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○松井孝治君
民主党の松井孝治でございます。
本日は、大臣、そして今御答弁もいただきました渡辺政務官もおいででございますので、まず最初に、この法案に直接は関連はいたしませんが、政務官、今おいででございますので、最初にSARSについて御質問をさせていただきたいと思います。
このSARSでございますが、今日時点での我が国の状況、我が国国内における感染者あるいは感染の疑いを持たれる人間、患者さんがいらっしゃるかどうか、あるいは在外の邦人でどの程度感染の疑いのある方がいらっしゃるのか、そのまず現状を政務官の方から教えていただけますでしょうか。
○大臣政務官(渡辺具能君)
SARSの国内症例等につきましては、現在までの報告を申し上げますと、疑い例が四十三件、それから可能性例が十六件となっております。これらにつきまして、これまでのところでは、専門委員会の症例検討の結果ではすべての報告例が否定されております。
また、海外についてもお尋ねでございましたが、海外の在留邦人におきましても、SARSと確定した患者がいるという情報は承知いたしておりません。
○松井孝治君
それは今日時点での数字だと理解をさせていただきます。
それに関連して、随分連休中もいろんな報道がなされていて、政府としてもいろんな取組をされているというふうに思いますけれども、一部には、仮に国内でSARS発病者が発生した場合に、その感染ルートの解明というのは非常に重要な問題となってくるわけでありますが、その感染ルートの解明に必要な専門家の数が足りないんではないかというような話、あるいは都道府県ごとに発病者が出た場合のどういう病院に搬送するのかということについていろいろ情報が出ていますが、それを見ても、まだ都道府県によっては収容する病院がないというような事例、私の地元の京都府なんかもそういう報道がなされていたと思いますが、そこら辺の、感染ルートの解明やあるいはその治療に当たる病院、施設、専門家の数、この辺りについて、十分な専門家あるいは病院、施設、あるいは医師等が確保されているのかどうかについて政務官の御答弁をいただきたいと思います。
○大臣政務官(渡辺具能君)
SARSの感染ルートの解明についてお尋ねでございますが、SARSが国内で発生した場合は、感染症法に基づきまして都道府県が積極的疫学調査を実施することになっておりまして、患者やその接触者からの聞き取り調査等を通じまして、感染経路の解明に取り組んでいるところでございます。
それから、海外でも発生しておるわけでございますが、海外で発生しているわけでございますが、厚生労働省としても、発生地域に専門家を派遣しまして、都道府県が行う疫学調査を技術的に支援する予定であります。また、疫学及び臨床医学の専門家で構成される派遣チームをもう既に組織しておりまして、要請があればいつでもこれに向かえるという状況でございます。
それから、国内で患者が発生した場合の医療提供体制の整備でございますけれども、患者の搬送方法や有症状者への医療提供体制等につきまして具体的な行動計画を作成、公表するように都道府県知事に要請をしてきたところでございまして、既に全都道府県におきまして行動計画が策定されて、ちょっと今、京都の例は私も聞き及んでおりませんが、体制の整備が図られたというふうに承知いたしております。
○松井孝治君
私がお伺いしたのは、都道府県における疫学調査の専門家、この数が不十分じゃないかという指摘が行われているわけです。今の時点では、疑い例や可能性例も精査された結果、その疑いは晴れているということですから大事には至っていないんですが、これは非常に公衆衛生上大切な問題だと思うんですね。
それから、医療提供体制も、体制が整備されたというのは、他府県への移送というか搬送というか、そういう形も含めて恐らく取りあえずの体制が整備がされたということであって、必ずしも各都道府県内で完結した体制が整備されたということではないと思うんです。
ですから、ここは法案の審議の場ですから、是非お願いをしておきたいのは、正にこれ食品の安全の問題とも軌を一にする問題でありまして、そういう公衆衛生上の問題が生じたときに、新しい問題が生じたときにきちんと専門家を集められるような体制、これもなかなか、新種のウイルスが発見されてその感染症ということになるとなかなか大変であることは分かりますけれども、是非日常から専門家の確保ということについて意を払っていただきたい、このことを御要望申し上げておきます。
本日は、外務副大臣もお見えでございます。今、国際的な協力体制をどう組んでいくかということが非常に重要な問題になっています。
二つの点についてお伺いしたいわけでありますが、一つは、在外邦人、これだけ経済が国際化しておりますと、例えば中国なんかでも非常に多くの日本の企業が進出しておって、たくさんの在外邦人の方が中国に、あるいは海外に駐在をしておられます。そうした現状を踏まえて、今の外務省さんとしての、日本政府としての在外邦人の保護という意味で、今回のSARSに関連してどのような措置が取られて、今の状況では中国どういう状況になっているのか、あるいはそれ以外の東南アジア地域にも感染が広がっているわけでありますが、どのような措置をこれまで取られ、また今後どのような措置を取られるのかという点が一つ。
もう一点は、予防、治療のための国際的な協力体制を作っていくということについても、外務省として、あるいは日本政府として取り組んでおられると思います。この点はひょっとしたら厚生労働省とまたがる点があるかもしれませんが、どのような取組を今行われていて、今後、我が国の方の体制も必ずしも十分にできていないという状況ですから難しい部分もあるのかもしれませんが、日本政府としては、国際協力、医療あるいは予防に対する国際協力にどう取り組んでいくのか、副大臣から御答弁いただきたいと思います。
○副大臣(矢野哲朗君)
御答弁申し上げます。
SARSに関する危険情報等については、WHOの情報を踏まえた上で、現地の大使館、総領事館、そして厚生省と十分緊密な連携を取らさせていただいておりまして、各地の情勢に応じつつ、適時適切に外務省としての情報提供をさせていただいているところであります。
一例でありますけれども、北京市であります。我が国としましては、四月二十二日に不要不急の渡航の延期をお勧めする危険情報を新たに発出をさせていただきました。
我が国に地理的に大変近くて、大変多くの交流があるということがまず一つの理由であります。それから、北京市での累積死亡者が香港における死亡者を超えるに至ったわけでありまして、四月三日には香港に対して危険情報を発出した経緯があります。それを上回ったという現状があります。そして、第三点としまして、カナダ等の域内感染地域と異なりまして、伝播形態が明確になっていない。これらの理由からして、不要不急の渡航の延期をお勧めするというふうな危険度に改定をさせていただきました。
ちなみに、WHOが渡航延期勧告を出されたのがその後でありますから、我が国としては独自にそういうふうな状況下でもって判断をさせていただきました。
また、邦人のための一つの対応でありますけれども、二十九日に、北京市における感染の拡大、長期化、中国当局によってあり得べき隔離処置などを踏まえまして、一時的に北京を離れることが可能な在留邦人は、帰国の可能性を含め検討することをお勧めしております。
その他、在留邦人に対しての我が省としての対応でありますけれども、今申し上げたような渡航情報の発出、そしてそれぞれ広くその他の地域においても情報を発出をさせていただいて、ホームページ等々も活用させていただいております。また、マスクの提供でありますけれども、香港、広州、北京、それぞれに相当な邦人に対するマスクの提供をさせていただきました。そして、現地においても、そして東京においても企業における説明会も開催をさせていただいたと。
いずれにせよ、最大限この防止に対しての、感染防止に対しての努力を厚生労働省と共々協力し合ってやっていきたいと考えております。
加えまして、今後の国際間での一つの協力体制いかがというような御質問だったと思いますけれども、一つは二国間という一つの取組でありまして、ベトナムから要請がございまして、二班に分けて我が国として派遣をさせて、医療団の派遣をさせていただきました、三月十六日から四月一日。ついては、ベトナムにおいて四月二十八日、SARSの制圧宣言が発出されたということに対して、我が国としても相当貢献ができ得たんではないかなというふうに考えておりますし、加えまして、先般四月二十九日でありますか、バンコクで開催されましたASEAN首脳国会議、首脳会議ですか、において、保健緊急基金の創設を提案をされたというふうにも聞いております。
この基金でありますけれども、既に一九九九年、我が方としては基金の大本の基金に二千万ドル既に出捐をさせていただいておりまして、その枠内で改めてSARSに関連する基金も作っていこうというような動きがあるようでありますけれども、それらの動きも注目して見詰めたいと思っております。
以上であります。
○松井孝治君
是非、これは国際的な協力がそのまま、こういう感染症の場合は、国内の安全の確保にもつながりますので、是非今後とも政府において十分な取組をお願いしたいと思います。
それに関連して、これは渡辺政務官の方にお尋ねすべきかもしれませんが、連休中の報道で、中国からの帰国者を一定期間、隔離ということとは違うんでしょうけれども、外出を自粛をしていただくという方針を政府が出されたというお話を伺いましたが、これについてはどういう事実関係なんでしょうか。
○大臣政務官(渡辺具能君)
任意でお願いをするということでございます。
○松井孝治君
任意でお願いといいますと、具体的にどういう形で政府として、これは非常に幅広い国民に関連するわけですね、どういう形でそれは国民に対して徹底をしておられるんでしょうか。再入国のときに要請を出されているんでしょうか。
○大臣政務官(渡辺具能君)
細かな点については、質問の通告いただいてなかったもので、細かなことを確認しておりませんが、先ほど申し上げましたように、それは個人の任意に従って行動していただくということになっております。
○松井孝治君 質問通告をいたしておりませんので、必ずしも十分な御答弁をいただかないということで責めるわけではありませんが、今事務方の方も後ろにいらっしゃるはずでございますので、これは国民にとって非常に関心事項であろうと思います。たくさんの方が、今回はゴールデンウイーク中の海外渡航者は減ったとはいっても、多くの方々が中国にも旅行をされているわけでありまして、それはビジネスであったり観光であったりするわけでありますが、その方々の外出自粛というのはどういう形で政府として自粛をされているのか、どういう形で渡航者に対してそれを周知徹底されたり要請されているのか、この点、後ろからメモを出していただいても耳打ちしていただいても結構ですので、もし可能でしたら今御答弁をいただきたいと思います。
○大臣政務官(渡辺具能君)
確かな事実を確認いたしまして、後日報告をさせていただきたいと思います。
○松井孝治君
ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。
それで、本題に入らせていただきたいと思います。
四月の二十三日の本会議で谷垣大臣ほか関係大臣に御質問をさせていただきましたが、それに引き続きまして、この食品安全基本法案の基本的な内容について幾つか御質問をさせていただきたいと思いますが、本日は政府参考人として篠原所長に御出席をいただいております。
結構でございます、矢野副大臣。それから、渡辺政務官ももしよろしければ御退席いただいて結構です。
篠原所長には政策研究機関としての所長のお立場から今の農林水産行政、篠原所長には政策研究機関の長として今の農林水産行政そのものに直接的に責任を負っておられないとは思うんですが、非常に食品の安全の問題について識見をお持ちでございますので、そういう観点から、現在の農政ということに必ずしも縛られない立場で政策研究機関の長として御自由な御自身の見解を是非お述べをいただきたい。それを是非内閣府といいましょうか内閣官房といいましょうか、谷垣大臣以下皆さん方も耳を傾けていただいて、その上で御答弁をいただきたいと思います。
篠原所長にお伺いいたします。
まず、食品安全というものについての考え方、これアメリカ、ヨーロッパそして日本と先進地域の中で比較をいたしまして、日本の食品安全というのはアメリカ、ヨーロッパに比べてどういうところは非常にセンシティブといいましょうか、国民の間での関心が高く、また行政としての対応が進んでいるのか、アメリカ、ヨーロッパはむしろ日本に比べてこういう部分は政府もあるいは国民も関心が非常に高い、そこら辺の比較について、これは篠原所長も研究所の中で研究を進められておると思いますが、個人的な御見解も交えてで結構ですので、所見をお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(篠原孝君)
最近の情勢でございますけれども、先ほどいろいろな方々が述べておられますように、食品の安全性については農政の一番の柱に各国ともなりつつあります。ただ、日本とアメリカとヨーロッパを比べた場合、それなりの違いがあると、重要性という点では同じなわけですけれども、違いがあるんじゃないかと思います。
アメリカの場合で見ますと、安全性全般、食品の安全性全般については関心があるわけですけれども、それよりも、どちらかというと、食品の安全性も含めてですけれども、環境全般についての関心が一番高いような気がいたします。
例えて申し上げますと、遺伝子組換え食品については日本では非常に懸念があります。アメリカの消費者にもあってもいいはずなんですが、FDAを相当信頼しているようでございまして、FDAがいいと言えばそれで安心して食べていると。しかし、それが、例えばBtコーンというのに表れているわけですけれども、Btコーン、ガを殺すわけですけれども、トウモロコシに害になるガを殺すわけですけれども、そのガを、アメリカ人が非常に愛しておりますオオカバマダラ、モナークバタフライ、三千キロ何か飛ぶんだそうです、一番だれもが知っているチョウチョウですが、このチョウチョウの幼虫の四四%が死んでしまうという調査結果が出ると突然反対し出すと。
ですから、自分の体というよりも地球環境全体のことを考えていろいろなことが行われているような状況ではないかと思います。
それに対して、ヨーロッパの場合は、広く環境問題があります。京都議定書や何かに対する対応等にも表れていると思いますけれども、もう相当かじを環境の方に向けて取っていると。国民もそうだと。順序、逆じゃないかと思います。国民がそういう方向に向いておるんで、何かにつけて厳しいと。
例えば、成長ホルモン、WTOでアメリカとパネルで何回もやり取りをしております。大体負けておりますけれども、頑として成長ホルモン入りの牛肉は輸入しないと。それから、抗生物質に対しても厳しいと。それから、我々日本人にとっては何のことかよく分からない点もあるわけですけれども、動物の権利というものを盛んに心配しておりまして、非動物道的な飼い方をしてはいけないということで、例えば鶏のゲージ飼いなども一羽当たり何平方メートルなければいけないという基準を作って、自由に広げていって、二〇一〇年には全部放し飼いにするんだというようなことも堂々と議論されております。
これは非常に特徴的なことじゃないかと思います。食品の安全性もそうなんですが、やはり環境にも非常にかかわっているんじゃないかと思います。
日本の場合ですけれども、非常に関心が高いと。ただ、ピンポイントというか、一つ二つの問題について異様に関心が高いと。今で言いますと、典型的なのはBSE、GMOじゃないかと思います。しかし、同じように害があるのかもしれない、ヨーロッパでは心配されている成長ホルモンとか抗生物質とかいったものについては余り騒がれないというような状況じゃないかと。
ちょっと、三つの先進国ですけれども、それぞれ対応が違うような気がいたします。
○松井孝治君
ありがとうございます。
今の篠原所長のお話を伺っていて、やはり食品安全ということがいわゆる衛生上の安全あるいは狭い意味での疫学上の安全ということを超えて、国際社会においてはやはり今おっしゃったような環境の問題やあるいは農業の生産・流通行程全体をどうとらえて安全を確保するかということが国際的な潮流にはなっているんではないかというふうに私も思いました。
そこで、篠原所長に更に御質問をさせていただきたいんですが、私の理解では、地産地消という考え方を最初に、日本でというよりは、日本語ですから当然日本でなんですが、地産地消という考え方を日本で最初におっしゃったのは篠原さんがもう十五年ぐらい前におっしゃったというふうに理解をしているわけでありますが、今の諸外国の農政の潮流といいましょうか、農政、食品の安全も含めた農政の潮流というものを踏まえまして、今後の我が国の農林水産政策というのはどうあるべきなのか。地産地消ということを唱えておられて、また旬産旬消というようなことも篠原さんはずっとおっしゃっていますが、率直に、今の法律的な側面というよりは、今後の農政あるいは今の日本の農業の現状というのをどうとらえておられて、今後我が国の農政が進むべき方向性、これは先ほども申し上げましたように、今、篠原さんは政策研究機関の長ですから、農政に、直接的に短期的な農政の在り方についてコメントをされるお立場ではないと思いますが、研究所の長として諸外国の潮流、それから、先ほどの同僚議員の質疑の中でも韓国の農政が非常に大きく最近変わっているというような話も、農水省の政府参考人の方からもそういう御答弁がありましたが、そういうことも踏まえまして、今後の我が国の農政というのはどうあるべきか、研究所の長としての御見解を賜れば有り難いと思います。
○政府参考人(篠原孝君)
日本の農政、いろいろ考えていかなきゃならないんですが、まず最初に世界の農政がどうかというのを参考にしなければいけないんじゃないかと思います。
メガトレンドというか大潮流としては、WTOが進行中ということもありまして、一つの方向としては、自由貿易を徹底的に追求するべきだという、これはケアンズ・グループと称されているオーストラリアとかニュージーランドの輸出国が言っております。もう一つは、それに対して、いや、そんなことを言ったって国内の農業あるいは域内の農業ががたがたになったらどうなるんだということで、なるべく国内を優先していこうという流れがまずあります。これはずっと続いている流れでございます。
最近の流れとしてはどういうことがあるかといいますと、一つは、先ほど松井議員が御指摘になりましたとおり、食品の安全性とか環境への配慮とか、非常に国民なり消費者の関心に、領域について気を遣った農政を推進していくというのがあると思います。
それからもう一つは、WTOの農業協定ができたわけですけれども、その中で農業補助金というのが非常に問題にされまして、やっぱり貿易歪曲的とかあるいは生産刺激的とか言われていますけれども、そういう補助金、赤の補助金と称されていますけれども、そういったものはやめるんだと。それから、黄色の補助金はだんだん下げていくんだと。緑の補助金というのは、研究開発等は推進していいというようなふうに分けられました。ですから、そういったことを反映いたしまして、農業の経営政策については価格支持から徐々に直接支払、そういったことによって生産を維持したり環境を守ったりしていこうという流れがございます。農林水産省としても、やはり新しい基本法にのっとって、こういったことを踏まえた行政をしていかなければならないんじゃないかと思います。
一つは、やっぱり安全で質の高い食料の安定的供給、これが一番じゃないかと思います。二つ目は、WTOの場でも主張しておりますけれども、農業の多面的機能を十分発揮させるというようなこと、こういった行政は今まで余りしてこなかったわけです。これが二番目でございます。三番目は、先ほどからいろいろ先生方からも御指摘いただいておりますけれども、環境に配慮した環境保全型農業を推進して農業の持続的発展を図ると。こういったことによって、四番目ですけれども、農村全体を振興していくというのがあるのではないかと思います。
具体的には、じゃ、どういうことが眼目になっていくかということでございます。
まず一番目は、これは別格だと思いますけれども、農業の構造改革。意欲と能力のある農業経営体に農地を集めたりして、そして創意工夫を十分に発揮してもらって日本農業の体質を強くしていくという、これは構造改革というのは小泉内閣のもう標語になっておりますけれども、農業界でこそ一番最初に使われてなかなか実現できない難問じゃないかと思います。これが一つあるかと思います。
これのほかに、私が考えますに、二つあるのではないかと思います。
松井議員御指摘のとおりだと思います。地産地消、旬産旬消というのを、先ほどSARSの話もありました。より遠く、より速く、より効率的にということでずっとやってきまして、日本はどちらかというと世界で一番になるんじゃないかと思います、風土と隔絶した食生活、あるいは季節感も失った食生活というふうになってしまったんじゃないかと思います。そういったものをやっぱり見直していくと、食と農の距離を縮めていこうというのは、いくというのは大事なことではないかと思います。農林水産省も、ですから、これは本来地方レベルで一番取り組みやすいわけですけれども、地産地消というのを大々的に進めていくということで、いろいろな政策を推進していくことにしております。
二つ目でございますけれども、循環型社会と盛んに言われています。そういった方向に変えていかなけりゃいけないと。なぜかというと、環境が汚れていると。農業も本来は自然の中での一部だと。農業というものの本来の姿というのは、自然に働き掛けてそこから恵みをいただくという産業なわけですけれども、どちらかというと、工業をまねして、そうじゃない面もあるということで、そういった農業形態を直していくと。それから、地域資源を有効活用していくと。例えば、バイオマスエネルギーというようなことを盛んに言われておりますけれども、農村にある地域資源を活用してエネルギーにも利用していくというようなこと、こういったことによりまして、日本の農業を本来の環境保全型というか、な姿に戻していくというふうなことが二番目に大事なことじゃないかと思っております。
○松井孝治君
今おっしゃった地産地消、旬産旬消あるいは産消交流というんでしょうか、それを進めていく。あるいは、篠原所長の言葉で言うと、フードマイレージというものをできるだけ本来は小さくしていく方が人間の健康にもいいという考え方が最近主張されています。連休中にもいろんなテレビ番組や新聞報道でスローフードということが取り上げられていたのは大臣もお聞き及びだと思います。
こういうことを、篠原所長、端的にお答えいただきたいんですが、篠原さん、海外勤務の御経験もある。なかなかその地産地消というのは、我々も進めたいけれども、最初におっしゃったケアンズ・グループというお話もありましたか、自由貿易体制の中で地産地消とかあるいは旬産旬消ということを言ってもなかなか難しいんじゃないかなという気もいたしますが、そこは、地産地消あるいはフードマイレージを小さくしていくということと自由貿易体制というのをどうやって両立する方法があるんでしょうか、あるいはそれは非常に困難なんでしょうか、所長の御見解を、これは端的で結構ですので、承りたいと思います。
○政府参考人(篠原孝君)
国のレベルで、国境措置でというのは、私ははっきり言って難しいかと思います。しかし、地元でできたものを地元で食べるという、それは何も新しいことじゃなくて、五十年前、百年前まではだれしもがやっていたことじゃないかと思います。それから、旬産旬消の方ですけれども、そのときできたものをそのとき食べるということも、何のことはない、昔やっていたことで、ちょっとした意識改革だけで私はできるんじゃないかという気がいたします。
ですから、これは国としての取組よりも、県レベルあるいは地方自治体レベル、もっと端的に言いますと、例えば学校給食などを直していくことによってだんだんと地域の自給率を高め、そうすることによって国全体の自給率を高めることができるんじゃないかという気がいたしております。
○松井孝治君
学校給食というお話が出ました。関連しますので、引き続き篠原所長に伺いたいと思うんですが、食育ですね。
私、この前、本会議で質問した中で食育だけはあえて触れなかったんですが、ほかの議員が触れておられたと思いますし、本日の委員会でも同僚議員から食育の話、質問があったところでありますが、この食育というものについての取組についての御見解を所長に伺いたいと思います。
○政府参考人(篠原孝君)
私も農林水産省の一員でありますので、まず農林水産省の取組、それなりにしておりますので、御紹介したいと思います。
まず、食生活が非常に多様化して外部化しております。例えば、外食が増えているというのが典型的な例でございます。先ほど松井議員から御指摘のありましたように、食と農の距離が大分拡大していると、これが一つ問題としてあると思います。
それから、家庭の食の教育能力というのが低下しているんじゃないかと思います。統計によりますと、子供たち、小学生は五%ぐらいは朝食を取ってきていないと。中学生になると一四%。それから、家庭から独立し掛かった二十歳代の人たちになりますと四五、六%、半分近くが朝食を食べてきていないと、女性も二五%ぐらいは朝食を食べてきていないと、こういったようなめちゃくちゃな状態になっていると。ですから、これが結果として風土と隔絶した食生活、季節感を全く失った食生活になっている原因じゃないかと思います。
ですから、子供のころから、先ほど阿部委員が御指摘になりましたけれども、ただ栄養を与えるというんじゃなくて、地域に誇りを持ったりする、地域の食生活を楽しむというようなことをきちんと身に付けさせるということが大事なんじゃないかと思います。そういった意味では、食育が大変大事になってきているんじゃないかと思います。
こうした流れを受けまして、農林水産省とそれから文部科学省、それに厚生労働省、三つの省庁が一緒になりまして、ほかの関係者、栄養士の皆さんとか食品産業のOBとかそういった方々に集まっていただきまして、いろいろな会議を開いていくというようなことをやっております。その一つとして、木村尚三郎先生を座長にいたしました食を考える国民会議というのがございます。こういったのを充実強化していくというのが一つあるんじゃないかと思います。
二番目でございますけれども、一月、皆さん余り御存じないかと思いますけれども、食を考える月間ということにしております。一月に集中的に食を考える国民のフォーラムを開いていくというふうなこと、これをやっております。
これは国レベルですが、地域段階の援助としましては、三番目ですけれども、食育推進ボランティア、先ほど申し上げました栄養士さん、それから農家の人たち、それからJAの営農指導員なんかもこれになっていただけるんじゃないかと思いますけれども、地域の実態に即して食育活動を展開するというのですね。
四番目ですけれども、地域食材を活用して地産地消を推進すると。そういった中では、一番私は重要な役割を持ってくるのは地方自治体の動きじゃないかと思っております。
食育というものの重要性、松井議員が御指摘になりましたけれども、スズメ百まで踊り忘れずじゃないですけれども、小さいころの食生活というのは非常に大事でして、それに戻っていくと。どこかの変な外食産業の社長さんが、十二歳まで五十九円にして徹底的に味を覚えさせて一生食わせてやるとか、私はこういうのをほっておいては良くないんじゃないかと思います。それに対して地元の味、例えば松井議員も京都ですし谷垣議員も京都ですが、京都の味を小さいころからとっぷり教え込んで、一生京都の味を楽しませるようにしていくというのが我が国の農政あるいは農業をきちんとし、健全な体を作る基じゃないかと思っております。
○松井孝治君
今、給食の話が最後に出ましたが、やはり食育を進める上で給食というのは大きな役割を果たすと思うんですね。特に、これだけ核家族化が進んで、また共働きの家庭が増えている中で、昔だったらお弁当を持って、お母さんがお弁当を作ってということだったんでしょうが、今は男女共同参画ですから、そういうことをなかなか家庭に求めるというのも限界があります。
そういう意味で、給食の重要性というのは非常に大きくなっていると思うんですが、今、篠原所長、食育の中での学校給食の現状、あるいは今後食育に学校給食をどう役立てていくか、これ、なかなか他省庁にも関連する政策ですからおっしゃりにくいかもしれませんが、何度も申し上げているように、あえてそれは、研究所の所長として今の学校給食の現状をどうとらえ、それをどう今後改善させていくべきか、個人的な御意見でも結構ですので、いただけますでしょうか。
○政府参考人(篠原孝君)
学校給食は、そもそもは栄養状態が悪いので学校でちゃんと栄養を付けてやろうというので始まったわけです。それから栄養改善というふうになってきましたけれども、途中からは粗食の代表になってしまったような感があるわけです。ですけれども、今見直されておりますのは、食を通じた人格形成とかそういったもの、これが食育ということになっているんじゃないかと思います。
現状を見ますと、やっぱり日本の農政なり、でたらめな食生活を最も反映しているのが私は学校給食の実態じゃないかと思います。例えば、栄養士さんがおられて、栄養士さんが勝手に、阿部委員の言葉をかりれば、栄養価がこれだけだからといって勝手に献立を作って、その近くでどんな農産物を作っているかなんてのは全く考慮しないで献立表を作る、それに盲目的に従って給食の献立を作るというふうなことが行われているわけですね。
米が余ったと。遅いんですけれども、米飯給食にし出して、なぜかしら大体が週三回というワンパターンです。北海道の悪い例で申し上げますと、米を週三回やっているのは日高とか、日高山脈の右側、道東と称されるところでは米ができないわけですけれども、同じように北海道の、余り言っては悪いんですが、それほどうまくもないんじゃないかと思いますが、ちゃんと義理で学校給食をやっていると。これだったら、十勝ですね、十勝や北見で作った小麦でパン給食二回をやっていいはずなんですが、そこをすっかり忘れて、平気で外国産の小麦でパン給食をしているというような実態、これはやっぱり良くないんじゃないかと思います。こういったのは直せるわけです。
例えば、佐賀県の佐賀市長、農林水産省のOBになるわけですけれども、彼はこういったことの問題意識を持っておりまして、あの辺りビール用の大麦を作っているわけですけれども、その一部をニシノカオリという新しい品種のパン用の小麦を作ってくれと言いまして、それでもってパン給食も地元でやるんだというようなことをしているということですね。こういったことができると思うんです。
例えば、栄養士さんがちょっと意識を変えてもすぐできるんじゃないかと思います。例えば、学校給食に地元の野菜を使おうと栄養士さんが考えればそれで済むわけなんです。私の聞いた美しい話では、栄養士さんは、せっかくそれやったんで、それじゃもったいないというんで、学校で給食をやるときには放送すると。今日のトマトは三年二組の岡崎トミ子さんのお父さんが学校の信号前の畑で作っているあのトマトですよといって放送すると。こういうことによって、娘さんは喜ぶ、お父さんは変な作り方はできないと再認識する、先ほどから言っていますフードマイレージは小さくなると。
それから、これまた地域経済にとってもばかにならないんじゃないかと思います。本当はそれほど大きくないんですけれども、やっぱりそれなりの大きさがあると。それがその購買力ですね。購買力を地元に返すと。最近、地域通貨、エコマネーというふうに言われていますけれども、その典型的なものになる、地域の雇用も拡大することになるということになって、何かにつけてうまくいくんじゃないかと思います。
こういった働きを農林水産省、文部科学省、手を携えて推進していったら、明るい農業とかいうふうになっていくんじゃないかと私は思っているわけでございます。
○松井孝治君
ありがとうございました。
今日は別に参考人質疑というつもりはないんですけれども、篠原所長の御見解は前から承知はある程度しておったんですが、今改めて食品安全という切り口で篠原所長のお話を伺っておりますと大変示唆に富むものがあったと思います。
この食品安全基本法というのは、いろんな、法律の条文は、私の理解では、これは中央政府だけに係るものではなくて、この精神というのは地方政府にも及ぶものだと理解をいたしております。食品健康影響評価という概念が法律上導入されたというのも非常に結構なことだと私は思っております。
問題は、その食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たって食品の健康影響評価を受けなければいけない、幾つかの適用除外もありますけれども、それが基本的な枠組みになっていると思うんですが、この食品の安全性の確保という議論、これ、わざわざずっと先ほどから篠原所長の答弁を大臣に聞いていただいたというのは、この食品の安全性の確保というのは、いわゆる疫学上の安全性の確保とか、あるいはもう少し踏み込んだとしても栄養のバランスとか、そういったことだけではなくて、もう少し私は幅広い概念にとらえなければ、本当の意味での食品の安全性の確保ということに対応できないんではないかということを大臣にも、そして副大臣、政府の関係の方々にも是非御理解をいただきたくて、ずっと先ほど来所長に御質問をさせていただいておったわけであります。
そういう意味で、食品健康影響評価、この対象ですけれども、今、食品の安全性の確保に関する施策の策定に対しては健康影響評価を受けなければいけないという枠組みになっているんですが、大臣、これは法律上、食品の安全性の確保に関する施策というのは当然定義はされていないわけですね。
先ほどのお話を伺うと、例えば農法に対してどういう化学肥料を使うべきか使わざるべきか、あるいは農薬に対してどういう使用を認めるべきか認めないべきか、あるいは、岡崎議員の質問にもありましたけれども、例えば農薬使用の十年後に何割削減なんということは、食品の安全性の確保に非常に密接に関連した施策であると思います。それから、先ほど来アメリカ、ヨーロッパの政策の現状あるいは潮流についても篠原所長からお話をいただきましたけれども、いかにして環境と調和した農業を推進するかということも、これは食品の安全に極めて密接にかかわる政策だと思うんですね。
そう考えてまいりますと、私は、この食品健康影響評価の対象というのは、いわゆる食品安全に、狭い意味での食品安全に限定されることなく、いわゆる農林水産行政、農政全般というのは、食品健康影響評価、食品環境影響評価の対象に加えなければ本当の意味での日本人の食の安全というのを確保できないんではないかと思いますが、大臣はこの食品の安全性の確保に関する施策というものの対象領域についてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君)
松井委員から大変難しい問題を提起していただいたなと思っております。
そこで、この食品安全基本法は、これは私の理解なんですが、度々御答弁も申し上げておりますけれども、今、篠原所長がおっしゃった観点からすると、やや批判的におっしゃったんだと思うんですが、現状、大量生産大量消費みたいな、言わば工場生産というと言葉が悪いですが、そういうような農業の現実があると。それから、地産地消という、相反して、もう世界じゅうどこから持ってきたものを食べているか分からないという現状があると。そこでまた、もう一つ科学技術の発達というものがあって、遺伝子の組み換えがあったり、新しい農薬の使用があったりする。そういうものが日本人の食生活の現状にあるというのは、私はこれはもう否定できない事実だろうと思います。
そういう中で、安全性を、毎日の現実の安全性を確保していくときに何を考えたらいいのかと。BSEみたいなことが起こらないようにするには何をしたらいいのかという観点からこの法律ができてきたというふうに私は考えておりまして、基本的には、やはりそういうところに対応するのがこの法律であろうというふうに思います。それを超えて、私は大きな意味では、松井委員がおっしゃいましたように、環境とこの食の安全というのはあるいは車の両輪のごときところがあると思います。また、地産地消というものも我々の健康なり健全な食生活に大きな影響があると思います。
しかし、今、じゃ現実のその食品を安全性を確保する行政として直ちにそこに切り込んでいっても、なかなか現実の食生活を前提として実効性があるというふうにも私には思えないと。まず実効性のあるものを解決していくにはどうしたらいいかという観点からでき上がっているというふうに思いまして、今おっしゃったような視点は、更に大きな視野から我々も念頭に入れて取り組んでいかなきゃいけないんじゃないかなと、こんな気がいたしております。
篠原委員には、松井委員も谷垣も京都の出身だろうと、私も丹波の黒豆を食い、日本海のカレイ、ブリを食べて育った人間でございますから、大変共感するところが多うございました。
○松井孝治君
今の大臣の答弁は安全サイドの御答弁だったと思うんですね。ただ、やはりこれ、食品安全基本法というのができ上がって、これからの運用のときに正に恐らく、恐らくは、これは人事の問題ですから大臣の御答弁は不要ですが、谷垣大臣が担当大臣にもしなられるとすれば、そこの運用というのは非常に大きいと思います。
何が食品の安全性の確保に関する施策であるかという定義は、これは運用上はっきりしていない。だけれども、今のいろんなやり取りを、今日の委員会の質疑も参考にされて、是非余り狭く狭く運用されないでいただきたい。
正に篠原所長もおっしゃったように、地産地消だからといって、あるいはフードマイレージを小さくしなければいけないからといって、直ちに日本政府が海外からの輸入を止めるなんということはだれもおっしゃっていないわけで、政府ができること、地方政府ができること、あるいは国民の意識に働き掛けてできること、それぞれ違いがある。しかしながら、それを従来生産者中心で回っていた農政というものにくさびを打ち込むような形で食品安全委員会が問題提起をされたらいいんじゃないか。その問題提起は必ずしも海外のものを抑制的にやるということではなくて、人間の意識の中であるいは地域の意識の中で変えていけるんじゃないかという問題提起は是非とも私はしていただきたいし、そのためにこの食品健康影響評価という制度は積極的に活用していただきたい。
そのことを谷垣大臣に最後決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君)
食品安全委員会ができまして、私の職責は今、括弧仮称というふうになっておりますので、そこまでが私の職責でございます。それで、次に担当の閣僚が恐らく任命されるんだろうと思いますが、是非この食品安全委員会を今、松井委員の問題提起を受け止めるチャレンジングな組織として運用していってもらいたいと、こう思っております。
○松井孝治君
終わります。ありがとうございました。
○委員長(小川敏夫君)
午後二時十分に再開することとし、休憩いたします。
午後一時五分休憩
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