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○委員長(小川敏夫君)
構造改革特別区域法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○松井孝治君
おはようございます。民主党の松井孝治でございます。
これまでの委員会に引き続きまして、引き続き残っている論点について、本日も鴻池大臣を中心にいたしまして御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、これは厚生労働省の政府参考人の方にお伺いをさせていただきたいんですけれども、今回の特区法案におきまして、特別養護老人ホームにつきましてはPFI方式とか公設民営方式というような形で曲がりなりにも民間参入が認められております。しかし、同じ厚生労働省でも病院、医療機関については、この特区構想においても、これまでの委員会で累次議論をされてきたことでありますが、民間参入が一切認められておりません。
どうして、特別養護老人ホームは一定の条件を課して民間参入を認めている、しかし医療機関は認められないのか。これは、特に事務方というのはいろんな議論をしますときに、バランスを判断をして、こちらとこちらとどういう守るべき法益があるのか、その比較考量において制度をきちっと検証するはずでございます。それについてどういう理由で片方は一定の条件で認めて、どうして医療の方は認められないのか、これについて合理的な御説明を伺いたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
今回の特区制度におきましては、特別養護老人ホームの経営につきましては特区において試行的に株式会社が行うということを認める一方で、医療機関の経営につきましては株式会社の参入は認めていないというところでございます。
これは、人の生命、身体にかかわります医療は、そもそも営利を目的とすべきものではなく、医療法上非営利の原則が明記をされているということが一つ。また、介護施設が高齢化の進展に伴いまして今後更に整備が必要であるということに対しまして、病院は全国的に必要病床の整備がなされておりまして医療提供体制は既に充実をしているということ等から、医療機関の経営については株式会社の参入を認めることは不適当であると判断し、株式会社の参入を認めなかったということでございます。
○松井孝治君
人間の生命、身体にかかわるという意味では、特別養護老人ホームでも重度の介護を必要とする方がいらっしゃると思うんですね。したがって、厚生労働省さんの言い分では、それは厳格な基準の下での民間参入しか駄目だと。そういう意味において、特養ホームには認めて医療機関には認めない。
同じように身体、生命にかかわるという意味では非常にお年寄りで、私も幾つかの特養ホームを見させていただきましたが、もうはっきり言って病院だから株式会社参入を認めなくて特養だったら認めるという意味では、やっぱり命を預かるという意味では特養ホームに勤めておられる方々も非常な厳格な倫理観を持ってお勤めだと思いますが、特養ホームは生命、身体にかかわらない、そういうものだから認めるという判断ですか。もう一回ちょっと確認的に答弁をお願いします。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
特別養護老人ホームは生命、身体にかかわるわけでございますけれども、介護分野につきましては既に有料老人ホームでありますとかケアハウスあるいは在宅介護などにおきまして介護株式会社の参入が認められているということでございます。したがいまして、今回一定の制限の下に特区において試行的に株式会社が特別養護老人ホームの経営を行うことができるということでございますが、医療につきましては法律上非営利原則が明記されておりまして、株式会社の参入を認めていないということでございますので、医療分野と介護分野について同一に論じることはできないというふうに考えております。
○松井孝治君
いわゆる経緯論はいいんですよ、経緯論でこれまで認められていないというのは分かっているんですよ。それを介護の分野ではある時点で判断をして、それを民間参入を一定の条件でケアハウスなり認めるという判断をこれまでしてきたわけですね。今回も更に特養ホームにそれを拡充するという判断をしてきたわけですよ。
にもかかわらず、医療について、さっき病床数も十分でこれ以上増やす必要はないという話でしたが、これまで盛んに、参考人質疑も当然ごらんになられていると思いますけれども、病院の院長さんも来られて日本の医療の質というのが不十分だ、民間であるという理由で排除する必要はないんだ、もっと質的充実を図っていくべきなんだという意見がこの委員会でも議論されている。鴻池大臣もそういう方向で議論されている。しかし、合理的に、何で特養の世界では認められて医療では認められないのか、どういうところが決定的に違うんですか。もう一回、説明していただけますか。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
今御説明したことでございますけれども、更にもう一点付け加えさせていただきますとするならば、医療は介護サービスとは異なりまして、提供側と患者側の情報の非対称性というのが大きいわけでございます。したがいまして、ある意味では誘発的な需要を生み出すおそれが大きいということから、介護分野以上に慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○松井孝治君
情報の非対称性という話はこれまでも盛んに議論をされてきました。情報の非対称性が大きいからどうして医療法人でなくてはいけなくて株式会社だったら駄目なのか。むしろ、参考人質疑でも株式会社とかあるいは法人であるとかいうことを問わずに、むしろそれは情報提供を盛んにしていかなきゃいけない、その医療の質を高めていかなければいけない、その観点において株式会社であるということが決して、それは株式会社だから情報の非対称性が解消できない、そういうことではないという議論が、この委員会でも私だけではなくて与野党いろんな議員からそういう議論が提起され、また参考人からもそういう議論が提起されていますが、株式会社だから医療に関する情報の非対称性が解消できないというのはおかしいんじゃないですか。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
当委員会でもいろいろ議論がなされていることは私ども承知をいたしておりますけれども、株式会社の場合、当然でございますけれども、売上げの増大あるいはコストの削減に努めるわけでございまして、したがいまして医療分野に進出をいたしました場合、収益性の高い分野に集中したり、あるいは過剰診療のおそれがあるということから医療費が高騰するということもございます。あるいはコストの削減の面から考えますと、人件費を削減し、あるいは不採算医療から撤退をするというふうなことから適正な医療が提供できないおそれもございますので、私どもとしては慎重に考えなければならないのではないかと申し上げている次第でございます。
○松井孝治君
それじゃ伺いますけれども、今までに民間で株式会社で医療を行っている機関が何十とありますよね、何十とあって、それはどういう評価なんですか。その個別の、ほかの医療機関とどういう差があるんですか。具体的に言ってください。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
今までの我が国の株式会社立の病院でございますけれども、元々従業員の福利厚生を目的として設立されたものでございまして、現在六十二病院ございます。基本的にはそれぞれの会社の従業員の方のために設立されてきているということでございます。具体的な収支の関係は十分承知はしておりませんけれども、成り立ちからすれば今の株式会社病院というのはそういう会社の従業員の方のためにやるものだというふうに承知しております。
○松井孝治君
余りいい加減な答弁をされない方がいいと思いますよ。会社の方だけのための株式会社の病院になっているかどうかというのは、一杯データがあるんですから、それを、具体的にどういう問題があるのか、株式会社、そんなに慎重に議論する必要があるというなら、株式会社の六十二あるところをきちんと評価して、こういう問題があるんだと、ほかの病院に比べてこういう問題があるんだということをきちっと言ってくださいよ。もう一回答弁してください。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
個別に十分その六十二の株式会社病院の実態について全部調査はしておりません。したがいまして、一概に申し上げられませんけれども、スタートといたしましては、今申し上げましたように従業員の福利厚生を目的としてスタートして、その後近隣住民の方々の希望に応じまして一般の住民の方も対象としているんではないかというふうに考えております。
○松井孝治君
ですから、従業員を対象にしているかどうかという経緯論を聞いているんではなくて、株式会社が信用できない、問題がある、慎重に検討しなければいけないと言うんなら、株式会社制の病院についてのきちんとした評価をして、こういう問題があるんです、おっしゃるようなクリームスキミング、こういう状況が起こっているんですと。別に個別の病院の悪口をここで言ってくれと言っているわけじゃないんですよ。そういう評価もせずにこの議論を、株式会社参入の議論をしておられたんですか、今まで。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
六十二病院全体を調査したものはございません。ただ、私どもの典型的な八病院についての調査結果によりますと、かなり三病院は赤字で本社から補てんをされているというふうなこと、あるいは五病院は黒字だと、そういったようなことしか今のところ把握しておりません。
○松井孝治君
私は経営状況が赤字か黒字かという話を聞いていないんですよ。さっきも参入に対して慎重であるべき理由で別に経営状況が赤字だとか黒字だとかいうのは挙げておられないでしょう。そうじゃなくて、さっき挙げられたのは情報の非対称性とか医療の質の確保とか、あるいはクリームスキミングが起こってしまうと、そういう話をされているわけでしょう。
だから、そういうことについて、株式会社六十二もあるんですから、きちんと評価をして、何かこの前私伺いましたら、病院のある民間機関がランキング出していて、その百の中に、全国で病院幾つあるのか、私、今数字、手持ち持っていませんけれども、その百傑の中にその株式会社の病院も入っているんですよ。そういう優れた医療を行っている株式会社もあるんですよ。だから、それをどう評価しているのか、そこをきちっと説明しないで、これだけ委員会で議論になっている医療についての株式会社参入について、それは駄目ですと。福祉で、特養で一定の条件付けてでもとにかくやってみようというふうに努力はされている、これについても私は問題はなしとはしないけれども、それに対して真面目に検討しているとは思えないんですけれども、もう一回答弁してください。
○政府参考人(阿曽沼慎司君)
株式会社の参入につきましては、今申し上げましたように株式会社の企業行動によります売上げの増大だとかコストの削減ということを目的とする部分がございますので、そういう意味ではいろんな弊害が懸念されるということを申し上げておるわけでございますが、具体的に現在ある日本の六十二の株式会社において具体的なクリームスキミングといいますか、そういうのが起きているかどうかということについては私ども十分承知はしておりません。したがいまして、その点については少し勉強させていただきたいというふうに考えております。
○松井孝治君
審議官が勉強させていただきたいとおっしゃいましたから、それは是非勉強をしていただいて、この特区法案の対象をどうするかという議論は、また一月十五日までに第二次募集をされて更に議論をされるというふうに聞いていますから、そこは私も何でもかんでも株式会社がすべていいなんということは言いません。ただ、株式会社であることを理由に排除するのが本当にいいのかどうか、きちんとした議論をして株式会社の参入を今回認めないという話をされていたのならともかくとして、今のような話だとちょっと私は納得できないと思います。
鴨下副大臣、今のお話聞いておられたと思いますけれども、政治家としてこういう議論を聞かれて、副大臣の場合はお医者様であるというバックグラウンドもお持ちでございますが、一言御感想を伺いたいんですが。
○副大臣(鴨下一郎君)
先生おっしゃるように、株式会社が必ずしも言ってみればクリームスキミングのようなことをするというような性悪説に立っているということではございません。
ただ、やはり医療若しくは先生おっしゃっているような例えば特別養護老人ホームの介護というような問題からいいますと、例えばおむつを換えるというところから致命的ながんの治療をするための手術をする、こういうような非常に段階的に様々な分野がありますから、そういう中でできる限りいろんな経営主体について参画をしていただこうというようなことで言えば、ケアの部分についてはできるだけ門戸を開こうじゃないか、ただ、最終的なところの医療の最も生命にかかわるようなところについてはもう少し議論をする必要があると、こういうような認識でありますので、株式会社必ずしも駄目だとか、株式会社だったらそれは営利だけでとんでもないことをすると、こういう議論ではないということだけは申し上げておきたいと思います。
○松井孝治君
今の副大臣のお話はある程度分かるんですけれども、ただ、そういう株式会社、必ずしも駄目だということではなくて、中身の議論をするという議論がなされていないということは、今の私の政府参考人、審議官への御質問とその答弁で私は相当程度明らかになっているんじゃないかと。要するに、最初からその評価、少なくとも六十余りの実績あるにもかかわらずそこのサーベイをしていない、それで理屈を付けて株式会社参入を阻んでいるというふうに聞こえてしまう議論であったと思います。
鴻池大臣、今の話も聞かれていて、これまでも委員会で何度も答弁をしていただいていますけれども、普通役人というのは、役人のいいところというのは、やっぱりこっちを認めてこっちを認めないというときに合理的な理由を付けるというのが役所の基本的なトレーニングなんですよね。ましてや同じ役所なわけですよ。別に旧厚生省と旧労働省というわけでもない。
旧厚生省の同じ役所で、片方は介護について、これだってお年寄りの身体、生命を預かる非常に大事な仕事ですよ、リスクのある仕事ですよ。それについては認めている。昔からケアハウスについてはもう以前に認めている。条件は私厳し過ぎると思いますよ、厳し過ぎると思いますが認めている。他方で医療については、どうも今のお話を聞いていると、まともに株式会社の参入について具体的な株式会社のビヘービア、行動についての評価もしないで、株式会社は、いや、クリームスキミングします、こんな医療みたいな情報の非対称性がある分野には株式会社無理ですよ、いや、病床数はもう日本は足りているんです、老人ホームとは違うんですと、そういう言い方をされると、これまでのこの委員会の質疑は何だったんだという感じ率直に言って私は持つんですけれども、大臣の御見解、御感想を伺いたいと思います。
○国務大臣(鴻池祥肇君)
ただいまの鴨下副大臣の御答弁につきましては、ある意味で私もほっとしているというか、今後ぴしゃっと門戸を閉ざしていない、いろんな意見の交換しようじゃないかという、そういうふうに受け取らせていただきまして、正に今後ひとつよろしくいろいろと御指導賜りたいなという感がいたしております。
審議官の悪口をともに言うわけじゃございませんけれども、病院六十二のうち数個の病院を見て赤字だ黒字だと、こういうことは余り意味がないんではないかと私も思います。病院が赤字といえば都立病院以下各公立の病院みんな赤字であります。都立病院なんか年間五百億、六百億の税金が病院に注入されておるというような状況でありますので、その辺の議論から出発をいたしますとこの特区の議論が間違ってくるんではないかというふうに私は思います。
もう一点、私は何度も大きなお声で小さな声で申し上げておるのは、全国で株式会社やろうと言っているんじゃないんです、特区は。一点でやってみたらどうかと。まして、建築会社がやるんじゃない、銀行がやるんじゃない、商社がやるんじゃない。病院が、立派なお医者さんが高度な医療、研究を兼ねてやってみようと。それは日本人の命を救うためなんだと。株式会社にしたら命が危ないと言う、片方は。私は命が大事だということでやってみようという方をどうしても支持したいと、このように思っております。
○松井孝治君
本当に大臣のおっしゃるとおりだと私は思います。是非、この後大臣にちょっと厚生労働省とハイレベルで交渉していただいて、また次の法改正が待っていると思いますので、そこで今の御意見、御見解を生かしていただきたいというふうにお願いをしておきます。
そして、今私若干特養の方は一生懸命やっておられて、医療はまじめに検討したのかという話を申し上げましたが、特別養護老人ホームについて同僚の黒岩議員の方から既に先日の委員会でずっと御議論をされているとおりであります。
確かに、特区においてPFI方式というやり方ですが参入が認められたのは私は一歩前進だと思います。ただ、その参入条件というのは非常に厳しいわけですね。これはもう既に委員会で議論になっていますから繰り返しませんけれども、この参入条件は、株式の東証、大証の一部、二部上場であるとか、あるいは純資産が三億円以上、税引き前利益一億以上。
今どきそんな企業どこにありますか。そういう税引き前利益が一億円以上なければいけない、あるいは上場していなければいけない、こういう条件を課されてしまうと、実際に特養をやろうという方で、一杯いらっしゃいますよ、私も存じ上げている方で。やってみたいと、そういうことで役に立ってみたいと。だけれども、現実にはやっぱり門戸を閉ざしているとしか言いようがないわけですね。これは大臣、私、何の基準で税引き前利益一億とか、あるいは東証、大証、名証の一部、二部上場でなければいけないと、何の基準で決めているかというふうに調べてみたんですね。そうしたら通達なんですよ。
よく大臣、局長通達とかなんとかいろいろ聞かれると思いますけれども、だれの通達かというと、これを根拠にしている通達というのは、実はケアハウスの参入に当たっての通達なんですけれども、またそれを社会福祉法人の施設設置許可の通達を援用しているとかややこしい問題はあるんですが、簡単に言えば課長さんの通達なんです、課長さんの。別に僕は課長だからレベルが低いとか高いとか言いませんよ。
ただ、ここで大臣が一生懸命厚生労働大臣とも折衝をされて、どういう条件で特養ホームに民間の会社が参入できるか。しかも、PFIというやり方ですから自治体との契約なんですよ。だから自治体は、そういう意味では契約で縛っているんですよ。何重にも縛っておいて、なおかつそこに経済的な基礎が必要だと。その経済的基礎はどういうことですかと言ったら、いや税引き前利益を一年間で一億円出さなければいけません、あるいは株式一部、二部上場せにゃいかぬ。これを決めているのは、それだけのハイレベルでこの法律をようやくここまでまとめ上げられてきて、その実質的な参入条件を決めているのは課長通達なんです。
政府参考人、一言だけ確認をいたしますが、私が今申し上げた経済的基礎の具体的な条件、これはもう団体事務だとか何とかかんだいいですよ、そういう前振りはいいですから。厚生労働省として十分な経済的基礎を有するということは、一億円以上の税引き利益又は東証、大証などの一部、二部上場条件であるということを、何のどういう文書でそういうものを元々基準として地方に投げ掛けているということが、課長の通達で投げ掛けられているということについて、そういう私の理解で誤っていますか。
ちょっと政府参考人、誤っているか誤っていないかだけお答えください。これは何とかかんとか、技術的なことですとかあくまでも我々の指針ですとか、そういうことは要らないです。私の認識が誤っているかどうかだけお答えください。
○政府参考人(恒川謙司君)
先生御指摘の通達は、軽費老人ホームの設備及び運営についての一部改正について、平成十四年の通達のことを御指摘だというふうに思いますが、これは厚生労働省老健局計画課長名の通達でございます。
○松井孝治君
大臣、分かっていただけましたか。これだけ国会で議論をしていて、しかし実際のそのハードル、これを厚生労働省が全国の都道府県とか市町村に通達を出すわけですね。これは普通の都道府県とかあるいは市町村、こういう通達というのは無視できないんですよ、それは。これは団体事務ですよと厚生労働省さん必ずおっしゃいます、それはそうなっています、団体事務です。もし、それは私は、うちの自治体は聞きませんと言うのは自由です。でも、忘れていけないのは、こういうものについては補助金があるんですね。厚生労働省から四分の三補助がこの施設に、ケアハウスなんか施設整備ですよ、これはまだ制度でき上がっていませんけれども、民間参入、補助金が出るわけですよ、ある一定の要件の下で。そういう補助金握られているところが、いや、こういう条件でないといけませんよと通達出されたら、これは普通の自治体はそれは聞かざるを得ないのは当然なんですよ。
だから、我々がこうやって国会で議論をし、非常に大臣レベルで折衝をして苦労をしてある要件でこれを民間参入を認めようというものは、実は一片の課長通達によってそこのハードルは事実上コントロールされている、それは当然国会での審議に付されているわけではない。
このことはちょっと大臣、是非頭に置いていただきたいと思います。大臣、もし一言御感想があれば。
○国務大臣(鴻池祥肇君)
この特区の構想が出て、そして、ただいま御審議を法案としていただいているわけでありますけれども、推進のための責任者、これは内閣総理大臣でございます。私は調整役でございます。この特区の構想をとにかく相進めるのであるという決意の下に、大上段にこの構想を進めておられるのは内閣総理大臣であるということを認識をしていただきたいと思うわけであります。
その内閣総理大臣が、できないものはどうやればできるかと。この言葉を下敷きに、我々はそれを信じながら進めてきておるわけであります。あるいは、難しいことを折衝をしているという現実から考えれば、ただいまの委員と役所のやり取りにつきましては極めて不快千万、このように思っております。
○松井孝治君
本当におっしゃるとおりなんですね。やっぱり、私は別に役所の通達を全部なくせということではない。しかしながら、こういう議論をしているときに、やっぱりこの通達については、この通達を引き続き基準として今採用されるというのは厚生労働省のスタンスだというふうに私は理解しておりますが、そこのスタンスは是非見直していただかないと、これは形だけ整えて事実上は入ってくるなと言っていることにほかならないと思います。そこは是非今後議論をしていただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。
それで、これは伺っておきたいのですが、そういうハードルを越えて民間が入ってきますと、入ってきたときに、社会福祉法人とか、今申し上げましたように、あるいは社会福祉法人ですね、具体的には、事業者としては。これは施設整備として四分の三の国及び自治体の補助ですかね、が行われますが、今後、この特区において民間参入が行われた場合に、きちんとした同じような補助金は受けられるんですか。それとも民間企業だからこれは受けられないんですか。
○政府参考人(恒川謙司君)
社会福祉法人が特別養護老人ホームを設置する場合には施設整備費補助金が交付されるのは先生御指摘のとおりで、その負担割合も、国が国庫補助基準額の二分の一、都道府県が当該四分の一を負担し、設置者たる社会福祉法人が残りの費用を負担するというのが現行の制度でございます。今回、特区においてPFI方式の下で特別養護老人ホームへの株式会社の参入を認めることとしておりますが、これについてはここの場でも何回も御議論させていただきましたように、憲法上の制約もあり、株式会社に直接施設整備費補助金を交付することはできないこととなっております。
しかし、厚生労働省としましては、平成十五年度予算の中で、構造改革特区において介護サービスの提供等に関する事項を盛り込んだPFI協定の下、地方自治体がPFI事業者の建設した特別養護老人ホームを買い取った上で、これを事業者に貸与し運営させる場合、その買取り費用を新たに国庫補助の対象とするよう財政当局に要求しているところでございます。
○松井孝治君
株式会社を参入したときに、そこに対してどの程度補助をするのかという議論はあるかもしれません、確かに。
ただ、今、大臣ちょっとこれは聞いておいてほしいんですけれども、大事なことをおっしゃって、やっぱり憲法上の制約というのがあるんですね。これはもうはっきり言って役所ではどうにもなりません。憲法上は、憲法八十九条、公の支配に属しない慈善とか博愛の事業、教育もそうですけれども、公金を支出してはならないと、こう書いてあるんですね。
ですから、公の支配というのは何なのかという解釈の議論はあります、最終的には、何らかの法人の根拠法があって、そこを解散を命ずることができるというのは恐らく従来の政府側の解釈だと思うんですね。これは今の特別養護老人ホームとか、あるいは教育の問題で私立学校に私学助成金を出しているのが本当に憲法違反であるのかないのかという議論があるところなんです。ですから、例えば今の私立大学に対して本当に公の支配が及んでいるのかというような議論もありますね。あるいは私立中学・高校、本当に公の支配で、じゃ文部省が言って、はい、おまえ解散と言えるのか、というような議論もあります。
ですから、憲法を今遵守する立場でいえば、その公の支配というのをどう解釈するのか、これからそういうものに対して一定の行為規制を掛けた上で株式会社に対してそれなりの、例えば教育でいうとバウチャーを出そうなんという発想ありますね。バウチャーという形で利用者が株式会社に対する教育についても使えるような補助制度を作ろうなんという動きも根強くあります。だから、そういうものについてこの公の支配をどう解釈するかという議論があります。
と同時に、本当に憲法の八十九条の規定というのはこのままでいいのかと。今の状況だって、公の支配というのは、実効的に支配していないところにお金出ているじゃないかという議論があるわけですが、これは本当は大臣と両副大臣にお答えいただくつもりだったんですが、余り時間もなくなってきたので、ちょっと大臣、この憲法八十九条、公の支配の解釈論とかそういうちょっと細かいところはいいです、この憲法八十九条の解釈というのは、解釈というか、これについて大臣自身は政治家として、今、閣僚としては余り言えないと思いますが、政治家としてどういう思いを持たれるか、一言感想を伺いたいと思います。
○国務大臣(鴻池祥肇君)
私はこの特区の推進のみが頭の中に一杯でございますので的確な答弁ができないかもしれませんけれども、私はやはりこの憲法論議に、そして結論の出ないこういった論議に振り回されるということは避けていただきたいなというふうに思います。いたずらに論議に振り回されるよりも、公の支配というものをどう考えていくかと。公正な競争を通じて国民のニーズに合わせてく、そして特区というものをもって活力を与えていくというのがこの構想でありますので、私自身は、やはり株式会社でありましても、あるいは既に既存の公の支配に類するものでありましても、同じレベルのところで感覚を持っていかなければならないだろうということは、行為規制の範囲内でこれを見ていく、こういう必要があるのではないかという思いでございます。
○松井孝治君
憲法解釈論に入ってしまうと袋小路に入ってしまうので、むしろ今の現行憲法の解釈の中で公の支配というものをもう少し幅広くとらえて現実的な解決策を見いだすべきではないかというような御答弁だと私は承りました。
鴨下副大臣は先ほど御答弁いただきましたので、河村副大臣の方から、これは特に私立学校への補助金はこれに当たるのかどうかという議論がずっとございますが、一言、もし大臣、政治家としての御見解がございましたら。
○副大臣(河村建夫君)
私も第八十九条を最初に見たときにこれはと思ったのでありますが、その後、現実に私学助成をやっているわけでありますから、どういう考え方でやっているかということを調べてみますと、やっぱりこれは私立学校に対しては学校教育法それから私立学校法、さらにこれは後にでありますけれども、私立学校振興助成法という法律を作りまして、これに基づいて各種の監督規定が設けられているということから公の支配に入る、そういうことで助成は問題ないという解釈になっておるわけでございます。
○松井孝治君
もう一歩踏み込んで、例えば株式会社のようなものが将来参入が認められたと、教育に対して。そういうものに対してひょっとしたら、程度の差はあるかもしれませんよ、公の支配の強さの度合いに応じて。当然、国公立の学校と私立学校と、またそれなりの行為規制のみが掛かる株式会社が一定分野に参入する場合、そこは株式会社の参入というのはこの公の支配、一定の行為規制が掛かれば公の支配と解することができると、政治家としては御判断されますか。
○副大臣(河村建夫君)
これは非常に微妙なところだと私は思うんです。それで、株式会社で学校を作った場合の今の私立学校法とかそれから私立学校助成法、学校教育法、学校教育法はこれは教育ですから考えられると思うんですけれども、私立学校法は入ってまいりませんので、この辺をどの程度公の支配と見るかということですから、どういう更に法的な支配を必要とするか、これはやっぱりちょっと検討をしなければ、今の時点でそのまま株式会社に助成をすることが公の支配だということは難しいのではないか。
さらに、これは憲法とは関係ありませんが、今経常費に助成をしているわけですね。そうすると、これができるということになると、株式会社の配当等も含めてそういうものに税金を使うということに、形になってしまいますから、これはかなり政策判断を要する問題ではないかと、このように考えております。
○松井孝治君
少なくともフラットリー・ノーというか、まず入口からそういうことはあり得ないというふうな御答弁ではなかったというふうに私は今解釈しますので、是非そういうことも含めて御検討を、これはもう政治家でないと無理です。これは官僚にこういうことを、憲法の解釈にかかわることを議論しろと言ってもなかなか難しいことですから、政治的にそういうことも含めて御議論をいただきたいと思っております。
ちょっと時間がなくなりましたので、あとちょっと急ぎますけれども、前回伺った鴻池大臣の権限、特に私は今の法律上、今の状況というのはこの前伺いました。ただ、この法案、基本的にもう採決が近づいております。この法案が成立した場合において、この法律上、この前申し上げました特命大臣、内閣府設置法上に基づいた強い権限を持った特命大臣というのがあるわけですが、この法律が施行された後に鴻池大臣が内閣府設置法上の特命大臣になり得るのかどうか。これは内閣府設置法でいろんな事務が書いてあったりしますから、これは純粋に法律的に、政府参考人、法制局の方から、法制的にそれは特命大臣となり得る要件を満たしているというふうに判断されるかどうか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(山本庸幸君)
御指摘の点は内閣府設置法の運用に関する問題ですので、本来であれば内閣府の方からお答えすべき問題だと思いますけれども、お尋ねですので、あえて私の方から申し上げます。
構造改革特別区域に関する事務は経済に関する重要な政策に関する事項にかかわるものでありますし、また閣議において決定された基本的な方針に基づく内閣の重要政策にも関係するというふうに考えられますので、内閣府設置法第四条第一項、第二項に規定する事務に該当するのではないかと思われます。そうであるとすれば、同法第九条第一項の特命担当大臣の所掌事務になり得るものと考えられます。
○松井孝治君
明快な御説明、ありがとうございました。
私もそう思います。ですから、制度上、少なくともこの法律ができ上がった、それで本部というものも法律上位置付けられておられる、その中で恐らく一定の位置付けを鴻池大臣は担われるということはもう事実上固まっていると思うんですが、そうなってくると、法律上はこれはもう十分特命大臣としての要件は満たしている、あとは法制局の方から今御答弁いただきましたようにその法律の運用をどうするかという判断になってくると思います。
そこで伺いたいんですが、今日は特区室の審議官もおいでいただいておりますけれども、これは内閣官房として、本当はこれ御担当は内閣官房でも別の部署なのかもしれませんが、内閣官房としての、組織としての意向として審議官の方からお答えをいたしますということでございましたので、審議官の方に確認をさせていただきたいんですが、今法制局の方から法制上は適用可能だと、特命大臣発令可能だと判断すると、あとは運用の問題ということですが、この特命大臣を鴻池大臣に発令するかどうかというのは、事務方として何か問題がありますか。それとも、これはもう内閣総理大臣の意思において、内閣総理大臣がそれを発令するというふうに言えば発令されると考えてよろしいでしょうか。
○政府参考人(中城吉郎君)
お答え申し上げます。
私は構造改革特区担当大臣の下の事務方ということでございますので、この御質問に答弁することが適当かどうかという問題はございますけれども、一般論として言えば、任命権者である総理大臣の政策判断というふうに承知しております。
○松井孝治君
これは鴻池大臣にお伺いしても自分の権限を強めてくれみたいな話ですし、そうでなくても政治家としてのリーダーシップがおありの方だというふうに私ども認識しておりますので、そういう権限によらなければ仕事はできないみたいな議論は、恐らく美学からいっても余りお好みになられないと思いますから、あえて大臣には伺いませんが、今の話を総括してみれば、法制的にも十分それは、今回のこの法律の施行を担当する事務というのは特命大臣の事務に足る事務であるというふうに、一般的に言えば内閣法制局というのはなかなか硬い解釈をされるところなんですが、そういう内閣法制局も法制的にはそれは十分可能ですというお話でしたし、今事務方も内閣官房を代表してそれはもう総理の政策判断だと言われたということは、私はこの場で確認しておきたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後の御質問を大臣にさせていただきたいと思いますけれども、これはもう以前からお話をしているところでございますが、やっぱり各省との関係の調整というのは難しい。ですから、今、特命大臣の話も私申し上げた。ここで最後、個別には通告をしておりませんけれども、やっぱりこの法律の特例規定を見直すということについて、今法律上、個別の各省が見直すということになっているんですね、法律の三十六条は。「関係行政機関の長は、」という主語になっている。総理大臣を位置付けるとしたらその他というところに位置付けるしかないという状況になっています。
これは私、次なる法律改正のときには必ず改正をして、やっぱり政府全体の観点から、あるいは内閣総理大臣を補佐する鴻池大臣が政府全体の観点から、おい、この規制はもう特区だけじゃなくて全国に及ぼすべきじゃないかという議論を提起できる、そのときにやっぱり各省をないがしろにしてやれということではありませんが、そういう法制に私この法律を作り変えていただきたい。やっぱり各省だけに任せると、個別で特区で認められたものについても、それをいろんな形でバリアを高くする、あるいはそれを全国に広げるのなんかはとんでもないという話になってしまう。ここはやっぱり政府全体として、鴻池大臣のリーダーシップあるいは総理大臣のリーダーシップでそれを全国に広げるような仕組みに是非改善をしていただきたいと思いますが、最後に鴻池大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(鴻池祥肇君)
野党第一党の方から私の立場について随分御心配をいただきまして、有り難いことだと存じております。
前回も御答弁申し上げましたように、いろんなタイプがあると思いますけれども、役職によって仕事ができるタイプ、なくても頑張れるタイプと。私はどちらかというと後者の方でございますので、人事に関しましては、一切関係者、総理を始め皆さん方にお任せをするところでございます。
しかし、先ほどの御議論の中で私もまた声を荒らげてしまったわけでございますが、一課長を侮辱するわけではございませんけれども、どうやればできるか、できないことをどうすればいいかという総理の大変重要な決断というか指導に対して、役所の課長さんがどうやったらできないようにしようかという御判断をいただくということは極めて不愉快なことであるというふうに私も先ほど答弁を申し上げたわけでございまして、そういったところを排除しながら、ほとんどの国民、ほとんどの政党の皆さん方が、この規制改革ということをやらなければ、構造改革をやらなければ日本の国に活力は戻らないという同じ視点からこの特区という構想も出てきたというふうに思えるわけでございますので、今、松井委員からの御提案というもの、極めて重要なことだと存じます。十分耳を傾けながら今後に対処していきたいと存じております。
○松井孝治君
終わります。
ありがとうございました。
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