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2003年4月23日 156回

参議院 本会議 代表質問  会議録

食品安全基本法案について     会議録 ホーム


○松井孝治君

 私は、民主党・新緑風会を代表して、食品安全基本法案につきまして、関係大臣に御質問申し上げます。

 本題に入ります前に、新型肺炎の感染拡大について伺います。

 いわゆるSARSの国際的な感染の広がりは、大型連休を控えて我が国国民にも著しい不安を与えているほか、相次ぐパック旅行の中止を含めた旅行客の減少や、日系企業など外資系企業の駐在家族の引揚げ、商談の中止、延期などを通じてアジア地域全域にわたって深刻な経済的打撃を与えております。

 坂口厚生大臣、本日現在での国内及び海外在留邦人における感染の疑いのある症例の有無、件数をお示しください。

 さらに、現時点で講じておられる防疫・感染予防対策、国内で感染者が発生した場合の治療体制と感染ルートの解明対策、並びにそれらに必要な専門家の確保の状況について具体的な御答弁を求めます。

 また、中国では、昨年の秋に感染症例を確認しながら、数か月の間、極めて不十分な情報開示しか行わず、そのことが事態の深刻化の一因となったと言われておりますが、今後の我が国における情報開示、情報提供体制の在り方についても御答弁を願います。
 次に、過去に科学技術庁長官を務められ、現在、治安の維持や交通安全の問題など、国民の生命、安全に直接最も大きな責任を担われている谷垣大臣にお伺いいたします。

 二十世紀において物理学を中心とする科学の進歩を基軸として、近代社会が進歩と開発という価値を追求し、人類はすばらしい生活水準の向上と効率的な社会システムを手にし、その安全を脅かす自然の脅威の克服には大きな成果を上げてまいりましたが、同時に、我々は、我が内なる危険、すなわち人類がつくり出した人為による生命への危険という大きな試練に直面いたしております。もろ刃のやいばである原子力の発明、開発、膨大な化学物質の開発と利用、医療技術の進歩による長寿化の達成と多発する薬害や医療ミス。国家的な課題である先進技術の開発と利用に当たっては、開発と同等あるいはそれ以上のエネルギーが安全性の確保に充てられてしかるべきであります。

 現代文明の利便性を極力維持発展させながらも、特に我々の食生活、住環境、社会システムやライフスタイルを考え直さなければ、地球環境の保全も持続的成長もあり得ないのではないでしょうか。国民の中における環境志向、スローフード・スローライフ、地産地消、そうした概念への共感の広がりをどう受け止め、自由貿易体制や市場経済の下での経済活力の維持強化との折り合いをどのように付けていくのかは、二十一世紀の政治家だれもが悩まなければならない課題であります。

 今後の経済社会において、安全という価値を政治や行政システムにどのように位置付けるべきか、谷垣大臣、新たな時代のリーダーにふさわしい識見を官僚答弁ではなく自らのお言葉で示していただきたいと存じます。

 法案の具体的論点に入ります。

 今回の法案は、食品の安全性の確保という政治的課題を基本法という形で政治的に確認した意味において、そして食品のリスク評価、管理、コミュニケーションを三位一体とするリスク分析という概念が後ればせながらも日本の行政に導入された点において評価に値するものではあります。しかしながら、具体的にリスク分析が成果を上げ食品安全が確保されるためには、依然として不十分な点が少なからず存在し、以下、各点にわたって関係大臣に御質問申し上げます。

 第一点は、食品安全委員会の独立性とその権限の脆弱性であります。

 政府案では、食品安全委員会は、国家行政組織法上、与党の皆さんがお嫌いな審議会扱いの八条委員会であり、かつ、リスク管理機関である農林水産省、厚生労働省に対し勧告権はあるものの、勧告内容の実施に何らの強制権も持たない機関であります。道路公団民営化推進委員会や原子力安全委員会の例を挙げるまでもなく、このような機関が果たして実効性ある提言を行い得るでありましょうか。あるいは、霞が関は本委員会が機能することを本当に願っておられるとお思いでしょうか。

 米国においてFDAという組織が決定的に国民の信頼を得たのは、サリドマイドを使用した薬品の販売権を得たメレル社の激しい運動にもかかわらず、安全性に疑義を抱いた担当審査官ケルシー女史が頑としてサリドマイドの承認を与えず、ほとんどサリドマイド薬害が生じなかったという事実が契機であったと言われています。

 谷垣大臣、何ゆえに食品安全委員会を独立性の確保された三条委員会としなかったのか、そして、八条委員会であるにせよ、勧告権にはせめて内閣府設置法上特命大臣に与えられているのと同様の、最終的には内閣総理大臣が内閣法六条に基づいて指揮命令権の発動まで行える、そのような強力な担保手段を付与しなかったのか、理由を明確に御教示いただきたいと存じます。

 世間では、結局は農林水産、厚生労働両省の権限を維持し、形の上での独立性を装う組織編成であるとの批判が行われています。大臣はこの批判に説得力を持って答えられるのでしょうか。御見解を伺います。

 第二点は、BSE問題でも各方面から指摘された農林水産省と厚生労働省の二元行政、重複行政の弊害を是正する措置が法律上具体化されていない点にあります。

 九六年にWHOが牛への肉骨粉の供与を禁止すべきだと各国へ勧告した直後に、当時の厚生省の局長が農林水産省の局長に文書で要請したにもかかわらず、農林水産省は法規制ではなくあくまでも行政指導による肉骨粉禁止という方針を変えませんでした。

 農薬の製造、流通は農水省の規制、農薬の残留基準は厚生労働省の規制であるため、農薬登録されても残留基準がない農薬が多いという実態や、食品の品質表示についての食品衛生法とJAS法での二重基準をどう見直すのでしょうか。別の省の仕事には陰口はたたいても表立っては口は出さない、しかし他省が類似の予算や法規制を持っていても平気で類似施策を導入するという縦割り行政の弊害は極めて深刻であります。

 結果として責任不在の行政の犠牲となり、また二重行政のコストを負担する国民に対して、リスク管理行政組織の一元化をなぜ見送ったのか、谷垣大臣から具体的な理由をお聞かせください。

 第三の問題は、食品安全委員会の専門性の問題であります。

 BSEやHIVの問題、最近の金融行政、原子力安全から知的財産権、研究開発に至るまで、我が国の行政組織の決定的な問題は、意外なことに専門性の欠如にあります。

 米国のFDAは食品に関して人員二千八百余名、英国の食品基準庁は六百余名、フランスの食品衛生安全庁は五百五十名と、いずれも多くの専門家をその組織の中に抱えております。我が国の場合、四名の委員と職員五十四名以外は非常勤、しかも職員の多くは各省からの出向が予想されるという有様であります。

 リスク評価機関を標榜しながら自前の研究組織も持たず、必要な研究や分析は大学や利益相反関係にあるリスク管理機関の研究所の知恵を拝借するといったていたらくで国民の食品安全に対する信頼を得られると思われますか。二言目には行政の肥大化防止と役所の方はおっしゃいますが、では農林水産省の抱える約六千人の統計担当職員の定員を活用することをどうして検討されないのか、あるいは検疫所や国立医薬品食品衛生研究所、国立公衆衛生院といった研究機関の専門家の一部又は全部を食品安全委員会のスタッフとして採用すればいいではないですか。谷垣大臣に説得力のある御答弁をいただきたいと思います。

 第四の問題は、生活者、消費者の視点の希薄さであります。

 科学的根拠に立った分析評価の重要性は言うまでもありませんが、いかなる食品について委員会がリスク評価を行うのか、その選定に当たっては日々スーパーや商店街に出掛けて自ら買物をされている消費者の方々の感性や嗅覚、そして意見を積極的に活用することが極めて有意義ではないでしょうか。

 食品安全委員会も消費者モニター制度を導入すると聞きますが、予算規模にしてわずか二千三百万円、せいぜい各都道府県に十人程度の非常勤のモニターを置くことしか予定していないと聞きます。BSE調査検討委員会の報告にも、「消費者が意思決定に参加し、意見を表明し、情報を提供されなければならない。食品の安全性の確保に関する基本原則として、消費者の健康保護が最優先に掲げられ、このような消費者の安全な食品へのアクセスの権利が位置づけられなければならない。」と記述されています。

 私たちは、草の根的な食品安全の確保のため、全国に最低数万人程度の消費者食品モニターを置くほか、モニターに対する研修制度の充実、モニターと専門調査員の食品安全に関する意見交換会の積極的開催などを提案したいと考えますが、谷垣大臣はこうした提案に耳を傾けるおつもりはおありでしょうか。

 第五は、今回の基本法案の施行のみで関係する行政全般の視点の転換が十分に行われるかどうかについての疑問であります。

 農林水産、厚生労働両省のリスク管理チームは真に産業振興や供給側の論理や利益と遮断された体制で業務を行えるのでしょうか。農水、厚生両大臣の見解を伺います。

 同時に、どんなに立派な食品安全委員会やリスク評価チームを省内に設置し、リスク管理チームを設置しても、それらが二十四時間、三百六十五日、常時食品の製造や流通を監視するわけにはまいりません。特に、農林水産省内部の生産・流通担当部局の意識改革が重要であることは論をまちません。生産者や業者の育成振興策のみの視点ではなくて、消費者の利益の増大や安全の確保を生産・流通担当部局に徹底するために農林水産大臣はどのような努力を払われるのでしょうか。

 また、この際、平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法について、食品安全の視点の充実と環境調和型農業政策への転換の姿勢を一層強固に位置付ける改正を行うおつもりがあるのか、農林水産大臣の答弁を求めます。

 第六の問題は、輸入食品の安全性の確保であります。

 本法案は、食品供給行程の各段階で食品安全確保のための措置を講ずる、すなわちトレーサビリティーを確保するとうたっています。BSE問題に端を発して、牛肉については関連法案が用意されているところですが、今後、その他の食品についてどのような具体策を講じられるおつもりか。特に我々が口にする食品の六割を占める輸入食品の安全性確保について、水際措置に加えて、国際機関や外国政府との連携の下、いかなる安全措置を講じられようとされているのか、谷垣大臣の答弁を求めます。

 結びに、谷垣大臣の政治姿勢についてお尋ねをいたします。

 大臣は、二年前のお正月に読売新聞に掲載された中堅キャリア官僚アンケートを覚えておいででしょうか。二〇一〇年に活躍が予想される政治家、そして二十一世紀に首相になってほしい政治家、その両部門で谷垣大臣御自身が一位を獲得しておられます。石原東京都知事や小泉純一郎現総理を抑えて、官僚からの信頼度は当代随一の政治家と言っても差し支えないと思います。

 そのアンケートに際して、記者の、官僚からコントロールしやすいと見られているという指摘もあるがとの問いに対して、大臣は、そういうところもあるかもしれない、良く言えば安心感、悪く言えばむちゃしないからと答えておられます。これは大臣一流の御謙遜かもしれません。しかし、現在国民から求められている政治家像は、官僚のレクチャーののみ込みが早く、物分かりの良い政治家ではありません。与野党を問わず、従来の因習や既得権益を打破し、真の国益を追求する強い指導者こそが国民に求められているのではないでしょうか。

 今回の食品安全基本法案は、まだまだ十分なものではありませんが、貴重な一歩であることは間違いありません。この法案に魂を入れるも入れないも大臣次第、既存の農林水産、厚生労働両省、いや霞が関全体の生産者、供給者中心の価値観にくさびを打ち込むのも、あるいは官僚、霞が関の官僚の担ぐおみこしに乗るのも、すべて大臣の意気込み次第であります。霞が関の役人の高い評価、これを受け止めながら、霞が関の役人の大半をむしろ今は敵に回してでも行政の価値観の大変更を、その突破口を谷垣大臣が開かれるおつもりがあるのかどうか。一人の政治家として、大臣の意欲、そして官僚組織に対するリーダーシップを要望、期待し、最後に大臣の御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕


○国務大臣(谷垣禎一君)

 松井議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、技術の進歩に対応した安全の確保という、食の安全を超える大きな問題を提起されたわけでございます。議員が御指摘のように、科学技術の進歩というのは私たちにすばらしい便益も供給するものでありますけれども、他方、時に安全を脅かす危険性をはらんでいるということ、御指摘のとおりであります。

 このため、新たなこういう技術の導入に当たりましては、科学的知見に基づいてそのリスクを評価していくということと同時に、広く国民の中で対話あるいは情報、意見の交換、こういうものを行いながら、安全の管理、確保に努めていくということが重要になってきているのではないかと思います。食品安全基本法は、食品安全の分野においてこういう手法を取り入れ確立しようと、こういうねらいでつくられているというふうに私は考えております。

 次に、食品安全委員会を三条機関としなかった理由、それと勧告権の担保手段に関するお尋ねがございましたが、食品安全委員会が行いますのは客観的、科学的な食品健康影響評価であって、行政処分といった国家的意思を決定し執行することではありませんので、いわゆる三条機関とはしなかったものであります。

 食品安全委員会の勧告はすべて内閣総理大臣を通じて行われ、その内容が公表されるとともに、勧告に基づく措置が委員会に報告されることになっておりまして、その実効性は十分担保されているというふうに考えております。

 さらに、農水、厚生労働両省の権限を維持して独立性を装ったにすぎないんじゃないかという御懸念を申されました。

 この法案によりまして、これまで厚生労働省や農林水産省で混然一体として行われてきたリスク評価とリスク管理を分離して、食品安全委員会が関係各省の食品の安全性確保に関する施策の策定に当たりまして、一元的にリスク評価を行って、必要に応じて関係各省に勧告するほか、施策のモニタリングを行うこととなります。こういうふうに、この法案によりまして国民の健康の保護を最優先とする新たな食品安全行政体制を確立するものと考えております。
 続いて、リスク管理行政の一元化に関する御議論がございました。

 食品安全行政については、食中毒への対策は医療行政とも関係し、農薬に対する規制は農林水産行政や環境行政にかかわるといった幅広い様々な分野に関連するために、これをリスク管理というだけで一元化することは必ずしも適切ではないのではないかと考えております。この点はBSE問題に関する調査検討委員会の報告も同様の考え方に立つものだと理解しております。

 今般の法案では、リスク分析手法の原則に返って、リスク評価の機能を一元的に行うこととしたものであります。

 それから、食品安全委員会の専門性あるいは常勤スタッフに関するお尋ねですが、諸外国の政府機関とは組織やその役割が相違すること等から一律に比較はできないと思いますが、食品安全委員会は、食品の安全性に関する識見の高い七名の委員のほか、専門委員延べ二百名程度、事務局職員五十四名、非常勤の技術参与二十五名から成る体制でありまして、これにより必要な専門性は十分確保できるというふうに考えております。

 また、委員会の事務局については、科学と行政の双方に通じていることが求められますから、専門性のある人材の確保に努めていきたいと考えております。

 それから、食品安全委員会の専門性の確保に関するお尋ねですが、食品のリスク評価等については幅広くかつ深い専門的素養が求められますので、単なる定員増よりも、必要な人材の育成確保を図ることが今後の課題であると考えております。

 また、食品安全委員会が担当する分野は極めて幅広く、他方、既存の研究機関はリスク管理においても必要なものでありますので、行政の肥大化防止の観点からも、緊急時には国立研究機関に対し必要な調査を要請することができるように規定するなど、その機能を活用する仕組みとしたものであります。

 次に、リスク評価の対象の選定に当たって消費者の意見等が反映される仕組みを導入すべきとの御議論がございましたが、食品安全委員会が実施するリスク評価の優先順位など、リスク評価に係る年間計画の検討に当たりましては、消費者、食品関連事業者等の意見に十分配慮することとしております。

 次に、食品安全に関するモニターについてのお尋ねですが、食品安全委員会では、その行うリスク評価やリスク管理機関による施策の監視に当たって消費者などからの意見や情報の収集を行うため、関係行政機関の既存のネットワークを活用するほか、独自のモニターを設置することとしております。また、このモニターについては、委員との意思疎通やそれぞれの知識の向上を図るための機会を設けることを検討しております。

 それから、牛肉以外の食品についてのトレーサビリティー確保のための具体策をお尋ねになりました。

 いわゆるトレーサビリティーシステムは食品の安全性の確保の観点からも有効な手法と考えておりますが、牛肉以外の食品にこれを導入することにつきましては、技術的課題のほか、費用負担の増加とか規制の強化の是非といった観点もありますので、各食品の生産、流通の実態を踏まえて総合的に検討されることが必要であるというふうに考えます。

 次に、輸入食品の安全措置についてのお尋ねですが、輸入食品の安全性確保のための措置は、事業者による自主検査や水際での検査、検疫といった輸入時ないしそれ以降の措置が中心となると考えますが、これらだけでは十分な安全性の確保ができない場合には、外国政府等と協議を行って、その合意を得て、現地調査など、生産・製造段階を含めて必要な措置を取ることはあり得るというふうに考えております。

 最後に、私の政治姿勢について、私、決意があるかどうか、お尋ねがございました。

 食品の安全性を確保して安心して毎日食事ができるようにするというのは政治の大きな責務であるというふうに私は考えております。そして、この法案では、国民の健康が最優先である、こういう理念を確立して、その理念の下でいわゆるリスク評価、リスク管理が行われていく、このまず手法を確立すると、これがこの法案のねらいでございますが、その前提としてリスク評価を一元的に行う機関をつくっていく、私がその担当の閣僚を命ぜられているわけでございます。

 私も決意を持って国民の食の安全のために全力を尽くすことをこの場でお約束をいたしたいと、こう思っております。(拍手)

   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕

○国務大臣(坂口力君)

 松井議員にお答えを申し上げたいと存じます。

 まず最初に、新型肺炎SARSについてのお尋ねがございました。

 国内症例についてでございますが、四月の二十二日現在までの報告の累計を見ますと、WHOの基準によります疑い例が四十例、可能性例が十六例というふうになっておりましたが、二例を残しましてほかの方はすべてシロというふうに判定をされたところでございます。二名の方も現在もう既に熱等も下がりまして回復に向かっておみえになりますので、多分シロではないかというふうに思っておりますが、経過観察をしているところでございます。海外の在留邦人につきましても、幸いにいたしまして現在のところそういう状況は報告をされておりません。

 それから、一番大事なことは水際での予防でございまして、そういう意味で、航空機内における問診票の配付でございますとか、空港内におきますところの検疫体制を強化をしているところでございます。

 万が一発生をいたしましたときの体制でございますが、全国で百の病院、五百十七ベッドの陰圧病室を整備したところでございまして、全国的に行き渡ってまいったというふうに思っております。

 SARS患者が発生しました場合には、具体的に、その搬送、患者さんを運ぶのをどうするか、あるいはまた病院内におきましてどういう措置を取るかといったようなことにつきましても具体的なことを都道府県に指示をしているところでございますし、また、都道府県においていろいろと検討をしていただいたのを我々の方に報告をしていただいているところでございます。

 感染しました場合には、二つの大事なことがございまして、一つは、病院内において感染をさせないこと。外国におきましては医師、看護師等に大きく広がりを見せておりますので、そうしたことを防ぐということが一つ。それから、その発症されました方の周辺、足取りの中で接触をされた皆さん方にその感染をしないようにするという両面からの体制を今整えているところでございます。

 外国におきましても、ハノイの病院等は日本が非常に今までから、二〇〇〇年から提携をしてまいりまして、感染についてのことを指導してまいった病院におきましては一人の医師、看護婦もこの感染を起こしておりません。他の病院と際立って良好な結果を得ておりますので、国内におきましてもそうしたことを広めていきたいというふうに思っている次第でございます。

 今後の状況でございますが、時々刻々これ変化いたしますので、その情報につきましては速やかに発表をさせていただきたいというふうに思いますし、医療機関等に対する情報提供も滞りなく行いたいと体制を整えているところでございます。

 以上、SARSについてでございました。

 もう一つは、リスク管理チームの体制についてのお尋ねがございました。

 規格基準の設定など厚生労働省が行いますリスク管理につきましては、産業振興を所管しない食品保健部で行っております。今般の食品衛生法の抜本改革以降におきましても、引き続きまして、産業振興とは切り離した組織において、国民の健康の保護を図ることを最優先として適切なリスク管理を行ってまいりたいと考えているところでございます。(拍手)

   〔国務大臣亀井善之君登壇、拍手〕


○国務大臣(亀井善之君)

 松井議員の御質問にお答えをいたします。

 私には三問いただいていると思います。

 まず、農林水産省におけるリスク管理チームの独立性の確保のお尋ねでありますが、農林水産省ではこれまで産業振興とリスク管理とを明確に分離せず実施してきましたが、両者のチェック・アンド・バランスが十分に機能しなかったとの批判を踏まえ、産業振興部門から分離、独立して、消費者行政やリスク管理業務を一体的に担う消費・安全局を設けることとしております。このような体制を整備することにより、消費者の健康保護等を重視するリスク管理部門と産業振興部門との相互の牽制や緊張関係を持たせるとともに、食品安全委員会等と連携してリスクコミュニケーションに積極的に取り組むことにより、農林水産省における食品安全施策の透明性を確保し、御懸念のようなことがないよう、国民の健康保護を第一に考えた行政運営を進めてまいります。

 次に、生産・流通担当部門に対する消費者の利益の増大や安全性の確保の徹底についてのお尋ねであります。

 政府全体の新たな食品安全行政の体制下においては、農林水産省に新たに設けられる消費・安全局が厚生労働省と連携してリスク管理に必要な施策等を講ずることとしておりますが、省内の生産・流通担当部門においても、消費者、生産者という視点を忘れては生産、流通はあり得ないという共通の認識に立って行政に当たることが重要であります。

 このため、私は、政府全体の新たな食品安全行政に的確に対応し、職員の意識改革を徹底する観点から、食の安全・安心のための政策大綱をこれら新体制を発足させるまでに取りまとめるとともに、消費者の視点に立った食料・農業・農村政策を再構築することにより、農林水産分野の更なる改革に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 最後に、食品安全と環境調和型農業についてのお尋ねでありますが、食品安全及び環境と調和した農業の推進は既に食料・農業・農村基本法において極めて重要な施策の展開方向として位置付けられております。すなわち、基本法において、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興の四つをその基本理念として位置付けております。

 その具体的な規定として、第十六条において食料の安全性の確保が掲げられ、食品の衛生管理及び品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずることが明記されており、また、第三十二条において、農業の持続的発展に係る基本的な施策として、農業の自然環境機能の維持増進を図ること、そのため、農薬及び肥料の適正な使用の確保、家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進その他必要な施策を講ずることが明記されているところであります。

 今後、基本法の理念の実現に向けて、食料の安全性の確保と、環境と調和した農業の推進に係る具体的な施策の一層の推進を図ってまいる所存であります。(拍手)
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