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2003.07.24 参議院本会議 

福田官房長官への問責決議案の賛成討論

平成十五年七月二十四日(木曜日)
   午後六時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第四十三号
    ─────────────
  平成十五年七月二十四日
   午後零時三十分 本会議
    ─────────────
 第一 外務大臣川口順子君問責決議案(角田義
  一君外十一名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、防衛庁長官石破茂君問責決議案(角田義一
  君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)
 一、国務大臣福田康夫君問責決議案(角田義一
  君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)
     ─────・─────

        〔省 略〕

     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 松井孝治君。
   〔松井孝治君登壇、拍手〕

○松井孝治君

 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました内閣官房長官
 福田康夫君問責決議案につきまして、断固賛成の立場から討論を行います。

 賛成の第一の理由は、福田官房長官が所管しておられるイラク特別措置法案への
 対応が余りにもずさんであることであります。
 米英両国によるイラク攻撃については、大量破壊兵器の存在に関する情報の正当性に
 疑問が呈され、米英両国の現政権が大揺れとなっていることは周知のとおりであります。
 また、イラクの現地では、米英軍への組織的な攻撃が継続しており、本日もまたイラク
 北部で米国兵三名が殺害されたと報ぜられるなど、治安情勢は日に日に悪化するばかり
 であります。このような諸状況を正確に把握することすらできず、自衛隊派遣が先にありき
 といった考え方に固執し、委員会においてはあいまいな答弁を繰り返して、何が何でも
 イラク特別措置法案を強行成立させようとする姿勢は、所管大臣としての資質に全く
 欠けているものと言わざるを得ません。
 福田官房長官は、現地に派遣される自衛官の、又はその家族の心境をおもんぱかった
 ことが一体おありなのでしょうか。確かに、自衛隊には我が国の国民の生命と財産、
 領土を守るという極めて重い責任が課せられています。このような重い責任があるから
 こそ、個々の自衛官は日々の過酷な訓練に精進し、有事の際には自らの危険をも
 いとわない覚悟を固めているのです。

 ここで間違ってならないのは、自衛官はあくまでも我が国日本を守るために命を懸けて
 いるのであって、主権国家としての我が国の国益ではなく、他国の国際戦略をうのみに
 して、他国の国益に奉ずる形で不本意ながら命を落とすようなことは万が一にもあっては
 ならないのであります。

 昨日の総理の分かるわけない発言に象徴されるごとく、政府として極めて無責任姿勢の
 ままでイラク特別措置法案が成立し、そのことによって万が一にも自衛隊員に犠牲が
 生ずるようなことがあれば、福田官房長官、あなたはどう責任をお取りになるつもり
 でしょうか。
 そもそも、イラク戦争の開戦根拠となった大量破壊兵器の存在について、政府は適切な
 評価に基づいて米英支持の姿勢を打ち出したのでしょうか。福田官房長官は国民を説得
 できる根拠を得ていたのでしょうか。日本政府にはこの種の問題に関する情報収集・分析
 能力が十分に備わっているとは到底言えません。にもかかわらず、いち早くイラク戦争
 支持を打ち出したのは、現内閣の外交政策の発想が対米追従以外に選択肢を持たない
 からにほかならないのです。

 我が国が主体性を欠き、米国追従に終始することは外交上の大きな破綻です。外務省に
 は事務次官が二人いると言われています。大臣が不在とも言われています。その中で、
 外務大臣臨時代理とも影の外務大臣とも言われ、外務官僚の信望は異様に厚いと
 言われる福田官房長官の責任は極めて重いものであると言わざるを得ません。

 賛成の第二の理由は、対北朝鮮政策をめぐる重大性の認識が福田官房長官には
 欠如していることであります。
 北朝鮮問題の本質は、自国民の生命、安全の確保を図ることにあります。しかしながら、
 福田長官は、拉致被害者家族らの切実な訴えに聞く耳を持たず、拉致事件の長期化に
 責めを負うべき官僚をかばうなど、内閣官房の責任者としては考えられない行動を取って
 きました。また、不審船引揚げ問題についても、中国に対する気兼ね、北朝鮮を刺激する
 ことを極度に恐れているのか、一貫して消極姿勢を取られてまいりました。拉致事件や
 不審船事件の解決は国家の外交政策の行く末を左右するほどの重大事との認識が
 あなたにあるとは思えません。

 また、福田官房長官は、小泉政権発足直後、いわゆる金正男事件に関して、政治問題と
 することを避け、主権国家としての役割を放棄するような解決策を選択するよう主導的な
 役割を果たしておられます。外交的な配慮を優先し、当該人物を告発し逮捕するという
 手続を経ず、国外退去の手法を取ったことは、法治国家、主権国家としてあるまじき行為
 であったと断ぜざるを得ません。

 北朝鮮から見れば、日本は自国の法律を曲げてでも親切な外交的な配慮をしてくれる国
 と映ったに違いありません。その後の拉致事件、核開発など北朝鮮の思い上がった態度
 を見るにつけ、福田官房長官がシナリオをつくられた金正男事件への日本政府の対応が
 引き金になったと言っても言い過ぎではないと考えます。

 以上の諸点にかんがみれば、福田官房長官を官邸に置いておくことは、日本の国の国益
 を損ね、国民の生命を危険にさらすものと言わざるを得ません。

 また、本来この場で申し上げることさえはばかられることですが、福田官房長官の男女
 共同参画担当大臣としての資質については重大な疑念があります。
 先ほど川橋議員からありましたのでもう本当に繰り返したくありませんけれども、
 福田官房長官の、してくれっていうのいるじゃないとか、あるいは男は黒ヒョウという発言
 には本当に参りました。ライオン宰相の向こうを張った黒ヒョウ官房長官というのは
 非常によくできた話でありますが、全く笑えない話であります。

 官房長官が一私人であれば軽いジョークということで済むのかもしれませんけれども、
 あるいは完オフ懇談ということで気を許されたのかもしれません。しかし、人間、気が
 緩んだところで本音が出るものであります。集団レイプの被害に遭った女性に対する
 いたわりの感情がないばかりでなく、前近代的、非文明的な男尊女卑の思想が
 うかがえるこれらの発言がもし事実であるとするならば、内閣のスポークスマンとしての
 自覚が問われるほか、福田長官が我が国の男女共同参画政策の最高責任者であり、
 女性の地位向上に力を尽くすべき立場にあってよいのか、その資質に重大な疑念を
 持たざるを得ません。

 福田官房長官、私があなたの責任を問う最後の、しかし最大の理由は、内閣の重要方針
 の遂行に当たって、あなたが与えられた職務を全身全霊で全うしているかどうかということ
 についての疑念であります。

 福田長官は、内閣法第九条の規定に基づき、内閣総理大臣に事故あるとき又は欠けた
 ときは総理の職務を行う第一順位に指定されています。また、中央省庁改革基本法に
 明確に規定されているとおり、内閣官房長官は内閣の首長として内閣総理大臣の職務を
 直接的に補佐する機能を担う立場にあり、官房長官は、他の国務大臣以上に、官僚など
 の抵抗を抑え、総理大臣を補佐していく役目と義務があります。しかし、官房長官、
 あなたは本当に真剣に総理大臣を補佐されているのでしょうか。総理が総理ですから
 真剣になれない気持ちというのも分からなくはないですが、仕事は仕事ですよね。
 福田官房長官は、構造改革特区推進で与野党ともに議論が紛糾した際、当院内閣
 委員会で、鴻池大臣に各省庁に対して強い勧告権を与えるべきではないかという私の
 提言に対して、構造改革特区の推進のための調整は内閣としての最終的な調整権限を
 有する内閣官房、すなわち自分が担当すべきであるということで、鴻池大臣への特命
 大臣発令に当初消極的なお立場でした。その後、世論の圧力もあって鴻池大臣を特命
 大臣に発令される際にも、鴻池大臣のような人物に強い勧告権を与えることによって自ら
 の権限を失いたくないという一部官僚の言いなりにあなたはなって、極めて形式的な権限
 しか与えておられません。鴻池大臣自身がおっしゃっておられるように、鴻池大臣に官房
 長官が与えられた権限は竹光程度であり、鴻池大臣の改革姿勢を恐れる霞が関の抵抗
 勢力一同が、いや、さすが福田官房長官、話が分かると、安堵の声を上げたと聞いており
 ます。正に物分かりの良い官房長官の面目躍如であります。

 鴻池大臣に竹光程度の権限を与えなくても、自らが内閣としての最終的な調整権限を
 持つ内閣官房の長として調整に奔走されるならば、私も納得いたします。
 しかし、あなたは、構造改革特区はもとより、小泉総理が国民に対して改革を行うと
 掲げた郵政の民営化や道路公団改革について、あるいはここにおられる片山大臣が
 塩川財務大臣と激しく対立された三位一体改革について、あるいは竹中大臣の
 金融再生プログラムについて、あるいは北朝鮮問題をめぐる外務省とのやり取り、
 どのような項目についても、政府部内での対官僚、対各省庁折衝で一体あなたは
 どんな役割を果たしたと言われるのでしょうか。

 激動の時代、強化された内閣機能を担う中軸である官房長官に期待される役割は、
 手堅い手腕でも、官僚組織からの期待でも、あるいはお得意のとぼけた答弁でも、
 同僚議員の質問への逆切れでもありません。官僚から信望の厚い平時の名長官は
 激動の現在にあっては害をなします。官房長官には、黒子でもいい、内閣が推進する
 改革のために徹底的に泥をかぶり、火の玉のような情熱を持って職務に精励する姿勢が
 必要です。心中に誠を抱き、全身全霊を傾ける姿勢があるならば、議場の後ろにお座りに
 なっておられますけれども、どなたかのように個別に突出した発言があったとしても、
 我々は表層のみをとらえて問責決議を出すというようなことはありません。

 小泉総理の丸投げや極めて中途半端な改革への取組を許し、本来、内閣官房が有する
 政府部内での最高、最終の調整権限を行使せず、政策的な対立を真の構造改革に
 向けた実質的な討議の場とせずに、小泉対守旧派の政治ショーにとどめてきたあなたの
 責任は、ある意味では情熱を持った守旧派よりも罪が重いのかもしれません。
 私としての官房長官問責の最大の理由は実はこの一点に尽きると言っても過言では
 ありません。

 以上、構造改革やったふり小泉内閣のかなめ、福田官房長官の問責決議案に断固、
 断然賛成することをここに表明し、私の討論を終わります。(拍手)



*委員会の全会議録は、下記サイトをご参照ください。*
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho2.htm


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