思うんです。

同時に大臣は、非常に現場の声で、今のままで不都合はないというような現場の声もあるというふうに御紹介、現場の声を紹介されました。

 私も思うのは、現場で、確かに市町村長さんからいえば、今の地方交付税の仕組みの中で生きていくというのは非常に、ある意味では楽なこと、むしろそれを守っていきたいという気持ちが出てくるのは今の制度でいうとやむを得ない部分があるんじゃないか、合理的に考えれば。

 ただ、本当にその地方自治体の在り方がそれでいいかどうかということは、地方財政のこれだけ赤字が累積してきて、地方交付税依存型の自治体運営ということではもう中長期的に将来がないという危機感は恐らく大臣の下にもおありだと思うんですね。

そういう状況の中で市町村中心主義と、都道府県というよりは市町村が地方自治の実体をもっとより大きく担っていくべきであるという大臣の御意見があったわけですね。

 そこまであって、そこまでの認識があって、なおかつ地方の首長さんやあるいは地方議員さんが必ずしもその住民の意向を正面から取り上げておられない、この市町村合併についてですが、そういうエリアが非常に多いということも今局長からも御紹介があったわけですが、そこまでの現状認識があるんであれば、正に地方制度調査会の提案、提言のとおりに、むしろ市町村合併自身をある意味では住民投票に掛からしめていくというような発想があってもいいんではないか。

 繰り返し申し上げますが、大臣がおっしゃった議会制という、この日本は議会制民主主義の国ですけれども、他方で、地方自治制度を見れば、それは大統領制的な部分もある。

しかも、大臣がおっしゃったように、その都道府県と市町村の関係を考えていくときに、むしろ連邦型の関係にしていくべきではないかという御発言も考え合わせますと、この住民投票についても、若干今回の住民投票制度の導入については中途半端、そういう印象が残りますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 私が先ほどの答弁で連邦的なとか連邦制的なということを申し上げましたのは、例えば五つなり六つなりの市町村が合併すると、一つの町村になった場合に地域審議会というのを旧町村単位で置いてもいいということを今の法律は御提案、今の法律はそうなっているんですね。

そこで、その地域審議会が旧町村、合併前の旧町村単位ですから、そこである程度限定的な意思決定ができ仕事ができるような仕組みを考えて、大きな市町村が連邦で、個々のその合併前の旧町村が連邦の中の邦みたいなことを考えてもいいと。

こういうふうなことが一つありますのと、もう一つは、これは松井委員言われましたように、府県が、例えば今七十や八十ある、一つの県が六つなり七つなり大きな単位にまとまるとすれば、それまた県と大きくなった市町村との関係は連邦的であってもいいと。こういう二つの意味で使わせていただいたわけでございます。

 それから、なるほど、今、やっぱり規模の小さな町村では今が大変楽なんですね。

税は取れませんけれども交付税がきっちり補てんされますから、一人当たりの一般財源からいうとむしろ人口が少ない方が、得ということもないんですが、額が多いんですよね。

それから、やるべきことはかなりやられてきていますから、そういう意味で、何で変えないかぬかというところはあるんですが、ただ、それについてはいろんな方面から意見ございまして、特に経済財政諮問会議なんかで民間からの委員さんから大変な指摘がありますので、そこで段階補正については現状がと見て、それが適正な財源補てんかどうかについては御意見があるんで、我々の方では実態を見て一部適正化、健全化しますと、こういうことで、今のままだと、とにかく努力しようという、あるいは税収を向上しようというそのインセンティブが働かないですね、税が取れれば交付税が減るんですから。

それはどっちでも同じなんですから。税収は上げなくても交付税は来ているんで、税収を取ったら交付税を減らされるんで。だから、そこのところで段階補正を見直しまして、一七%ぐらいカットしようと、段階補正全体を。ただ、一遍にやると大変ですから三年ぐらいでなだらかにやろうと、こういうことにいたしたわけでございまして、今の地方財政の状況からいうと、今のような財源補てんはもう大変です、そりゃ。

もう今、地方財政全部で百九十五兆の借入れの累積高がある上に、交付税会計だけで四十六兆ですか、何かありましてね。

そういう意味でも、今のようなことでずっと財源を補てんするというのは大変無理なので、やっぱりそこはいろいろ皆さんに私は考えていただかねばいかないんじゃなかろうかと、こういうふうに思っております。

 そこで、それじゃおまえ、合併に住民投票入れたらどうかと。これは大変議論があるんですね。地方制度調査会が、それは適当だと言いながら、それは関係団体と制度化については十分議論しろ、相談しろと、こういう御指摘がありまして、関係団体に相談したんです。

そうしたら関係団体は、やっぱり今の代表制民主主義ならそこまで行くのはどうもと、まあ合併協議会設置の住民投票なら、それは委員会も言っているし、その辺までは許容範囲かなと、こういう御意見が多数でございましたので、私も、合併そのものの意思決定を昭和の大合併みたいに住民投票にかけるのはいかがかなと私も考えまして、今回はこういう形にさせていただいたわけでございまして、今後とも、しかし合併の進展によってはいろんな議論が私はあっても当然だと。

いろんな意見を、もちろん国会での意見が中心でございますけれども、それ以外いろんな会議でいろんな御議論いただいておりますので、その対応については我々も十分心してまいりたいと思っております。

○松井孝治君

 今の大臣の御見解で、私も方向性においては共感できる部分が多いと思います。

 ただ、先ほど森元議員からのお話もございましたが、実際の中には、合併の先に何が見えるのか、夢が見えないというような意見があるという議論を御紹介いただきました。

 それは私は、本来そういう現場の声というのは本末転倒であって、夢を総務省に求めてもそれは全くビジョンがないわけでありまして、むしろ自分たちがどういう展望を切り開くのかというのを自治体側が考えていかなければいけないんじゃないかと。

それを市町村合併措置を用意しておられる中央官庁、総務省に求めるというのは全く本末転倒で、そこら辺も、今の交付税によって、大臣が正におっしゃったように、非常に安易に運営されていると言うと、いろいろ御苦労されている自治体も多いですから、そういう自治体には失礼かもしれないけれども、やっぱり制度的にはややぬるま湯につかっている部分があるんじゃないかと。

もっと創意工夫を持って、自らがどういう地域を作っていくかというビジョンを持った自治体を増やしていくような、そういう制度を作っていくべきではないか。

 そのためにも、私は、やっぱり市町村合併についてはもう少し、まあそうそうある波ではないと思うんですね、今回の、正に明治、昭和、平成の大合併と言われるようなこの大きな波をとらえて、もう少し私は、国自身が大きな方向性を出してもいいんじゃないかと、そういう意見を申し上げておきます。

 さて、先ほど都道府県と市町村の関係について大臣がある程度の方向性をおっしゃいましたけれども、これは端的にお答えいただければいいんですけれども、大臣は、今後の地方自治制度について、この市町村合併は推進されるわけですが、都道府県と市町村、この二層制というものについては基本的に現状のとおり維持していくべきとお考えかどうか、端的にそこはお答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 今、松井委員御指摘のように、地方制度は都道府県制度と市町村制度の二層制になっております。

 ここで、現在、都道府県をなくして国と市町村だけにしますと、これはもう圧倒的に国が強いですから、市町村が押しつぶされてしまうんですね、いろんな意味で。

だからそういう意味で、私は二層制が意味があると思いますし、今の市町村の狭い範囲なら、これはいろんなことできません。

その意味では、中間的に広域的な都道府県があることはいいことだと思います。

 ただ、我々が考えているように、これから、今後の進展次第ですけれども、市町村が今の三千二百二十三ですか、が千になる、あるいは千以下になった場合に、それじゃ今の四十七の都道府県制がそのまま維持すべきかどうか、二層制の維持はあっても、もっともっと大きな広域的な団体になった方が私は適当ではなかろうかと、そういうことの議論はもうそろそろ始めてもいいんではなかろうかと、こういうふうに思っておりまして、

総務省の中に研究会も作らせていただき、特に地方制度調査会や地方分権改革推進会議での御議論もお願いしておりまして、だから、市町村の再編、その再編を仮に千なり何百にした場合に、その上に立つ広域的な団体である都道府県はどういうものになるのか。

それこそ、連邦という意見もありますし、道州という意見もありますし、あるいは合併でもいいじゃないかという意見もありますし、あるいは組合を強化したような連合でもいいというような制度もありますので、そういう今までのいろんな議論を踏まえながら、あるべき都道府県制度のビジョンを描いていかなければならないと、こういうふうに思っている次第でございます。

○松井孝治君

 分かりました。

 今正に、少し私がこれからお伺いしようということを先取りしてお答えいただいたような感もありますが、まず順を追ってお尋ねしますと、基礎自治体の数、これは裏返していえば大まかな規模ですね、それについて、今、基礎自治体の数、市町村については、これは与党の方針だったかもしれませんが、千というものを目標にして統合を進めていこうということだったと思います。それを基本的に踏まえて今回の措置も取られていると思います。

 大臣のお考えとして、基礎自治体の数、これは今、千を恐らく当面の目標にしておられると思うんですけれども、それでいいのか。

あるいは、今少し御答弁の中でも先に触れられましたけれども、もう少し更に中長期的に統合を進めていくべきなのか。

これは基礎自治体の適正規模、これはひょっとしたら合併という議論だけじゃなくて、基礎自治体として余りにも大き過ぎる場合に、分割した方がいいのかどうかという議論もあるかもしれませんが、適正規模あるいは数についてどの程度のイメージをお持ちなのか、御答弁願いたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 与党三党が言われる千に私は余り具体的な根拠があるとは実は思わないんです。

昭和の大合併のときが一万ちょっと、一万一、二千あったものが大体約四千になったんですね。だから、三分の一ぐらいになったということが一つあるのと、今が三千二百幾らですから、そういう意味で三分の一というと、千という丸い数字ですし、大変分かりやすいと、こういうことで与党の関係の方が千という数字を示されたんじゃなかろうかと、こういうふうに思います。

 そこで、都道府県にそれぞれの都道府県内の合併の一つのたたき台、パターン、たたき台を作ってほしいと、こういうことをお願いしましたら、一番大きなのが千二百、それから少ないのが七百ぐらいですか、千二百から七百ぐらい、いろんな案がありますから。多い案だと千二百、少ない案だと七百幾ら。平均するとちょうど千なんですね。

 そういうことで、都道府県自身がたたき台としてお考えになっているのも平均的には千なのかなと、こういうふうに我々も思っているわけでございまして、ただ、そのパターンどおりに必ずしも合併が進むかどうかというのはこれは分かりませんけれども、そういうふうに実は考えているわけでございます。

 昭和の大合併のときは、松井委員も御承知のようにやっぱり新しい学制に対応する市町村の規模、能力ということで、最低八千だったんですよ、あのときは、一つの。実際は八千よりもうちょっと行っていると思いますけれどもね。

 今回、それじゃ一つの理想的な人口規模を出すというと、これが難しいんですよ。

今回、新しい自治制度になる、新しい学制改革に対応するという明確なあれがありましたが、やっぱりこれからの二十一世紀の地方分権の在り方で市町村の役割といいますと、そんなに具体的で数字につながるようなことにはなかなかならないんですけれども、これからは福祉だとか保健だとか環境だとか都市計画だとか、そういうことを私はやっぱり市町村が中心になっていくべきで、小泉総理が言われますように、地方でできることはできるだけ地方にと、その地方は市町村だと、まず。

市町村にできないものを都道府県が補完的にやると、こういうことではなかろうかと考えている次第でございます。

○松井孝治君

 今なかなか適正規模というのは出しにくいというふうにお答えになられましたが、ちょっと言い方を換えて言いますと、よく一人当たりの行政コストのカーブを見ていくと、U字型になるとかL字型になるという話がありますね。

U字型というのは、ある規模以上の人口、都市の人口になると、逆に集積し過ぎて行政コストが掛かっていく、L字型の場合は、恐らくある段階まで低減していって、それ以上多くても別に特段行政コストは掛からない、ここら辺によっても考え方が違うかもしれませんが。

 逆に大き過ぎる基礎自治体というものについて、これを分割するというのはなかなか合併以上に難しい部分はあるのかもしれませんが、その適正規模、適正規模が何万とは言いませんけれども、大き過ぎる基礎自治体について、大臣は、基礎自治体の単位として、それは場合によってはもう少し小さい方がいいという、そういう部分のむしろ分割促進的な発想をお持ちなのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 大きいものを分割するという考えは今持っておりません。
 ただ、東京都の二十三区は昔は東京市だったんですよね、御承知のように。昭和十八年に戦時体制下で府と市を一緒にして区を作ったんですね、東京都の二十三区は。そういうことで、東京市の分割だと言われれば分割ですけれどもね。

 それ以外では余り分割という例はないんですが、今の市町村の制度では、言いましたように政令市というのがある。中核市があって特例市があって、それぞれが所掌する権限事務が違うんですね。

もう政令市になりますと、ほとんど警察と教育以外はほとんど政令市ですよね、政令市で。それから、中核市になると政令市ほど多くありませんがかなりの部分、特例市も普通の市より多い、それから普通の市と、こうなっておりますから。

 これからは、市町村制度の差別化というんでしょうかね、そういうことの研究が私は要るんじゃなかろうかと、こういうふうに思っておりまして、特に政令市の府会議員さん県会議員さんというのは、担当の府、その政令市を持つ府県の担当の事務が少ないものですから、そういう意味では、今のままでいいのかなという議論はもうかねがねからあるんです。

 例えば、大阪府と大阪市を例に取りますと、大阪市の中の府会議員さんの仕事というのはかなり限定的ですよね。ほかの府会議員さんより少ない。

あれだけの数が要るのか、その辺の役割をどうするのかというのはもうかねがね議論されているわけでございまして、そういう意味で、市町村の再編が進んできたら、そういうことを含めて、私、考え直す必要があると思います。

 ただ、今、一つになった市を、おまえら、別れろと。これは、今の自治法の手続だと自分で決めなきゃいけませんから、当該市がですよ、自分で、大き過ぎるからそれじゃ分割しますと、こういう意思決定をして手続を取るかどうかですね。私は、そういうことはまずないんではなかろうかと、こういうふうに思っております。

○松井孝治君

 今のお話、またちょっと、これ済みません、通告してない質問で申し訳ないですけれども、お話を伺っていまして思いましたのは、大阪においても、大阪都と言うと、そういう名称を使っておられるかどうか分かりませんが、正にその政令市と都道府県の関係というのが非常に大阪などで問題になっていて、むしろ東京都的に、政令市と都道府県を大阪の場合に関して一緒にしてしまったらいいんじゃないかという議論が経済界などに根強くございますね。

 これは、政令市を抱えるところのその当該政令市とその当該都道府県の政令市部分の事務の重なりについては、もうどこの政令市を抱える都道府県でも必ずと言っていいほど地域の経済界あるいは地域住民から何とかしてほしいという声が上がっていますよね。

 これは、ある意味では、さっき大臣も少しおっしゃいましたけれども、市町村合併を進めていった先にある都道府県と市町村、私も二層性は維持するべきだと思います。さっき大臣がおっしゃったのと全く同じ理由で、国との関係で市町村と国というふうに対峙させてしまうには余りにもやはり国の力が大き過ぎる。

逆に言うと、国の役割をもっと地域が担っていかなければいけないけれども、その中間単位としてやはり何らかの、第一層目というか第二層目というか、国に近い方の自治体というのは存在が必要だと思うんですが、ただ、基礎自治体の単位が大きくなっていく、そうすると、今の政令市、正に大阪府と大阪市が抱えているような問題にどんどん近づいていくわけですね。

 これをどう考えていくのか。下から勘定すれば、基礎自治体の次の第二層目の自治体の規模というものをどう考えていくか。

言葉を換えれば、いわゆる道州制の検討というものをどう考えていくのかというのを、やはりこの市町村合併の議論を、促進措置を議論するときに併せて考えていかなければならないのではないかと思うんです。

 そういう意味で、いわゆる道州制ですね。道州制といっても、いろんな方々がいろんなパターンでおっしゃっていますから、やや定義があいまいな部分はありますが、その第一層目の自治体を基本的に大きくしてその自立性を高めていこう、その行財政基盤を確立させていこうという今発想があるわけですね。

それに対応して、じゃ、第二層目の自治体について、今の都道府県というものをもう少し大くくりにしていくのか。

 そこについての大臣の、これは今正に地方制度調査会で議論をお願いしているところですというふうに御答弁されるというふうに思うんですが、そういうもう答弁は抜きにしていただいて、大臣の見解ですね。

これは、大臣自身、地方行政に本当に、岡山県の副知事もやられていますし、ずっと自治省で地方行政に携わってこられた、地方自治に携わってこられたわけですから、大臣自身のある種個人的な見解でも結構ですので、ビジョンをお述べいただきたいと思うんですが。

○国務大臣(片山虎之助君)

 近畿圏で今政令市は大阪と京都と神戸ですよね。これに、堺もありますし、候補としてはいろいろあるんで、そういう政令市がたくさんできる、中核市的なものができる、特例市ができると。

それで、合併がどんどん進んで、一つの県のそういう市町村の数が一けたになると。そういうときに、今のあれだけの都道府県を、近畿圏の府県を維持する必要があるのかどうかという議論が必ず出てきますね。

 その場合に、先ほども言いましたが、道州制というのは二つありまして、自治型の道州と官治型の道州と。昔、ずっと前に議論されたのは官治型の道州なんですよ。ブロック官庁を総合して、国の総合出先機関を作るような発想だったんですね。

 ところが、今は、今の道州は自治型の道州で、やっぱり今の府県を拡大したような感じで、知事さんというんでしょうか長官というんでしょうか、知事、長官は公選で、議会があって、意思決定機関が、それも公選でと、こういうことですね。できるだけその権限は市町村に下ろして、残った広域的なことだけやると。

国の方からも権限をもっともらうと。国のブロックの出先機関なんか全部吸収すればいいわけですから、その新しい道州に。国のブロック機関、今いろいろありますけれども、国土整備局だとか農政局だとかありますですね。あるいは、今経済産業局と言うかどうか知りませんけれども、財務局だとか。そういうものを吸収したものを作っていく道州。

 それで、連邦といったら、それを更に徹底して、一つの国になるということですね。近畿共和国とか、中四国共和国か何か知りませんが。これはもう連邦ですから、限定的主権があって、場合によっては裁判所があって、軍隊があって、軍隊と言うてはいけないのかもしれない、自衛隊的なものがあってと。こういうアメリカの、あるいはドイツやオーストラリアと、ああいう連邦制になると、連邦政府は極めて限定的なことをやると、外交だとか通商だとか、通貨だとか。それが連邦で、道州制で。

 それから、昔議論があったのは、例えば阪奈和合併というのがありまして、大阪と奈良と和歌山が合併する。中京三県の愛知県と岐阜県と三重県が合併する。これは、今の市町村合併と同じようなことで合併をして再編すると、こういう議論もありましたし、それから、それに代わる連合という、今市町村に連合制度というのがありますけれども、それを府県単位でそういう連合を作っていこうと、こういう案もありまして、それはどれがいいか分かりませんけれども、そういう議論をもうそろそろ私は始めた方がいいんではなかろうかと。

 ただ、市町村の再編が一つも進まぬ段階で府県の再編をやろうなんと言っても、何言っているんだと、こういうことになりますから、私は、合併がもう少し進度を増した段階で、府県制度についても本格的な議論を始めていく方が、それが二十一世紀の我が国のグランドデザインになるんではなかろうかと、こういうふうに考えておりまして、個人的にはやはり道州、自治的な道州がいいのかなと。

 そうなりますと、道州の知事さんというか長官は、大臣は強くなりますよ、権限次第ですけれども。例えば九州の知事さん、近畿の知事さん、東海というか、どういう区切りにするかというのはありますけれども。

 そういう意味では、その方が日本全体としてはかえって効率がよくなるんではなかろうかと、こういうふうなことも考えておる次第でございます。

○松井孝治君

 基本的に御見解に私も賛成でございまして、是非、市町村合併を進めるときに、さっき正に森元委員が紹介された地域の声、要するに合併の先に何があるんだというものが見えない、そういう意見に対して私はさっき批判的なことを言いましたが、もしそれに対して国なりが答えるとしたら、合併の先に我々が抱いているこの国の形というのはこういうことじゃないかと。

今、例えば大臣がおっしゃったことというのは私の考えていることと非常に近いんですが、そういうことを何らかの形でビジョンを示していく。そうすると、基礎自治体も、ああそうかと、我々が担う役割はそういうふうに変わってくるんだと、今の都道府県と市町村というそういう分担関係でなくて、もっと都道府県は合併して大きくなって、国の役割を相当担うんだ、その中で基礎的な業務は我々が全部担っていくんだというその展望が見えるんじゃないか。

 今の市町村合併は、残念ながら、今、大臣は相当従来からいえば思い切って御発言されたと思いますけれども、そういう部分が、やっぱり地方自治ということで余りにも国がそういうビジョンを示すことが適切ではないんだということで、本当は皆さん、総務省のお役所の方だって、それぞれ個人的に、夜の席でどうぞビジョンをお話しくださいと言えば結構いろんなことをおっしゃるにもかかわらず、一切公的にはそういうことをおっしゃるのを控えてこられたんじゃないか。

それが、やっぱりそういう感覚が、やっぱりもっと思い切ってそのビジョンを述べていただくというような、今そういう時期なんじゃないかな、そんなふうに感じる次第でございます。

 大体、本来私どもの、民主党の道州制の考え方も申し上げようと思っていたんですが、今の議論で大体論点は明確になったので、それは控えさせていただきます。

 ちなみに、ちょっとこれ確認的に、行政局長の方からでもお答えいただければ結構なんですが、これも通告していないんですが、今のお話との関係で、市町村合併が経済圏と都道府県の境界というのが違う場合というのはたくさんありますね。

   〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕

 市町村合併が都道府県、複数都道府県をまたがるような話というのは、そういう構想というのは私自身も聞いているんですけれども、そういうものは当然今回の市町村合併の対象になるのかどうか、確認的に御答弁を求めます。

○政府参考人(芳山達郎君)

 お答えいたします。
 都道府県境をまたがる合併構想はしばしばございます。それで、協議会等も、具体的には長野県と岐阜県の県境で具体的に協議会が設けられておりまして、構想、協議が進んでおるということでございまして、当然入るわけでございます。

○松井孝治君

 正にそれが実態だと思うんですね。実態の、地域の実情だし経済実態だと思うんです。それはどこで線を引いたって、経済活動にそんな線があるわけじゃないですから。

 だから、そういう意味では、やっぱり今後の市町村と都道府県の関係、あるいは一層目の自治体と二層目の自治体ということを考えたときに、是非、市町村を大きくする、そういう場合には、二層目の自治体についてもより大きな範囲で国の事務を積極的にそこが受け皿になっていく。

しばしば中央官僚は、総務省はそうではないかもしれませんが、地方分権するといっても受け皿である都道府県では到底こんな事務は担えないんですというのが正に地方分権に対する抵抗勢力のエクスキュースになっているわけですね。

これをやっぱりエクスキュースにしないためにも、将来的な都道府県の再編というべきでしょうか、道州制の検討というものについてより具体的な検討に入っていただきたいし、大臣からよりリーダーシップを持ってそういう構想の検討を地方制度調査会なりに下ろしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 さて、大分時間を取ってしまいましたので、今回の法案の住民訴訟制度についての御質問に移りたいと思います。

 住民訴訟制度についての我々の基本的な見解は、現状のいわゆる四号訴訟、これはいろんな問題を抱えているということは我々民主党でも十分認識をしております。

乱訴と言われるような一部の実態があるということも分かっておりますし、それによって地方行政の萎縮が生じているというようなケースも認識しているつもりでございます。

 しかしながら、この住民訴訟制度、先ほど同僚議員の御質問の中で、その趣旨、何で四号訴訟で個人を訴求対象にしたのかという趣旨についての御質問があって、それに対して滝政務官の方から、その制度導入のときの趣旨はよく分からないという話がありましたけれども、ちょっとこれは私はそういう答弁は、経緯が分からないという、不明確な部分があるという意味でおっしゃったのかもしれませんが、やはりこの理念というのはある正当性を持っていると思うんですね。

それは、住民訴訟、これは株主代表訴訟とパラレルな制度であって、会社のガバナンスに対して株主が物を言う、それと並行した感覚で自治体のガバナンスに対して住民が物を言っていく、直接的に個人を追及していく、責任ある立場の人間を追及していくという制度であったと思うんですね。

 我々は、問題点は解消していかなければいけないけれども、この四号訴訟のそもそも設けられた趣旨というものを考えていくときに、今どんどんどんどん分権で首長さんなりの責任あるいは権限というのが大きくなっていくし、もっと大きくしていかなきゃいけない。

それに対して、きちんと住民がその不正なりを追及していける一つの手段、これを本当に葬り去ってしまっていいのかということについては、強く反対の問題提起をするというのが我々の立場であります。

 そうした我々の立場をまず明確にさせていただいた上で、これはもう簡単で結構ですけれども、大臣は率直に、この四号訴訟制度が果たした意義、特に私が申し上げたいのは、官官接待、あるいはさっき野球大会というような話も、事例もありました。あるいは空出張のような問題もあるでしょう。

そういう自治体における不正ですね、あるいは談合、こうした問題に対して四号訴訟制度というものが果たしてきた意義、役割というものをどういうふうに判断しておられて、今回それを、訴訟類型を変更するということによって住民側にとってどんな利益があるのか、逆に言うとどういう制度改正といいますか制度改変によるデメリットがあるとお考えなのか、大臣から端的に御答弁をお願いしたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 私も、現在の制度が異様な財務会計行為の是正や防止に一定の役割を果たしたと思いますね。特に、情報公開がかなり進んできましたんで、それと相まって、今言いましたように空出張の問題だとか官官接待の問題だとかについてはそれなりの役割を果たしたと思います。

 ただ、これは最初に入れるときから、委員も御承知だと思いますが、大変な議論があって、入れてからもいろいろ学者を中心に議論があった制度なんですね。とにかく個人に着目しているんですよ。

個人が地方団体の中でやるということは、それは極めて限定的でございまして、やっぱり予算が組まれて一つの方針が決まった中で、財務会計行為というのは氷山の一角みたいにあるわけですね。

その下に予算だとか手続だとか意思決定だとか、これが全部捨象されて、この上の財務会計行為だけが、個人の財務会計行為だけが問題になるんですね。

それはやっぱり団体の意思だとか機関の意思だとかがあるわけで、それを併せて問題にしないと私は仕組みとしてはおかしいんではなかろうか、こう思うわけでありまして、今回のこの制度も、地方制度調査会で御答申をもらった制度でございますけれども、個人をそれじゃ外さないんですよ。

個人もひっくるめて団体の責任、機関の責任を正面から問うと、こういうことにいたしたわけでありまして、私は今までの制度も一定の役割を果たしてきたと思いますけれども、今回の制度の方がよりいいものではないかと考えております。

○松井孝治君

 そこら辺になってくると見解が違いまして、今、大臣ちょっとお答えいただいていないんですけれども、住民の立場で考えたいと思うんです。

 今、大臣がおっしゃったことがすべて私理解不能だというわけではありません。

もちろん、その政策判断を組織として行っている、より組織を追及した方がいいという場合もあると思うんですね。

しかし、やはり個人的に不正を働かれるケースというのは、首長さんにしても、あるいは職員にしてもあるわけですね。

これを、住民がその不正について、これは後で一号請求の問題と四号訴訟の問題との議論もちょっとさせていただきたいと思っていますけれども、こういう不正を住民が事前に差止めするということは事の性格上難しいと思うんですね。

制度とか事業で、ある事業を行う、ある公共事業を行う、これがいいかどうかを差止めする、しない、この議論というのは、ある程度行政の中身がオープンになってくれば、アメリカのような行政体系の中ではむしろ差止めで処理しようじゃないかということは十分可能だと思います。

そのためには行政の在り方をもっと変えていかなければいけないと思いますけれども。

 ただ、今までの四号訴訟が明らかにしてきた問題は、いろんな組織的な不正、こういうものを納税者がきちんと追及していくんだと。その役割というものが、これは本当に組織としての判断だといってすべてそれを、組織を相手に納税者が訴訟するんだということで本当に実現できるかどうか、私はそこに非常に大きな疑問があると思うんですが、その点、住民サイドに立った場合の問題点、

特に私が申し上げているのは、首長やあるいは機関職員の汚職であるとか不正、これを歯止めを掛けていく、そういう不正が行われないように抑止的な効果を持つような制度という意味で、今回の四号訴訟の訴訟類型の変更というのは、本当におっしゃるような、あるいは総務省が説明でおっしゃるようないい面ばかりをもたらすのか、あるいはそこは若干ある部分の弊害を救うために本当に本質的に重要な部分を葬り去ってしまうようなそういう制度改変になってしまわないかということについて御見解を賜りたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 私は、個人の方は変わらないと思っているんですよ。今までは、例えば片山という個人を訴訟で訴えたわけでありますけれども、例えば私が、どこでもいいんですが、東京都、仮に知事としますと、今度は東京都知事を訴えるんですね。

だから、それは訴える対象が違いますけれども、私は、住民の立場からいうと訴えることは変わらない、不正な財務行為、財務会計行為をこれは訴えることも変わらない。

ただ、今までは片山個人だったものが、今度は知事を訴え、個人は訴訟参加するわけですから、場合によったら二人訴えるようなものなんですね。

 だから、端的に個人を訴えるのと団体の長を訴えるというのは感じは違うかもしれません、そこは。

しかし、今までが個人で何かやったということはほとんどないんで、機関の長としてやる、あるいは出納長としてやる、何とかの部長としてやる、何とかの職員としてやったわけでありまして、そこのところをほっておいて、個人だけつかまえてやるという方が、私は少し今までの訴訟が無理があったんじゃなかろうかと。

 それは、アメリカなんですよね、この納税者訴訟というのは。それは、アメリカの場合には財務行為をやる人が、その人がその職だけやるんですよね。

そういうところも私あるんじゃなかろうかと、こう思っておりまして、日本の場合にはみんな替わるんですから、選挙の人は別ですよ、それは副知事からみんな替わるんですからね、一官一職じゃないんで、一個人が一つじゃないんで、その辺が私はやっぱり日本の制度としては少し違和感があるなと昔から思っておりまして、今回、地方制度調査会からこういう御答申いただいたもんですから、こっちの方がいいのかなと私個人は考えておりますし、住民の方からいって、これで大変訴えにくくなるとかわかりにくくなるんだろうかと。

個人じゃなくて今度は両方訴えられるんですから、機関の長を訴えて、機関を訴えて、同時に個人も訴えることになって、もしこっちが負けたら、この機関と個人の関係は求償行為が発生しますから、訴訟をもう一つ起こすんですけれども。

 そういうふうに私は思っておりますので、いろんなこれは御意見が片やあるのかもしれません。

○松井孝治君

 一見、分かりやすい御説明なんですけれども、ただ、私が申し上げているのは多分こういうことなんですね。

 首長さんが不正を働きましたと、あるいは談合企業がありましたと、これが例えば刑事訴追されるというケースが典型的にありますね。

これについて今の制度でいいますと、個別名を挙げて言うのは適切じゃないかもしれませんが、何とかさんという例えば知事さんが非常に不正を働いたと、疑惑を持たれていると。これを個人がその知事何とかさんという、AさんだったらAさんとしましょう、Aさんを従来は訴えていたわけですね。

ところが、この不正を働いたあるいは汚職を働いた、それによって自治体の財政に非常に損害を与えたという人を訴えるときに、今後のこの改正法であれば、その組織を訴えてくれと、A知事というのが所属するB県という県を訴えてくれということなんですよね。機関としてのA知事ですから、それは県だというふうに言ってもいいと思うんですけれども、それを訴えてくれと。

 これは、もちろんA知事はそのB県の訴訟に対して、住民が訴訟したというときにもちろん訴訟参加をされるというケースが多いのかもしれませんが、現実にはその訴訟参加も担保されてませんが、これを、この訴訟経費はだれが持つのかというとB県の公費で持つわけです。

 これは、まずちょっと大臣にお答えいただく前に行政局長にお答えいただきたいんですが、B県のAさんという知事、この方が例えば汚職をした、あるいはその県財政を私物化した、それに対してそれこそ刑事的な訴追も行われる、そういうような事態を想定しましょう。

そうしたときに、仮に、このA知事さん、その住民訴訟で、A知事さんにかかわる住民訴訟で、この県が、住民との間で訴訟になって県が負けましたと、住民の損害賠償請求が通りましたというときに、この訴訟経費、この県は正にその知事が働いた不正行為について住民に損害を与えたわけですね。

 この訴訟経費というものは、その個別の知事さんから県は請求するんでしょうか。要するに、その知事を弁護する、機関として弁護したその結果としてその知事が負けた、その知事側、県側が負けたときに、やっぱり不正があったと、住民に損害を与えたというような裁判の結果が出たときに、この裁判費用、公金によって応じた裁判費用というのは県側が敗訴したときにきちんとその知事から請求されるんでしょうか。局長さん、お願いします。

○政府参考人(芳山達郎君)

 ただいまの事案で、一つは談合企業ないしは長の刑事事案というような場合にどう考えるんだと、敗訴した場合にどう考えるんだというような御指摘だろうと思います。

 一つは、今度の四号訴訟におきましては、地方公共団体の執行機関を訴えるわけですけれども、執行機関自身は自らの職務行為は正しいという主張をしておるわけでございます。

自分としての立場で、機関としての立場で判断をしているということで、その訴訟費用については、当然、地方公共団体が負担すべきものだと思います。

 それで、談合企業、いわゆる談合をしていると住民から見てそう思われている事案でございますけれども、談合の企業につきましても、先ほど来御指摘がありましたけれども、訴訟告知を受けて訴訟参加をするということでその参加的効力が当該企業に及びますものですから、参加をするということで、当然、企業として自らの立場で訴訟参加をして弁護士を付けて臨むという具合になると思います。

そういうことで、企業自身は自分の立場で訴訟参加者となるということでございまして、今言われた意味での企業に対して求償をするということはないという具合に思います。

 ただ、先生が今御質疑ありました、例えば長が横領とか背任とかいう犯罪行為を行ったと、結果的に敗訴したと先生言われましたけれども、そういうような事案を仮に考えた場合には、当然に刑事手続によって処罰をされる事案だろうと思います。

なおかつ、辞職や不信任等によりましてその地位を退いて新たな長の下で適切に刑事、民事責任なりが追及されるというようなことだろうと思いまして、そのような場合には、今言われた意味での新四号訴訟というものは提起されることは想定され得ないという具合に我々は思います。

○松井孝治君

 やや、ちょっと焦点をずらされたような答弁だったと思いますし、恐らくこういう議論をいろんな形で国民の方々が聞いておられるときに分かりやすくお伝えするのが僕らの責任だと思うんですが、要するに、談合企業やあるいは不正を働いた首長さん、この方に対する住民の訴訟を機関が受ける、要するに県なら県が受ける、府なら府が受けるその訴訟経費、府が負担した分の訴訟経費は、仮に敗訴した場合でも、談合企業やあるいは不正を働いた首長さんの訴訟において府や県が敗訴した場合でもその公的支出というのは後でその企業や不正を働いた首長さんに請求するということはない、すなわちその訴訟経費、少なくとも機関として受けた訴訟経費は請求しないということですね。

端的に、するしない、ほかの問題を混ぜずにお答えいただきたいんですけれども。

○政府参考人(芳山達郎君)

 訴訟の段階の場合は、その前に監査請求があるわけでして、住民の皆様は当然、職務行為が適正でない、談合行為があると住民は判断されると。

金を出しなさいというのを住民が判断する。それに対して、多分、監査請求の方ではそういう事実はないという判断が前置では成り立っているだろうと思うんです。

そして、住民の方はそれは不満だということで住民訴訟になっているというような構図だろうと思います。そういう構図の下で、機関である地方団体の方は、これは談合行為はないという判断をされる。

そして、企業の方は企業の方として訴訟告知を受けて訴訟参加をすると、そういう場合には、先生が言われた意味でいいますと、私が理解するに、機関としての首長はその段階で弁護士をお付けになる、企業の方は企業の方として弁護士をお付けになるということで、住民との争いの構図になっているということだろうと思います。

 そして、敗訴を仮にした場合においては、企業としては当然自分の雇用した弁護士の費用を払うと。そしてまた、先生が言われる意味でいいますと、機関の部分も払うというと二重に払うことになるという具合になるわけでございますから、当然、機関としての立場で争っている、企業としての立場で争っていると、こういう構図だろうと思いますので、それぞれの立場で弁護士費用は払うものだという具合に基本的には思います。

○松井孝治君

 これは、非常に厳密なようで論点をちょっと混ぜてお話しになられているので、こういう議論を聞いている国民の方々は誤解があるといけないんですけれども。

 少なくとも公的支出、県なら県、自治体なら自治体が機関として支出している。

それは住民サイドから見れば、その談合企業を、談合はなかったんだといって裁判を争っているその公的支出がなされているわけですね。

その公的支出というのは税金から出ているわけですね。その税金から出て談合企業を、談合はなかったんだというふうに争って、裁判所は結局談合があったんだというふうに認めた場合に、本来であれば、その談合企業を守るために公的支出をしているわけです、税金使っているわけですよ。

この税金はどういう理屈で住民の方々に説明するんですか。おかしいんじゃないですか。

 普通に国民の方々が個々に聞いておられるとして、多くの方は、国会テレビ見ておられる方もいらっしゃる、インターネット見ておられる方もいらっしゃる。

そういう談合企業を守るために機関が、いやこれ談合ありませんでした、官製談合なんという言葉は一杯あるんですよ。

談合企業を、いやそれは談合なかったんだといって住民と争ったときに、それを、それでいや裁判所は談合があったんだと認められたような場合に、何で談合企業を守るための訴訟経費、それは実質、機関としての自治体が支出するわけですよ。

どうしてそんなものまで請求できないんですか、税金で面倒見なければいけないんですか。これは全く国民は理解できないと思います。

 大臣、聞いておられていかがですか。恐らく大臣は、局長さんのおっしゃっている非常に技術的な説明もお分かりだと思います。

私が申し上げていることの意味も分かっていただけると思います。おかしいと思われませんか。

○委員長(田村公平君)

 芳山自治行政局長、ちょっと僕も聞いていてあなたの答弁よく分からないから、分かりやすく。B県のA知事さんがという具体の例で言っているわけです。当然私自身もそういうことを想定できると思う。もっと明確な答弁、せっかく、時間が限られていますから、明確に答弁してあげてください。

○政府参考人(芳山達郎君)

 済みません、御説明足りませんで。
 私は、今まで、今までの例で申しますと、住民が談合企業と思われる企業に直接訴えるわけですよね。そのときに県の知事が出てくるわけじゃないわけです。

そうしますと、談合と言われる企業と住民との間で争いになるということでございます。それで勝ったり負けたり。そうすると、地方団体の発注者の責任の論議は全くない、今までの訴訟の場合には、発注者である地方団体なりの責任は全く論議されていないというのが今の訴訟の体系であります。

 ですから、我々、今の訴訟の体系で心配しますのは、その事案については確かに直るか、修正されるかもしれませんけれども、その背後にあります地方団体の発注者責任なり、ほかの企業を含め、ほかの工事を含めての団体のそういう談合的な体質というのは直らないという具合に思うわけです。

 今回の訴訟の体系は、執行機関である地方を訴えると。これはどういうことかというと、談合行為をすると住民が思っているということは、契約を結んでいるわけです、談合企業と執行機関とが。発注者としての契約を結んでいる。その発注者の責任が当然当局の方にもあるわけです。そして企業の方にももちろんある。

ただ、訴訟の体系のときにはまだ争いになっているわけですから。争いになっているわけですから、それぞれの立場で、先ほど来ちょっと分かりにくいと思いますが、それぞれの立場でそれぞれの立場の正当性を主張しているという限りにおいては、弁護士費用というのは当然当該団体の負担だろうという具合に思います。

 それで、例えば、これちょっと表現が悪いかもしれませんが、表現が悪いかもしれませんが、国家賠償法の世界で申しますと、国を住民は訴えるわけですよね、国民は訴えるわけですよね、国民は、国家賠償。そのときに、個人である公務員の公権力の行使を、行使が違法、過失だということで訴えるんだけれども、国を訴えるんですよね。国を訴えるんですよね。そのときの弁護士費用というのは当然国が、行政事件訴訟で、訴訟ですから、当然国が持つということが原則でございます。

○松井孝治君

 かえって話が分かりにくくなるので、局長が正確に答弁をしようとしておられるし、ある意味では今回の制度改正を何とか正当化しようとしておられるのはよく分かるんです。それはお立場ですから、分かるんですけれども。

 例えば談合があったと。で、監査委員もあるいは首長も、首長といいますかその自治体もその談合を見抜けなかったと。極めて巧みに談合されていたと。

したがって、監査人は住民の監査請求が来たときに、それは却下したと。で、住民はおかしい、これはやっぱりあるといって裁判で争った結果、談合はあったと、やっぱり。

こういうときに、どうしてその住民が払った税金でその裁判の費用を賄わなきゃいけないのか。

 訴訟参加とかいろんなことをおっしゃるけれども、そんな訴訟参加なんというのは、どこまでやるか、どれだけの金を使ってその談合企業がやるかなんというのは、ある意味では格好だけ付けて全然やらないなんということはあるわけですよ。

全部自治体にやらせておいて談合企業はぬくぬくと裁判費用も持ってもらって、結局負けましたと。そういうときに、そういう案件なんというのは一杯起こり得るわけですよ、現実に。

そういうものについて、何で住民の税金を使って談合企業を守る形になっている、それに対して請求も行えないという制度は僕はおかしいと思います。もう局長さん、答弁結構です。

 大臣、こういうことについて国民に分かりやすく説明していただかないと、やっぱりこれ不信が生まれると思うんです。御答弁願います。

○国務大臣(片山虎之助君)

 前は個人なんですね。今度は機関を訴えるんですよね、団体の機関を。機関が訴訟当事者になりますから、その訴訟当事者は自分の訴訟費用を自分で払うのは当たり前なんですよ。

 そこで、負けた場合にはですよ、負けた場合には、その団体に与えた損害については求償するんですよ、談合企業なり、あるいは知事なりその機関の長に、今度は機関が、団体が。団体が、県が、知事なり談合企業に、与えられた損害については求償できるんです。それは御承知だと思いますけれども。

 そこで、訴訟費用だけは訴訟当事者、県が払うんです、県の機関が。それから、訴訟参加している談合企業はもちろん自分のものは払います。それはもう当事者として当然なんです。こういうことでございます。

○松井孝治君

 基本的に局長も大臣も同じ答弁をされているんです。

大臣の方は政治家ですから明快な答弁をされていますけれども、やっぱり結局は、この機関訴訟というのはある種のコストなんだと、これは、そういうふうに割り切っておられると思うんですね。

要するに、談合であるとか不正首長の追及、それを機関としてそれについて一義的に判断をして、あったかなかったか判断をして、判断をした上で住民と争う以上はそのコストはもうある種税金で、そういうシステムに、そういう訴訟制度にしているんだから、それは税金で持つんですということなんですが、これがやっぱり現実の住民の方々とお話ししていると非常に分かりにくい。

 何で不正をした、これはある種の政策判断の問題じゃないんですよ。

さっき自民党の森元委員がおっしゃった、何で背任、横領までこういう四号訴訟制度的なものから除外してしまうのか。

要するに個人を追及できない。

本来、背任とか横領とか、個人を追及できるんじゃないかというふうに与党議員も素朴な疑問を投げ掛けておられますよ。

そういうようなものについても結局公金で、公金で裁判の肩代わりをする。これはやっぱり理解が得られない。

 しかも、裁判の肩代わりをするということだけ、公金で裁判費用を持つだけじゃなくて、結局、住民側から見たら、相手が県になる、相手が大きな組織になる、こうしたときに、やっぱりそれは裁判で争うときに次から次と組織を動員して、単に弁護士費用とかそういうことだけじゃなくて、県庁には優秀な人がたくさんいるわけですから、その人たちがありとあらゆる理屈で、とにかく組織としてのこけんに掛けて、いったんこれは談合なかったと監査委員が判断したんだと、自治体が判断したんだということになったら、組織としてメンツつぶされたくないから一生懸命守りますよ、その談合企業や不正を働いた疑いのある首長さんを。

そういう組織として物量を動員して守る。

しかも、その裁判費用も全部税金で払われる。

人件費も、県庁の職員さんの人件費も全部税金で賄われている。

場合によっては、その首長さん、今の現職の首長だ。ほら、おまえ、何とか変なことにするなよなんて職務命令が下るかもしれない。

 そういう状況の中で、住民から見たら何でそんな背任、横領のような、政策判断の問題ではなくて、おかしい不正行為に対する追及というものをそういう形で組織が守る形にするのか、ここの一点だけは理解できないというのは率直な声だと思います。

大臣、どう思われますか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 この四号訴訟というのは団体に対する損害を補てんする制度なんですよ、納税者として、納税者というか。妙なことをやって、不正な財務会計行為をやって団体に損害を与えているものを補てんしようと、こういう制度なんですよ、基本は。


 そこで、今、委員が言われるような背任、横領は、これは刑事事件ですから、刑事事件として処理される、これはもう当たり前の話です。

この四号訴訟は、基本的には今言いましたように、団体に対する損害を与えたことについて補てんしろという制度なんです、制度そのものが。

だから、その点が一つ御理解を賜りたいと思いますし、訴訟費用については御意見ありますよ、確かに。ただ、訴訟当事者を個人から切り替えるものですから団体に、団体というか具体的には執行機関ですけれども、そこでそれは団体が持つと。

しかし、そのいろんな補てんは、今度は団体と個人の関係で求償すると。もちろん談合企業から取り上げると。これは四号訴訟でもそうなるわけですよ。

 背任、横領はこれはまた別個の議論で、これはもう一つ刑事事件として処理されると、こういうふうにお考えいただきたいと思います。

○松井孝治君

 そもそも刑事訴訟と行政訴訟というのは、じゃ何のために二重にあるのかということなんですね。

それは刑事事件だから刑事訴訟でやってくださいというのなら行政訴訟要らないんですよ、私が申し上げたようなことは。

 例えばもう一つ事例を挙げましょう。

 例えば、よくありますね、首長さんが逮捕される。例えば送検される前だとか係争中だと、談合企業でもいいですよ。そういうときに、さっきいみじくも局長さんおっしゃったけれども、恐らく今回の新四号訴訟では、それを行政訴訟として受けるということができなくなると思います。受けないだろうとさっきおっしゃいました

従来であったら、それは個人が個人を訴えるんだから、刑事訴訟と並行してやれるんですよ。行政訴訟として納税者としての権利を発動できるわけですよ。

 ところが、今回、組織として自治体を訴えるということになると、恐らく自治体は、正に局長さんさっきおっしゃったと思いますが、それは刑事係争中ですから、我々としてはその裁判を受ける受けない、言えない、留保ということをせざるを得ない立場に追い込まれると思うんです。

 これはまず端的にちょっと局長さんから、端的にで時間もありませんので結構ですが、お答えいただいて、大臣のちょっと御見解を賜りたいと思います。

○政府参考人(芳山達郎君)

 先ほど申し上げましたように、一般的にそういう刑事事案、横領とか背任という事案の場合には、先ほど大臣も申されましたが、刑事処罰に基づいて、訴訟がこういう訴訟は少ないです、ほとんどないです、横領、背任の住民訴訟はないです。

ないですが、一般的にはなぜないかというと、辞職や不信任で辞める、辞めますと、当然新しい首長さんの下に的確にその責任が追及されるというようなことになっておりまして、四号訴訟というのは起こっていないというのが過去の事例です。

 ただ、先生が想定で今言われた意味で申しますと、そういう住民から見て横領と思われる、背任と思われると、住民から見てですよ、そういうふうに思われる事案のときは、その前に住民監査請求が出ているわけです。

そして、それはこういう不正を働いたから、不正を働いたと思うから、地方団体がその職員から金を取りなさいという住民監査請求していると。

監査請求したけれども、監査委員の方はそういう判断をしなかったと。それは不服だということで住民訴訟に打って出ているような構図なわけですね。

そういうような構図でございますので、実際問題、確定として横領、背任の場合には、当然地方団体がそういうことを追及すべきであるわけです。

 それで、今回の訴訟の被告を執行機関にするということそういうような追及もしないような執行機関の説明責任を訴訟として新四号訴訟でやるんだという意味においては実益があるという具合に思っていまして、私が言っているのは、横領、背任の場合と先生言われますものですから、住民から見て横領、背任と思っても、まだそういう確定していない段階においては当然争いがあり得るという具合に思うんです。

結果的に、先生が確定した場合どうだ、確定した場合どうだと言われたら、結果論としてそういうこともあるかもしれませんけれども、確定する前については住民の判断と地方団体の判断、監査委員の判断が争われている構図の場合があるということを言いたかったわけでございます。

○国務大臣(片山虎之助君)

 背任、横領というのは分かりやすいのですけれども、これはケースとしてはちょっと変わったケースでございまして、この場合には地方団体が告発するんですよ。告発して、これは与えた損害は弁償してもらうと、こういうことになりますし、それについて住民の方がそれについても訴訟を起こしたいというのならそれは起こせばいいわけで。

 それで問題は、本来の四号訴訟は、例えば要らない物を買ったじゃないかとか、こういうことに何で補助金出したんだとか、何でこの建物を作ったんだとか、こういうことなんですね、そもそも。

これは個人が決めたんじゃなくて、その団体の政策判断なりいろんな予算の策定なり予算が成立するなり、そういうことに基づいてその執行の責任ある者がやったわけでありまして、そういうものを個人として言うのはそれは大変酷なんですよ、個人がやったんじゃないんですから。

個人は執行しただけなんで、それは団体の意思として決まり、機関の意思として決まり、命令があってやるんですから。

 だから、そういうことについて訴訟を起こす場合に、個人が対応するというよりも団体なり機関が対応していくと、こういうのが筋ではないかと。

背任、横領は分かりやすいですけれども、これは背任、横領はもう刑事事件の一つの仕組みの中で損害も取り上げますし、それは罰もされるし、告発もするんですから、そこを一緒にしていただかない方が私はいいと思います。(発言する者あり)

○松井孝治君

 今やじも飛んでいますが、私も与えられた時間がありまして、この問題ばかり。

若干、大臣や局長がおっしゃるのは、それは特殊な事例を挙げて言っているけれども、本来の趣旨、制度からいうと、言ってみれば端牌だというようなふうにも取れますけれども、ちょっとこれは今後の議論もありますので、また同僚議員の質疑にもゆだねていきたいと思います。

 一つ伺っておきたいのは、自治体を機関とする方が、自治体自身が政策判断だと、自治体の意思として決定しているものが多いので、今、大臣が正におっしゃいましたけれども、資料も豊富に出されるし、ある意味では制度の根幹の議論がなされるというようなことをおっしゃったと思うんですが、

例えば今の第三者としての位置付けでは資料がじゃ出せないのかと言われれば、現行制度でも訴訟参加という制度はあるわけで、これは別に資料を出せるわけですね。

 それから、もっと言うと、正に自治体の意向が自治体の組織としての決定なんだ、政策判断なんだということであれば、そういうものに、例えば自治体に訴訟参加義務というものを義務付ける、個人への追及というものはきちんと制度的に残しながら、しかし自治体もこういうケースについてはきちっと自ら説明責任を果たすべきだというふうに義務付ける。

要するに本末転倒で、全部個人を救済してまず組織はブロックするというのじゃなくて、個人を追及するという道筋を残しながら自治体も訴訟参加しなさいという義務付けを掛けるというような形で、逆転の発想で問題を処理できないんですか。

 どうもお話聞いていると、まあ首長さんとか職員の方とか、あるいは発注を受けた企業とか、それをまず一義的に自治体で守ってやろうというふうに、そういうふうに、別に聞こうと思って聞いているわけじゃないんですが、聞こえてしまうんですね。

そうじゃないんだと、むしろそこはきちっと追及の手は残しておく、だけれども自治体が訴訟参加をするということをきちっと義務付けて自治体も資料を出しなさいという、そういう逆転の発想は問題の解決としてはないんでしょうか。大臣、大臣いかがでしょうか。

ちょっと時間がないので、済みません。

○政府参考人(芳山達郎君)

 訴訟参加を義務付ける場合と当該当事者の被告になる場合と全く違うわけでございまして、今回の場合、当該被告となった場合には地方団体の有する資料を当然資料としてお出しすると。

これまでは一定の裁判の手続に基づいて嘱託送付手続等々の手続を取るわけでございますけれども、今回は当事者になるわけでございますので、資料が提出になるということでございますし、仮に不利益文書が存在しながら文書提出命令に従わない場合には、その不利益な効果は地方団体に及ぶわけでございます。

 訴訟、今、先生言われた意味での義務付けをしたと仮にしても、敗訴の場合の効果というのは全く違うわけでございまして、文書の提出をしない場合には敗訴の責めを負うというのが当事者の被告の場合でありまして、訴訟の義務付けではそういうことは起こらないということで、全く違うと我々は思っております。

○松井孝治君

 正に、そこで例えば資料の出し方にしても、訴訟当事者になるということになると、これは私自身の個人的経験で言っても、組織というのは絶対不利な資料を出さないんじゃないか、

これが多くの住民訴訟を経験してこられた住民サイドの意見なんですね。

 何で当事者になったら資料が出るのか、実態が明らかになるのか。

むしろ組織的な隠ぺいが行われるんじゃないか。今、情報公開というものが非常に重要性が叫ばれていて制度もどんどん整備されてきていますが、その中でも、やっぱり組織的に首長がやった、

例えば現職の知事や市長さんが何らかの不正を働いたという可能性がある、そのときに、その市や県が、府が訴訟対象になったときに、本当に組織としてきちっと情報提供をするんでしょうかね。

これについて、むしろそうやって引っ張り出すことによって真相を明らかにするんだという議論をされるんでしょうけれども、しかしながら住民サイドから見ると、そこに対する不信感があるんですね。

だから、それに対してきちんと情報提供をさせるというような制度的担保なり国としての意思が働いているんならいいんですけれども、そこが見えない。

したがって、恐らく多くの住民の方々が、あるいはマスコミの方々が、これが組織的隠ぺいになってしまうんじゃないか。

 公金を使って訴訟をやって、しかも職員を使って徹底的に訴訟に臨むと。そうなってきたときに、住民と、やっぱり県とか市とか大勢の職員を抱えているようなところとは力の差がありますから、物量の差がありますから、そうすると本当に逆に真相究明になるのかどうか。

あるいは、緊張感というもの、その職員あるいは首長さんが持っている緊張感というものがなくなってしまわないか。そこの弊害に対していろんな指摘が行われているわけでありまして、もう時間が余りありませんので、これから後、大臣に基本的に御答弁をお願いしたい。

端的に、大臣、見解をお述べいただけますでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 今は個人ですから、資料を出すまいと思えば出さずに済むわけですね。

そこで、裁判所では一定の手続をやらないと出してもらえない。

しかし、今度は当事者になりますから、当事者が資料の提出命令を拒否するということは、私はなかなか心理的な問題を含めてできにくいと思うんですよ。

より直接的になるんですよ、個人の方がクッションですから。

 だから、そういう意味では、そこは委員はそういうお考えですけれども、私どもの方は、ずっと資料の提出が容易になる、こういうふうに考えております。

○松井孝治君

 時間がありませんので、後の質疑にここら辺の問題、論点は譲りたいと思いますが、一つ、私、重要な問題だと思っていますのは、政策判断の問題なんですね。

 住民訴訟の法律的な対象というのは、財務会計行為に基本的には法律的には限定されている。

ただ、大臣自ら先ほども答弁でおっしゃったように、財務会計行為といったって、その背景にはいろんな制度がある、予算措置がある。

それはいろいろ議会で決めた、あるいは場合によっては国と連携した施策である場合もあるわけですね。

ある意味では、それを個人に、個人の責任で説明させるというのは酷だろうというお話があったと思います。

これについては、僕らは逆に訴訟類型の変更というのは若干行き過ぎだと思っていますが、しかし一般的な政策判断について個人に全部責任追及するのは酷だということは分からなくはないです。

 そうだとしたときに、現実にこの四号訴訟の訴訟類型を変更したときに、今後はむしろ政策判断については、組織としてそんな財務会計行為というようなことでぎりぎり狭い範囲でとらえずに、最近の判例もそこの政策判断に相当踏み込んできていますけれども、その政策判断自身に対して、今後は組織としてきちんと住民の訴えに対して争っていくんだ、それを土俵に上げていくんだというふうに基本的な考え方を変えておられるというか、判例の方向に沿う判断をしておられるというふうに考えてよろしいでしょうか。

大臣、お願いします。

○国務大臣(片山虎之助君)

 いやいや、正にそうなんで、団体としての説明責任を表からちゃんと取らせるということなんですよ。今は個人ですから、個人の行為に矮小化ということもないけれども、そういうふうに形が変わっているんですよ。

今度は一種の政策判断をやり、そういう予算を作りということの説明責任を団体に問うんですよ、あるいは機関に問うわけで、私はこの方が住民から見るとずっと分かりやすいと思いますよ。

 個人でやれることなんというのはもう知れていることなんで、それは今言いましたように、団体なり機関なりが意思決定をして予算に組んで、それを財務会計行為という形で表れるわけですから、金を出したとか物を買ったとか、それについての団体の責任を問うんですよ、個人の責任というよりも。

ただ、個人の責任も併せて問うんですよ、何度も言っていますように。訴訟告知をやって訴訟参加させて、個人の意見も問うし、個人が悪い場合には団体から求償させるんですから。だから、こっちの方が私は仕組みとしては整っている、こういうふうに思っております。

○松井孝治君

 明快な答弁をいただいたと思います。

恐らくこれは、今後の住民訴訟の訴訟の対象をどこまで読むかというときに、ここでの議論というのは当然裁判所においても参考にされると思いますので、ある意味では政策判断自体を、財務会計行為を伴う政策判断自体が今後住民訴訟の対象になるという見解を大臣から明快に示していただいたということを私はこの場をかりて確認をしておきたいと思います。

 さて、それに関連をするんですけれども、今正に申し上げましたように、四号訴訟の類型変更によって政策判断が今後の住民訴訟の対象になってくる。

そうしてきますと、地方自治体が担っておられる事務、政策、非常に多くの部分が、法定受託事務とか、国からの補助金を受けている、一〇〇%補助金が自治体としての政策判断になるのかどうかは微妙なところかもしれませんけれども、

そういう国策、国の政策自身を地域が担っておられるというものに対する政策判断、この政策が正しいのかどうか、これが住民に損害を与えているのではないかという判断が訴訟対象になってくるということになろうと思います。

 国の政策について、これは正に片山大臣の下で行政評価制度、政策評価制度というものが出てきています。

しかしながら、政策評価制度について言うと、制度ができたばかりでまだまだ実効性という意味では、私も去年に道路公団問題等質問させていただきましたが、なかなか、総務省の行政評価局においても、まだ各省を向こうに回して政策評価が本当に核心に切り込めているかというとなかなか切り込めていない現状だと思います。

 それは、一つには、いろんな情報等において各省の方が、例えば国土交通省とか、そういうところが圧倒的な情報を持っている。

それに対して、いろんな各省が持っている政策に対して、こういうところはおかしいんじゃないかといういろんな情報が届いていないと思うんですが、国の政策評価、行政評価を行う意味で、

例えば地域で監査委員の方々など、あるいは外部監査委員の方々、そういう方々は住民からいろんな請求が出てきているわけですね、監査請求が出てきている。

そういう住民のいわば実体経済に根差した、現場に即したいろんな国の政策に対する疑問あるいは問題提起、そういったものを外部監査委員、地方の監査委員の方々はお持ちなわけですね。

 そういう情報をもっともっと吸い上げて、具体的に国の政策でもおかしい、あるいは地域が悲鳴を上げているような政策というのはたくさんあると思うんです。

税金の使い道としておかしいんじゃないかと。

そういうものを、政策評価を実効性上げるためにも是非もっと活用して、国の政策評価制度に地域の自治体の監査委員、外部監査委員の方々の知見、経験、いろんな住民からの声、これを活用していくべきではないかと考えるんですが、大臣、御見解いかがでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君)

 今の答え、今の御質問にお答えする前に、三権分立ですからね、委員、統治行為は裁判所の判断になじまないですよ、高度の政治判断です、統治行為は。

その点は、特に国の場合にはいろいろありますから、御留意いただきたいと思います。

 そこで、今の国から補助を受けたり委託を受けた事業、その執行について政策評価をやらなきゃいけません。

その場合に、地方の監査委員さんやあるいは外部監査の関係の方や、そういう方と事実上の意見交換をやったり連携をすることは私は大いに結構だと、こう思っております。

○松井孝治君

 時間ですから終わりにしますが、恐らく今までそういったことを、連携を行っておられないんではないかと思うんです。

ですけれども、そこはある意味では総務省の、地方自治というものを担当される、それと行政評価、行政改革というものを両方担当している部局が合わさって総務省というのができたわけですが、それのシナジーの一環としても、地方の現実のいろんな声を、私は別に安全保障政策についてそれをやれとまでは言いませんけれども、是非現場のいろんな住民の声を拾い上げていって、無駄な政策あるいは実際の地域が悲鳴を上げているような政策の見直しというものに活用していただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。


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