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2002年12月10日午後 155回

参議院 内閣委員会   会議録

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○松井孝治君

 民主党の松井孝治でございます。

 今日は総理をお迎えしてということで、総理あるいは内閣全体のリーダーシップに私強く期待をして、一連の質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初、鴻池大臣からこの委員会でるる御答弁をいただきました。私も四回質疑に立たせていただきまして、そのたびに、この特区の構想を規制改革の突破口にするんだ、それについての鴻池大臣の非常に強い意気込みを感じてまいりました。

 しかし、これ総理に聞いていただきたいんですが、鴻池大臣、非常に強い意気込みを持っておられるんですが、今日も各省の方お見えいただいておりますが、各省は必ずしもそうじゃないんですね。むしろ私が見る限り、随分鴻池大臣とそごのある答弁をされています。私は、これは思い切って、与野党を問わず、この特区を使って全国的に規制改革を前に進めようという意欲のあるこの委員会の委員たくさんいます。それが非常に明らかになったのがこの一連の委員会質疑だったと思います。

 今日は、是非総理に、それを更に総理のリーダーシップで、各省にも、いろんなその背後にも抵抗勢力が一杯います。それはひょっとしたら与野党を通じているかもしれない。それを突破していくんだという是非強いリーダーシップのある御発言を期待したいと思います。

 まず最初に、この委員会で随分議論になりましたのが、これは医療とかあるいは教育についての株式会社の参入問題です。これは大臣と事務方の答弁が百八十度違うと言っていいぐらいのことがしばしばございました。これをちょっと総理にも聞いていただきたい。

 まず、これはじゃ教育からいきましょうか。学校への株式会社の参入の問題について、大臣は非常に意欲的な考え方をお持ちでした。しかし、事務方はことごとく理由を付けて反対をしておられる。これは事務方がいいです、かえって。副大臣だと上手に答弁されますから。事務方に、何で学校に株式会社参入できないのか、文部科学省として反対なのか、端的に御答弁願います。

○政府参考人(玉井日出夫君) お答えを申し上げます。

 教育はやはり公共性が重要でございますので、そういう意味で我が国は、民間活力を特に生かす形から学校法人という形を通じて私立学校が大きな役割を果たしているわけでございます。したがいまして、株式会社が直接学校を設置するのはいかがであろうかということを申し上げてきたわけでございますが、ただ、申し上げておりますのは、今回の特区で、せっかくの御提言でございましたので、それができるだけ実質的にできるようにということで、学校法人の設立要件を大幅に緩和させていただいているわけでございます。

○松井孝治君

 公共性がある、したがって株式会社には任せられない、これは基本的な論理なんですよ。これ、総理よく聞いておいてください。

 それから、じゃ厚生労働省、医療、病院の分野に株式会社が参入できない、これについての端的な理由、午前中にも言っていただきました。あの理由を端的にまとめておっしゃってください。

○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答え申し上げます。

 医療は人の生命、身体にかかわることでございますから、特区の制度の対象とすることには課題が多いというふうに考えております。

 株式会社の医療経営への参入につきましては、株式会社はできる限り多くの利潤を追求するということを本質としておりますので、これを実現するためには、経費の減少でありますとか、あるいは売上げの増大による利益の確保等を目的とするわけでございまして、適正な医療を提供できなくなるおそれがあるんではないかということから不適当ではないかと考えているところでございます。

○松井孝治君

 こういうことなんです。私、今日ちょっと風邪ぎみでして、薬飲んでいます。この薬は全部民間の企業が作っているんですね。それから、私もよく飛行機に乗ります。この飛行機は人の生命を預かっているものですよね。民間の航空会社が使っております。

 だから、問題は、株式会社だったら公共性を担えないとか、あるいは株式会社だったらそういう人の命を預かれない、もうこういう発想はいい加減やめにした方がいいんじゃないかと。必要な規制はやればいいですよ、株式会社はこういうことをしてはいかぬ、あるいはこういうことをしなさいと義務付けをする。だけれども、株式会社を入口から排除するような議論をいつまでしているのかなという議論をずっと大臣とさせていただいてまいりました。

 もう一つ、今日午前中の質疑で、総理は認識しておられるかどうかあれですが、特別養護老人ホームは一定の条件の下に民間の参入を認めたんですね、今回。それは特別養護老人ホームも人の命を預かる。お年寄りでやっぱり重度の方もいらっしゃる。それは認めて病院はどうして認められないんですかということについて、正直言って私は納得できる答弁を得られなかった。恐らく、隣にいらっしゃる鴻池大臣も表情を見ている限りにおいてはどうも釈然としないという表情をしておられました。

 例えば、特別養護老人ホーム、これPFI方式という自治体と民間が契約するようなやり方です。非常に縛りが掛かっています。その特別養護老人ホームに参入するときに、経済的な基礎を有することというのが法律にも条件が書いてあるんですね。経済的基礎を有するとはこれ何だろうということで同僚の議員からも御質問があって、私もそれに刺激を受けて調べて役所の方から聞いてみました。そうすると、東証、大証、一部、二部上場であること、又は直前の一年間で一億円以上の税引き前利益を上げていること、こういうことを要件とするというのが厚生労働省の答えなんです。しかも厚生労働省の、一億円以上の利益を一年間で上げていることですよ、税引き前の、あるいは東証、大証、名証で一部、二部上場であること、こういうことが、民間で特別養護老人ホームをPFI方式という自治体と契約を交わしてやるようなやり方でもその条件を満たさないと入れませんという答えなんです。

 それは、じゃ法律上どこに書いてあるんですかという話を申し上げました。いや、それは法律ではありません、この法律が認められたら通達でやるんですと。実は、それに類似のケアハウスみたいなものに民間参入を認めたときも通達でそういうふうな条件を作っています、同じことですとおっしゃる。じゃその通達ってどういう根拠で出しているんですかと言いましたら、こういろいろ引っ張り出してみたら、私は資料要求してみましたら、大証あるいは東証の一部、二部上場企業でなければ民間参入できないという条件は、実は厚生労働省の課長の通達なんです。そういう通達をここの国会で議論をして、鴻池大臣も御苦労されて各省と折衝されて法律を作って、どういう条件で民間参入を認めるかという議論をしているときに、課長通達で一部、二部上場企業でないと特別養護老人ホームに入れない、そういうことを実質上のバリアを設けておられるということが明らかになったんですよ。

 これちょっと、私が意外なことを言っていると思われたら困りますから、政府参考人、午前中も御質問をいたしましたが、私の認識、課長通達にのっとった基準、これは正確に言うと前のケアハウスの話ですが、それをまた今回応用しようとしておられるという意味で、私が言っている課長通達に基づいてそういう経済的基礎、上場基準みたいなものを参入要件に位置付けられているということは間違っているか正しいか、それだけお答えください。

○政府参考人(恒川謙司君)

 午前中お答えしたように、この通達は厚生労働省老健局計画課長名で出されているものでございます。

○松井孝治君

 ありがとうございます。
 そういうことなんです。ですから、先ほどおっしゃったように、公共性が理由、あるいは人の身体、生命にかかわるものは株式会社にゆだねてはいけないという理由、あるいはそれよりは一歩は進んでおられるかもしれない、特別養護老人ホームについては一歩進んで、ある条件の中で条件を満たしたら民間の株式会社の参入も認めるよと。ただ、その条件は、法律上の条件以外に、課長通達で東証一部、二部上場でなければいけない、あるいは年間一億円以上の税引き前の利益がなければいけない、そういうことを決めているのが今の現状なんです。

 その中で、鴻池大臣が実は非常に獅子奮迅、この委員会では、委員の皆様方がずっと参加しておられますから皆さん見ておられることですが、それと対決する姿勢をとっておられます。
 これ、鴻池大臣、ちょっとこの際、締めくくり総括ですから、ちょっと今の部長あるいは審議官の答弁、あるいは事実上の参入障壁、そういうことも含めてこれどう考えられているか。株式会社の医療、教育あるいは福祉の分野に対する参入についての従来の各省あるいは行政の取組についてどう思っておられるか、是非率直な御意見をいただきたいと思います。

○国務大臣(鴻池祥肇君)

 総理が御出席でございますので、総理の前で悪口雑言は控えたいと思っておりますが、基本的に、何度も申し上げておりますように、教育の分野あるいは医療の分野で株式会社が入っていく、多様化するニーズの中でいろんな方法を考えていくというのは、全国一律で全国的にやろうという、全国的にお願いしたいと言っているわけじゃなく、一点集中、一か所でやってみませんかと。医療も高度な医療の先端技術の中で一か所でやってみると。北海道から沖縄まで全部株式会社にしようと言っているわけじゃないということを度々申し上げておりますが、発想は、どうしてもそれがまずいということで、規制改革のためにハードルを逆に上げていくという様子が見られるということは極めて不愉快極まりない。我々が推進しよう、また委員の皆さん方が大変な議論を重ねてこの日本列島に活力を生んでいこうという中で、極めて不愉快な行為であるというふうに私は言わざるを得ません。

 全国一律ではなく、大変多くの国民の多様化したニーズをどう受け止めていくか、しかし全国的な規制というのは難しいから、一か所で一度試みにやってみようというのが医療の分野であり、また教育の分野であると心得ておるところであります。

○松井孝治君

 総理にお伺いしたいと思います。

 今、大臣がおっしゃったようなことを大臣は実はもう何回も何回もずっとおっしゃっています。しかし、各省の答弁、部長さんとか審議官とか局長さんとかの答弁、今日に至るまで全然変わらないんです。公共性だ、人の命にかかわることは株式会社に任せられない。株式会社に全部やれと言っているわけじゃないんですよ。規制なしにやれと言っているわけじゃないんですよ。株式会社で医療やったって、それはお医者さん、きちっとした医師免許を持った人が命を預かってやるわけですよ。それを、しかも全国の一点でまずやってみようということに対していまだにこれだけ抵抗がある。これ、総理のリーダーシップ。大臣がこれだけおっしゃっていても答弁変わらないんですよ、各省の。

 是非ちょっとこれ、今回の法案は法案として、また次に法改正を検討しておられるというふうに聞いています。総理のリーダーシップで、株式会社がやっぱり医療とか教育に参入する。総理のモットーですよね、民間でできることは民間でやらせると。必要な規制を僕は全部撤廃しろなんて言っていませんよ。それについて総理、是非強力なリーダーシップ、御答弁をいただきたいんですが。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 今回の特区に関しては、まず地方から手を挙げてくれということが一つの趣旨であります。地方から手を挙げたことについては検討していこうということでありますので、私は、今言われたように、株式会社だから公共性がないという議論には全く賛同はできません。株式会社でも十分公共的なサービスなり公共的な商品を作って、あるいは提供して社会的な公共活動をしている株式会社たくさんあるわけですから、心配な点はどうやって防ぐかということを考えれば、株式会社だって、教育だって医療だってやっておかしくないはずであります。

 今の御質問の趣旨等を含めまして、今後、特別な地域でそういう手を挙げてくる地域が出てくるかどうか、また株式会社、特別な地域に教育なり医療なり参入して、多くの国民もこれならおもしろいな、心配ないなというものが出てくるかどうかよく見守りながら規制改革特区構想を進めていきたいと思います。

○松井孝治君

 ありがとうございます。もう総理が明確に株式会社だという理由で参入を否定しないというふうにおっしゃいましたので、是非、総理のリーダーシップでやっていただきたいと思います。

 ちなみに申し上げておきますと、総理の認識を新たにしていただきたいんですが、株式会社で教育や医療をやりたいというのはもう提案出てきていますので、そういうものが出てきているということを踏まえて、是非検討していただきたいと思います。そこは恐らく、ちょっと衆議院の議論を見ましたけれども、総理、ちょっと誤解をされているんじゃないかなと思いました。

 それで、そういうふうに各省と大臣だけでは前に進まないことがあるんですよ。これだけの剛腕大臣で前に進まないんだから大変なものだと思いますよ、各省の抵抗というのは。

 それで私、総理に是非ちょっとこれ理解していただきたいのは、鴻池大臣の肩書は担当大臣なんですよ。これ、総理は認識しておられないかもしれないけれども、各省に聞いたんですよ、内閣の事務方、総理の部下にも。担当大臣です、特別の権限はないんです、普通のほかの大臣と並びなんですと。

 ところが、実はこれ、行革の一環で、内閣府で総理の特命を帯びた大臣については強い権限を与えられるという規定が法律上あるんですよ。法律上あって、この法律が成立したら鴻池大臣を特命大臣にすることができますかということをあの頭の固い内閣法制局に聞いたんですよ、午前中に。そしたら、法律的にできますと。総理の部下の特区の担当の方とかあるいは内閣官房に、そういうことはじゃ法律の運用上できるのかというふうに聞きましたら、いや、これは総理の判断さえあればできますと。

 特命大臣は何が違うかというと、各省の普通の大臣はよそ様の権限について口出しできないというのが今の内閣の法律的な整理なんですよ、権限の整理なんですよ。特命大臣になれば、きちんと勧告して、それで勧告、言うことを聞かないときには、最後、総理の裁断を仰げると。総理の内閣法六条に基づく指揮監督権の発動を求めることができるというところまで実は権限整備してあるんですよ。それは総理の後ろにいらっしゃる秘書官が昔、行革を担当しておられたときにそういう法制を作っておられますよ。そういうものを作って、やっぱりこれ各省と大臣が幾らリーダーシップあっても、みんな後ろで舌出すような人がいるんですよ。

 だから、これは法制的にできるということですし、もう運用だけの問題ですから、私はこの法案が通りました暁には、是非、総理の判断で、力の強い人ですよ、力も強いし声の大きい人だけれども、やっぱり権限の後ろ盾、伝家の宝刀で抜かなくてもいいんですから、その権限の後ろ盾は特命大臣に与えなければいけないと思うんですが、総理の御見解いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは法的な問題じゃないと思います。役所が反対するというのは、役所だけの反対じゃないんですね。背後に多くの関係する団体、議員、付いているんですよ。だから、大臣の権限とか以上に、もう鴻池大臣やっていますから、そういうのをよく踏まえてやれば、法的な権限を与えるかどうかという問題じゃなくて、いかにそういう反対を説得していくかというむしろ政治的な問題だと思っています。その点については、余り私は法的な権限とかいうものにはこだわっておりません。

○松井孝治君

 いいです、法的な権限こだわらなくてもいいんです。とにかく実質を与えてください。ただし、今、特命大臣でないと、自分のスタッフも内閣官房の間借りであるとかいろんなことが、実は総理が御存じないようないろんな制度的な縛りにつながっているんです。だからこそ私は申し上げているんです。

 ですから、そういうことも含めて、きちんと大臣の下に、総理が後ろ盾になって、各省と思い切りやってくれと、構造改革やってくれという指導力を僕は発揮していただければいいと思います。

 その意味で、ひとつこれもお願いしたいんですが、この法律上、極めて巧妙なことになっているんですよ。法律の評価で、特区における規制改革の評価、例えばさっきの特養老人ホームに民間参入を認めるというような特例ができますね。これを特区だけじゃなくて、じゃ民間、もう全国にこの判断を広げていっていいじゃないかという規定があるんです、法律上。ところが、その判断をするのは結局だれかというと、鴻池大臣じゃないんですよ。個別の各省がそれを認めて、全国に広げてもいいと思ったときに初めてその規制改革は、規制緩和は全国的に広がるということになっているんですよ。

 私は、これはまず運用でもいいですよ、できれば法改正してほしいけれども。そういうものを個別の各省に認めさせるということではなくて、政府全体の判断として、内閣総理大臣が最終的に責任を負うような形で規制改革を全国に及ぼすというような仕組みを作っておかないと、各省の大臣があるいは各省の役人が反対している限り、いつまでたってもその特区の中の特例的なものにしかならない。それだったら、改革の突破口としてこの特区制度を導入した意味がないんです。

 ですから、私、総理にお願いしたいのは、それを全国的に規制改革を広げるかどうかの判断は内閣全体として、総理大臣がヘッドになって内閣全体として、せっかく本部も作ったんですから、判断を行うと、そこを明言していただきたいんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは現在でも内閣全体で当たっていますから、鴻池担当大臣の指導の下に、最終的にどこが問題かまとまらないという場合には私に意見を仰ぎますから、内閣全体として当たればいいと。私はしっかりとやってくれと鴻池大臣に指示を出しているんですから、私は今のような現在の法体系でも十分可能だと思っております。

○松井孝治君

 それができないから言っているんですよ。

 今回の質疑を見ていても、鴻池大臣と平然と食い違った答弁をみんな事務方がされます。鴻池大臣が繰り返し言っても前に進みません、政府側の答弁が。だから、これはもう一段強いリーダーシップ、総理が、別に法律に基づかなくてもいいですよ。ただ、節目節目で総理指示を出して、さっき総理が踏み込んで答弁をされたように、学校や病院に対する株式会社の参入、これはいつまでも抵抗しているんじゃないと。むしろ参入する前提で、じゃどういう条件だったら参入できるのか、そういうことを議論しろというような指示を節目節目で総理が出されないと、そういう形でバックアップを鴻池大臣にされないと、この役所の仕組みというのはそんな簡単に変わるほど甘いものではない。

 だから、その意味での総理のリーダーシップを是非御発言で期待したいと思います。御答弁をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 既に鴻池大臣に指示出していますから、鴻池大臣は、さらに今回が終わりじゃない、これからやると言っていますから、その指導力を期待しています。そこでどういう返答が出てくるか、それを見て判断するべき問題だと思っています。

○松井孝治君

 もう私に与えられた時間は切れますので、是非、総理それから鴻池大臣、これ各省任せにせずに総理自身の判断として、あるいは鴻池大臣は総理を補佐される、できれば僕は特命大臣としての位置付けぐらいは簡単なことですから与えていただきたいと思いますが、各省の縦割りの、しかもその背景にはいろんな関係団体やあるいは議員だっているかもしれない、そういうものが付いて鉄壁の守りをしているのを崩していただくために一段のリーダーシップを発揮していただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。


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