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2003年6月05日 156回

議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 会議録

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  本日の会議に付した案件

○理事補欠選任の件

○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付)

○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付)

○自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付)

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○委員長(山崎正昭君)

 ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。

 委員の異動について御報告いたします。

 昨日、辻泰弘君、齋藤勁君、田名部匡省君及び福島瑞穂君が委員を辞任され、その補欠として大塚耕平君、和田ひろ子君、大江康弘君及び田英夫君が選任されました。

 また、本日、林紀子君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。
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○委員長(山崎正昭君)

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。

 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山崎正昭君)

 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に川橋幸子君を指名いたします。
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○委員長(山崎正昭君)

 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。

 質疑のある方は順次御発言願います。
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中略


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○松井孝治君

 引き続きまして、民主党の松井孝治でございます。

 今日は修正案の提案者である前原誠司衆議院議員にも御出席をいただきましたので、前原議員の見解と政府側の見解を比較しながら、将来、本当にこの前原議員を中心とした民主党が政権を担えるのかどうか、それを検証する意味でも御質問をしてまいりたいと思います。

 まず、月曜日に、私、この委員会で、福田官房長官、石破大臣あるいは鴻池大臣も含めて御質問させていただきました。もし、例えば院内の閣議室で閣議をされている最中に、それこそ万が一の事態があって、首相を始めとして閣僚全員欠けてしまったようなときにどうなるんだというような御質問をいたしました。ある新聞にそれを報道をいただきまして、「首相と全閣僚死亡も 危機管理を検討」というふうに官房長官は言明されたという記事が出ておりました。私の印象は、もう少し、そこまで踏み込んだ御答弁であったかどうか、ちょっと議事録を精査してみないと分からないなという印象を率直に持っておりますが。

 修正案の提案者である前原議員にお尋ねしますが、いざ本当に有事という場合に、全閣僚が欠けてしまう場合もあるわけです。その際に、今の内閣の運用は、第五順序まで閣僚を総理大臣の代行としてあらかじめ指定をしておられます。内閣法九条に基づいて指定をしておられます。この運用ですね。

 それから、この前も議論をしたんですが、例えば、仮に今の憲法上、この内閣法九条で指定できるのは閣僚までなんですね。そうすると、第十七順位まで仮に指定したとして、もし閣議室で何かあったときにはどうにもならないわけであります。その意味で私は、官房長官に、閣議の運営の在り方を変えなければいけないんではないかということを御提案をいたしまして、新聞報道では、官房長官もそれも検討するというふうにおっしゃったというふうになっているんですが、私ちょっと、議事録の速報版を速記部にお願いして確認をしましたところ、基本的に閣議の運営というのは全会一致でなければいけないのでなかなか難しい、けれども、検討はするというぐらいの答弁だったと思います。

 この内閣法九条の総理が欠けたときの代行者の指定、あるいは閣議の在り方ですね。本当に週に二回この院内で閣議やっているわけです、時間もオープンにして。

 今日も法制局お見えいただいておりますけれども、法制局の解釈は、憲法上、閣議というのは全員一致でなければいけない。その全員一致の閣議をそう軽々に、例えば鴻池大臣はふだんこの閣議に参加されずに、防災担当大臣は、あるいは石破長官は参加されずに、別の形で内閣の意思形成に参画されると。その場に必ずしもいなくてもいいんじゃないかということについてはなかなか難しいという答弁が官房長官からは前回あったわけであります。これについて、本当に危機のときに、この法制、何のためにやっているかというと、本当に考えたくないことが起こってしまったときにどうやってこの国の指揮命令系統を確保するのか、私は、それが我々政府にかかわる、あるいは国会にかかわる人間の責務だと思うんです。そういう最悪の事態にどうやって日本国の国民の生命、財産を守るのか、その辺りについて修正案提案者である前原議員の見解をまず伺いたいと思います。


○衆議院議員(前原誠司君)

 まず、内閣法第九条についてお話をしたいと思いますけれども、委員御指摘のように、今は運用で五番目までの順位が決まっているということでありますけれども、アメリカはもちろん大統領制で、日本の議院内閣制とは違いますけれども、すべてナンバーが付いているということでありますし、これは議員も御承知のことだと思いますけれども、例えば大統領就任式には副大統領は同席をしないということになっていますし、また、居場所も基本的には伏せておくと、こういう形になって危機管理をしているわけです。そういう意味で、私は、五番までしか運用上決めていないということは、やはり考え直す必要があると思います。それが第一点と。

 しかし、すべての閣僚がいなくなるという可能性もあるので、その後の対応策をどう考えるのかということは、議員御指摘のように、これは、難しいけれども検討するじゃなくて、やはり最悪のことを常に考えておくのが危機管理だと思いますので、そこは私は運用なり法律を改正するという前提でやっぱり考え直していかなくてはいけないことだと思います。

 それから、閣議についてでございますけれども、憲法第六十六条の三項ですか、それに基づいて全会一致でなくてはいけないということに法制局の答弁はなっているわけでありますが、必ずしも私は憲法第六十六条の三項が全会一致を決めているようには読めません。

 したがいまして、これは議員が、御自身が橋本内閣のときに行政改革本部の中で取り組まれたことだと思いますけれども、やはり私は、この全会一致のルールというものを、やっぱり慣例としてやられているものだと思いますので、その点はやっぱり変えていくということが必要なんではないかと思います。

 少し例が、前提が異なるので例としてはふさわしくないかもしれませんが、私は内閣総理大臣の機能強化というのは必要だと思っていますし、それをやっていかなくてはいけない、時代の変化に対応していくためにはそれは私は必要だと思います。今の全会一致は、何か戦前の、これは一九三六年の広田内閣のときだったと思いますけれども、軍部大臣の現役武官制ということを決めて、そしていわゆる一大臣が決まらないということで内閣そのものが全然機能しなくて、またそれが日本を戦争の道へ、泥沼に突っ込んでいったと。そして、広田弘毅氏は文民で唯一、A級戦犯、東京裁判で受けたと。これがよかったかどうかという判断は別として、そういうことが一つの理由とされたということがあります。

 私はそういうことから考えても、やはり一人の大臣が絶対に強固に反対したらまとまらないということはやっぱりおかしいと思いますので、そういった全会一致の原則というものは慣例である、憲法はそこまで求めていないということで、私は閣議の在り方そのものを変えていくべきではないかと思います。

 もう一言だけ加えさせていただくと、事務次官会議でほとんど決まっているんですね。そして、署名で花押を一生懸命みんなが書いていて、それで終わるという閣議というのは異常だというふうに私は思いますので、まずそこから変えていくことが必要なんではないかと思います。

○松井孝治君

 明快な御答弁だったと思います。

 ちょっと鴻池大臣に、済みません、急に、鴻池大臣。鴻池大臣、国務大臣としてお務めの中で、やっぱり閣議というのは絶対その場に週二回出なければ内閣として連帯責任を負えないと思われますか。個人的見解で結構ですから、お答えください。

○国務大臣(鴻池祥肇君)

 閣僚の一人として現行の状況に身を置かなきゃいかぬというふうに、まず基本的に思っております。

 ただ、個人的にどうかと言われれば、今現在も海外へ御出張の閣僚もおられますし、あるいは国内でいわゆるその省の公務のためにおられない閣僚も、時にして閣議、火曜、金曜日にはおられるわけでありますので、そういう運用というものは私は可能であると、このように考えております。

○松井孝治君

 個人的見解ということですが、明快な御答弁だったと思います。

 石破大臣、防衛庁長官ではなくて石破国務大臣、個人的見解でも結構です。同じ質問でございます。

○国務大臣(石破茂君)

 私もそれはそうだと思っています。鴻池大臣と同じ立場であります。

○松井孝治君

 明快な御答弁だったと思います。今、この席にいらっしゃる三人の方が同様の御趣旨であったと思います。

 福田官房長官、閣議運営の責任を事実上負われているお立場ですから、なかなかおっしゃりにくいこともあるかもしれません。しかしながら、これは自民党内閣である橋本内閣の下で、これも閣議にかかって決まった行政改革会議の最終報告というのがあります。そこに、こう書いてあるんですよ。「日本国憲法は、転変する政治状況の中で内閣が機敏かつ実効的な意思決定ができるよう、閣議の議事手続等については、基本的に内閣自身の意思にゆだねる趣旨と解される。内閣機能の強化・活性化のため必要であれば、閣議の議決方法について合意形成のプロセスとして多数決の採用も考慮すべきである。」と、明確に書いてあるんです。

 しかしながら、委員諸兄は思い出していただきたいんですが、月曜日には明確に内閣法制局は、憲法上の要請により閣議は多数決でなければいけないと答弁をされているわけです。ですから、失礼、全会一致でなければ、失礼しました、全会一致でなければいけないと答弁をされているわけです。

 私は、こういう最終報告を閣議でも議論をして、内閣総理大臣の責任の下でこれまとめられて、こういう議論を、このときも随分実は内閣法制局と行政改革会議の間で議論がありました。同じように、内閣機能強化に当たっては、当時の大蔵省が本当にいろんな議論を、内閣機能強化に反対するという意味で陰に陽にされました。しかし、それを乗り越えてこういう意思決定をしているにもかかわらず、内閣法制局はいまだに憲法上の要請だ、全会一致でなければいけない。これは、戦前から戦後に至るまでそういう学説は多数あります、正直申し上げて。しかしながら、そういう学説の対立も乗り越えてこういう成案を得たにもかかわらず、いまだに全会一致ということをおっしゃり続けている。

 それで、福田官房長官、それで非常に機動的に意思決定ができているんならいいですよ、ダイナミックな。でも、例えば今の国と地方の関係、三位一体論、あるいは鴻池大臣が別のお立場で御苦労をしておられる規制改革の議論、どう考えても閣内に違う立場の方々がいらっしゃって意思決定がダイナミックに速やかにできないじゃないですか。

 私は何でもかんでも閣内不一致を起こせばいいということを言っているわけじゃないんです。この行政改革の最終報告も、最終的にはそれは全会一致が望ましい、しかしそのプロセスにおいて多数決というものを取ってみて、場合によってはその中で総理の意思というものを反映させて、最終的に内閣として意思決定をすればいいじゃないか。それについて内閣の構成員は国会に対して連帯的に責任を負うわけですから、国会に対して私は違う意見言ったというふうに言わなければいいじゃないかと。私はそういうようにこの際、この有事の議論をしている際に、官房長官、一歩踏み出されたら、政治的リーダーシップが大変優れた官房長官ということで歴史的に福田官房長官の名が残るんではないかと思いますけれども、御議論を聞いていただいて、官房長官、本当に肉声で、これはもう答弁書ということではなくて御自身のお考えを是非お述べいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君)

 これは憲法の解釈の一つだろうと思いますね。そういう、長年にわたりそういうような考え方でもってやってきていることでございますから、そのルールを変えるというか。

 委員のおっしゃることも分かりますよ。分かりますけれども、じゃ、それでもって本当にいいものに、より良い制度になるのかどうかということもよく検証してみなきゃいけないというふうに思いますので、私は、ここでもって私の意見を言ったってしようがないんで、これは大いに委員の、委員を中心に議論を進めていただきたいというふうに思います。大いに議論していただいて、より良い方法は何があるか、また憲法との関係をどうするのかといったようなことを皆さんに是非お考えいただきたいというふうに思っております。

○松井孝治君

 人ごとではないんですよね。私は議論が必要だと思っているからこの国会の場で議論を提起しているわけです。その提起した議論について、いや今直ちに結論を出せなんてことは言いませんが、官房長官として、今閣僚お二人も、そういう意思決定があってもいいんじゃないか。あるいは閣議運営で、今は多数決のことをおっしゃったわけじゃないですね、ただ私がお伺いした質問は、少なくとも二人の閣僚にお伺いした質問は、週二回の閣議に常に閣僚が原則として出なければいけない、それは全会一致の閣議運営を担保するためにも全閣僚が出なければいけないということはこの有事の際に考え直した方がいいんじゃないかという、個人的見解ですが、二人の閣僚がそういう発言をされたということを官房長官としてどう受け止められますかということを伺っているんですが、もう一度答弁をお願いします。

○国務大臣(福田康夫君)

 これは、今そういうようなやり方をしているわけですね。一つのルールに基づいて運営をしているわけでございまして、新しいルールができればそれに基づいてやる。しかし、要は、こういうやり方の中でいかにより良い方法があるのかどうかというようなことも関係してくるんだろうと思います。

 有事の際ということになれば、別に火曜日と金曜日に有事が起こるわけじゃないんです。ですから、それは臨機応変に対応しなければいけない。集まって会議をして決めるということもできないような状況もあるかもしれぬ、そういうような様々なことについては、正に委員御指摘であり御心配のいろいろな態勢というものは、これは我々もよく考えて、いろんなケースを想定して考えていきたいというふうに思っております。

○松井孝治君

 それは火曜日と金曜日に有事が起こるとは限らないのは当たり前の話ですよ。いつ起こるか分からない。閣議を開催している途中に閣議室で有事が起こるかもしれないから、私はこういうことを申し上げているわけであります。

 存在するルールにはすべて理由があります。ましてや、この問題については長い歴史もあります。法制局から前回御答弁もいただいたように、それは一つの考え方であります、全会一致原則というのは。

 しかしながら、政治家が行うべきは、あるルールがあるから、それが存在するから考えなくていいということではなくて、そのルールが本当に正しいかどうか、今のこの現状の国際情勢あるいは国内情勢踏まえてこのルールを見直すかどうか、それを検討するのが政府の役割じゃないですか。

 私は、官房長官、官房長官に、正に閣議運営についての責任者なんですから、その議論を官房長官一人で変えてくださいなんて言っているわけじゃないんですよ。官房長官、これ御議論をされたらどうですか、この際。例えば、閣議において、今後の閣議の運営の在り方を御議論を提起されたらどうですか。いや、これは別に官房長官じゃなくてもいいんですよ、国務大臣はそれぞれ閣議に議案を提起できるわけですから。提起をしてみられたらどうですか。本当に国民の生命、財産を守る観点から今の閣議運営がいいのか、会議体の持ち方としていいのか。それは是非御議論をいただきたい。

 今の官房長官の御答弁は、いやいや、委員御議論どうぞくださいと。御自分では議論するつもりがないのかと。そういう方がこの国の官房長官をやっておられるのかと思うと、ちょっと私は、今どういう意味でおっしゃったのか分かりませんが、寂しくなります。

 前原議員、ちょっとこの議論を聞いておられて、御意見をいただきたいと思います。

○衆議院議員(前原誠司君)

 先ほど申し上げましたように、私は憲法解釈というものを内閣の法制局が行ってそれに縛られているということだと思いますし、内閣法制局の長官というのは政治家ではないわけですね。私は内閣の法制局のその考え方は尊重しなきゃいけない部分は多々あると思いますけれども、しかし時代が変わってきて、本当に見直していかなくてはいけない。

 今、委員御指摘のように、有事の議論をするときに、有事を想定した閣議のやり方が今までおかしかったということであれば、それは私は果断に見直していくべきだというふうに思いますので、先ほど委員に申し上げたとおり、私もその政府の解釈というものを変える、そして閣議の在り方を変えるということは、当然考え直すべきであるというふうに思います。

○松井孝治君

 ありがとうございました。

 この議論ばかりをしておりますとすぐ終わってしまいますので、別の議論を提起させていただきたいと思います。

 石破防衛庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、これは、いろんな国際情勢が変わっている中で、先日、福島委員から議論が御提起されましたけれども、防衛装備の在り方ですね、ここ五年間の数字を福島委員が、自由民主党の福島委員が御質問になられて、陸海空のシェアがほとんど変わっていない。しかし、この五年間で国際情勢もう随分変わっていますし、周辺諸国の武力の装備の状態も随分変わっている。これについて、今後、あのときはミサイル防衛の問題も持ち出されて、今後資源配分を変えていくおつもりはないのかという御質問があったと思います。

 石破大臣に御想起いただきたいのは、これは戦前の話ですから全く今同じアナロジーで議論をすべき問題ではありませんけれども、日本軍の失敗は、真珠湾攻撃のときにあれだけ空中戦において世界最先端の技術を持ちながら、実は大艦巨砲主義というものを捨て切れずに恐らく戦略上、あの戦争の趣旨はまた別ですよ、ただ戦略上の問題として一つの大きな失敗をしたということがいろんな学者からも指摘をされているわけです。

 そのことについて源田参議院議員が振り返られて、なぜあれだけの空軍を持ちながら大艦巨砲主義を捨てられなかったのかということを聞かれて、それは突き詰めれば水兵の問題だったと。要するに、当時の海軍の雇用問題があるから大きな我が国の防衛戦略の変更ができなかったんだということを述懐しておられます。これは一つの重みのある言葉であります。

 当然、第二次世界大戦と今の我が国の置かれた防衛環境は違いますが、ひょっとしたらこの前同僚の福島議員が御指摘をされた問題というのは、同じことが起こっているんじゃないかと。世界各国のいろんな装備が変わっていて、しかも武力についての戦略が変わっている中で、我が国の防衛装備、防衛体制の在り方というのはもっと大きく見直していく必要はないのかどうか、石破防衛庁長官の御見解を承りたいと思います。

○国務大臣(石破茂君)

 結局、これは予算の組み方が単年度主義でやっておりますのでどうしても制約が出てくるということなんだと思っています。これを超えるためには、もう結局相当無理して無理して無理してやっているわけですね、延べ払いとか、ごめんなさい、予算の繰延べとか。そういうことまでやって、あるいは一般の方々に御迷惑を掛けている部分もあります。

 防衛予算の組み方を抜本的に改めることはできないのかということを、それでは財務省、政府全体でお話をしなければいけないのかなという問題意識は実は私持っておりますが、これは実はとても大変なことであります。先ほど来、委員がおっしゃっておられるような牢固とした慣習みたいなものがあって、これをどう変えるかは大変なことですが、その問題意識は持っています。

 しかしながら、例えばミサイル防衛というものを入れるか入れないかは、これから先、いろんな御議論を経て決めることです。しかし、それはそんなに安いものではない。じゃ、どこからそのお金を出すのという話をするときに、削って削って削って、このミサイル防衛のお金を出すために削れという議論が一概に正しいとは私は思っていません。やはり、ミサイル防衛があろうがなかろうが、防衛予算というのは常に納税者の期待にこたえるものでなければいけないし、無駄のないものでなければいけない。その予算を出すために削れということではなくて、不断の見直し、そしてまたミサイル防衛の必要性、それに掛かる経費、そういうものは全体として議論をされるべきものであって、先ほど旧日本帝国海軍のなぜ負けたかというお話をなさいました。そういう問題も私は含んでいるんだろうと思っています。

 国民のために防衛庁、自衛隊があるのであってというような意識、これは常に私は持っていなければいけないことですが、しかし、日夜命を懸けて戦っている隊員のこともやはり考えていかねばならぬ。国民全体の御理解の問題だと思っています。

○松井孝治君

 同じ質問を前原議員にもさせていただきたいと思います。

○衆議院議員(前原誠司君)

 先ほど、五年間陸海空のシェアがほとんど変わっていないという話でしたが、私の調べでは、もっと長い間、この陸海空のシェアは変わっていないというふうに思います。

 先ほど石破長官が、財務省との話、単年度主義の話をされましたけれども、私は、議論の組み方が逆なんだろうと思います。つまりは、日本の安全保障の体制、この有事法制もそうでありますけれども、有事法制はソフトの話で、じゃ、今の危機に対応するためにどういった防衛体制を取るのか、しかも、それが今の危機に対応できるような防衛体制をどう取るのか、また、どういったものが必要なのかといったところをグランドデザインとして描いた上で、そして予算を、陸海空の縦割り主義を排して、政治がリーダーシップを持って、あるいは統合機能を強化する中で、予算というものは決めていくべきなんだろうというふうに私は思います。

 その上で、一点だけ、この話をし出すとそれこそ三十分、一時間掛かるかもしれませんので、簡単に申し上げますと、やはり冷戦時代の大規模着上陸侵攻型の防衛体制というものがいまだに払拭し切れていない、そしてテロあるいはミサイル攻撃、そういったものに機敏に対応するものがしっかりと整備されていないといったところがやっぱり根本的な問題なんだろうと思いますし、その上で申し上げると、日米同盟体制の盾と矛の役割分担というものも、もはや機能しなくなっている部分もあるわけで、そういった日米同盟関係も含めて、私はグランドデザイン、今どう防衛庁として、自衛隊として対処すべきかということをもう一度根本から考え直して、そして予算編成というものもしっかり考えていくという、私は逆のやっぱり見方が必要なんではないかということを申し上げたいと思います。

○松井孝治君

 端的でなおかつ本質的な御答弁、ありがとうございました。

 石破大臣も前原議員もそれぞれ本当に防衛については専門的知識のあるお二人の若手の政治家がやはりこういう委員会で二人競い合うような形で御答弁いただくというのは、非常に私は結構なことだと思っております。

 最後に、お二人に国家観にもつながる御質問をさせていただきたいと思います。

 石破防衛庁副長官の時代に、ノーブレスオブリージュという言葉を、これは防衛大学の入校式で使っておられます。この言葉の意味、端的に、もう時間もありませんので、石破防衛庁長官、そして前原議員、一言ずつ御答弁をいただけますでしょうか。

○国務大臣(石破茂君)

 ノーブレスという言葉が合うかどうか分かりません。しかし、私は、それなりの地位にある者はそれなりの責任を果たすべきだということだと思っています。

 それは地位が高いとか低いとか、そういうものではありません。自分がどれだけのことが公のためにできるかということを自覚をすべきだということだと私は思っています。

○衆議院議員(前原誠司君)

 公の職にある者は高い意識、義務感を持って物事に当たらなければいけないというのは、今、防衛庁長官がおっしゃったとおりだと思いますが、先般、我が党の谷林議員の質問がありました。質問の中で、お父さんが消防の仕事に携わっておられて、そしてその消防の仕事に携わっていたら自分の家に飛び火して、自分の家はどうすることもできなかったと、こういう話がありました。

 私は、もちろん、そのノーブレスオブリージュという言葉も、公務員として、いわゆる公僕として働いている者はその意識を持つことは大変重要でありますけれども、今後この有事法制を考えていく上で、私はやはり公助のみに、つまり公の助けのみに頼るというものでは、多分、悲惨な戦争であるとか大規模災害というものはなかなか克服できないというふうに思うんですね。

 したがって、共助であるとかあるいは自助であるとか、そういった意識というものを国民に対してもしっかりと訴え掛けていくことが、正に逆に言えば、ノーブレスオブリージュの立場にある人間が私は国民に対して訴え掛けることであると。決して国だけでそういった状況は救えないんだと、自ら助ける、そしてともに助けると、こういう姿勢が必要だということも言えることが極めてその要件なのではないかと思います。

○松井孝治君

 ありがとうございました。
 終わります。


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