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 私は、民主党・新緑風会を代表して、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、関係大臣にご質問いたします。

 構造改革特区が誕生して、先月二十一日で一年を迎えました。この一年で全都道府県に計三百余りの特区が誕生しました。これまで各省庁や業界団体の抵抗で実現することが難しかった規制改革を、官邸・内閣官房主導で突破していく特区の姿勢は、意欲ある民間企業や地方自治体に声を挙げる勇気を与え、評価できる点も多々あったと存じます。
  しかしながら、この間、特区制度についての問題点も種々浮かび上がってまいりました。以下具体的に指摘させていただきます。

 第一に、特区に対する政府の姿勢の後退です。特区法の制定時には十四あった法律事項が、昨年春の改正時には七、今回は四です。これまでは政治的決断が必要な規制改革については、官僚レベルの折衝を飛び越えて、特区担当大臣が自ら規制所管省庁の大臣と折衝をして実現されています。これに対し例えば第四次認定に当たって、果たしてどの程度閣僚折衝が行われ、どのような成果を得たのでしょう。今後の姿勢を含めて金子大臣のご答弁を求めます。

  第二には、特区の全国展開です。規制改革は全国で進められるのが本筋です。安全規制など、慎重な検討が必要なものもありますが、これまで特区で実現してきた規制の多くは、例えば、幼稚園に入園できる年齢を「満三歳」から「満三歳になる年の年度当初」へと、平均数ヶ月程度、前倒しをする規制改革など、直ちに全国に展開しても何ら問題ないと思われるものが多数を占めます。ところが政府は全国展開には各省庁の自己評価が必要としており、関係省庁の多くは時間稼ぎをしていると言われています。内閣官房主導で、安全規制など特に慎重な検討を要する規制以外の規制については「ただちに全国展開できる規制」として分類し、本年中に法令改正などの所要の措置を講じるべきだと考えますが、金子大臣のご見解はいかがでしょう。

 第三に、規制改革の恩恵を受けるのは本来、民間事業者であるはずなのに、自治体提案が大部分で民間提案が少数であることは問題です。民間のニーズの把握、案件の掘り起こし体制、政府の普及活動が問われています。特区室は各都道府県の職員を「特区エキスパート」として配置するとのことですが、これまで都道府県による規制や行政指導がビジネスを阻害しているとの声も多く聞かれます。民間の声が直接内閣官房に届くような体制作りに向けた金子大臣のご認識を伺います。

 第四に、手続き上の問題があります。
  農家民宿等のいわゆる「どぶろく特区」についても、例えば、ある民宿の方など、わずか年間百本程度のどぶろく製造の特区申請にも関わらず紙にして八十枚以上、厚さにして三センチほどの書類が求められたと伺いました。申請された方々の中でも手続きの大変さから、断念された方もいらっしゃるそうです。もちろん、不慣れな点もあったかと思いますが、こうしたことで民間の創意工夫を損ねることがあってはなりません。手続き面での抜本的な簡素化に向け、谷垣財務大臣と金子大臣のご見解を求めます。

 弟五に、根幹制度の規制の存在の問題があります。株式会社が新たに大学を運営できることになりましたが、大学設置審議会は従来どおりの「教育関係者」を中心とするメンバーで、教授陣や図書館の設置など従来の基準で判断されることから新しいニーズに極めて応えにくい状況にあります。特区という「蛇口」を開いても、審議会という「元栓」を閉めているようなものです。「やったふり」改革と陰口を叩かれてもやむをえない状況です。
  大学設置審議会も大学の性格に応じその委員構成を見直す、場合によっては大学設置審議会そのものの存廃を含めて全面的に見直す必要性について、河村文部科学大臣のご見解はいかがでしょうか。

 第六に、規制改革をしても、別要因で事業が進まないことへの対応です。例えば、株式会社やNPOが学校を設置することは認められましたが、私立学校には私学助成金が出るのに、株式会社やNPOの設置する学校には支援がないため、既存の私立学校と対等の条件になりません。昨年当院内閣委員会で当時の鴻池大臣は、「株式会社立学校ができた、NPO立学校ができた、これは当然助成すべきであると私は思います。これはイコールフッティングで必ずやる必要があると思います。」と答弁されました。この点について、前任の大臣と同じ認識かどうか、金子大臣のご認識をお伺いいたします。

  この点について文部科学省は、財政措置の拡大であり、規制改革でないとして要望を門前払いをしていますが、河村大臣ご自身は、本年一月の衆院予算委員会において、「NPO法人に私学助成をできるかできないのか、法的な議論もあるんです。今詰めさせていただいております。」と答弁されています。憲法八十九条の「公の支配」の問題を指されているとすれば、私自身が当院内閣委員会において内閣法制局に答弁を求めたところ、私立学校振興助成法など法律上の手当てがなされれば、検討の余地がある旨の答弁を得ております。内閣法制局解釈を受けて、文部科学省として株式会社やNPOへの私学助成に向けて法律改正に向けての検討状況はどのようなものか、また国会における閣僚の前向きの答弁をも無視し自治体や民間の提案の意欲をそぐような文部科学省の事務的回答をどのように考えるか、河村大臣、金子大臣のご見解を伺います。

 また、NPO立学校の認可に関して、不登校児や学習障害児に限るという大きな制約がついております。例えば、今、全国にシュタイナー教育を実践しているNPO法人の学校がいくつかあり、高い実績を上げておられますが、この制限のため特区では認められません。なにゆえに、こうした制約がつけられたのでしょうか。そもそも、学問の自由、学習権、結社の自由は、憲法上保障された権利であります。二十一世紀に相応しい人材をわが国が輩出するためには、多様な主体にもとづく多様な教育が可能となるように、思い切って学校の設立条件を緩和すべきではないですか。二点併せて河村大臣のご見解をお伺いします。

  以上の問題に加えて、今回の政府案の具体的内容について伺います。それは、株式会社の医療参入についての大幅な内容変更であります。

 そもそも昨年二月に政府の本部は「株式会社の医療への参入については、自由診療の分野という前提」と決定しています。本法案では、医療の株式会社参入が自由診療で高度な医療に限定されていますが、昨年の内閣委員会では、鴻池前大臣は「正しきは医療の分野に株式会社参入、自由診療、この二つだけなんです。高度のコの字もありません。それを言うなら捏造としか言えない。」と明言されました。さらに、「万が一そのように進まなくて決定どおりにいかなかった場合には、厚生労働大臣の責任である。(総理か厚生労働大臣か)どちらかが辞めなければなきゃいかぬと思いますよ。ついでに私も小さな竹光で腹切ります」と明確に答弁をされました。しかし、六月に出された成案では、「高度な医療」という言葉が盛り込まれ、本法案に至っています。前大臣が本院でここまで言明された問題について、どのような経緯で「高度な医療」という内容が付け加えられたのか政府には説明責任があります。金子大臣に明確なご答弁をいただきたいと存じます。

 第二に、この法案では、株式会社病院が提供できる医療から「特定療養費に係る療養」が除外されています。これまで、厚生労働大臣は、混合診療の導入の是非については、特定療養費制度の拡大で対応する旨答弁されており、現に高度先進医療における特定療養費制度の対象は、年々拡充されております。そのこと自体は結構なことですが、その流れの中で、株式会社病院が提供できる医療から「特定療養費に係る療養」が除外されると、仮に現状の前提では株式会社が行えたはずの治療が、特定療養費の対象となった途端に提供できなくなり、特区制度で株式会社病院の参入を認めても実際に提供できる医療の範囲は、きわめて限定的かつ不安定なものとならざるを得ないと考えます。ここにもまさに先程の大学と同じく、蛇口を開けて元栓をしめていくという発想があるのではないですか。この条件で民間にニーズがあると思われていますか。金子、坂口両大臣のご認識を伺います。

 また、金子大臣にはこの条件に満足しておられるのか、或いは更に厚生労働省と議論を行う余地があるとお考えなのか、ご答弁願います。

 第三に、株式会社病院は、高度な医療で通常の病院で提供されない医療を保険外自由診療で行うにもかかわらず、株式会社病院をいわゆる地域医療サービスの総量規制である地域医療計画の対象とすることに合理的根拠はあるのでしょうか。坂口大臣のご答弁を求めます。

 最後に、法案では、株式会社病院は高度医療以外は「やむを得ない事情がある場合」以外は医療行為を行えないことになっていますが、具体的にどのような行為まで許されるのでしょうか。もし、地域住民、例えば乳幼児の夜間の発熱の診療も行えないとなると、当該病院に勤務する医師等は、医療法第一条の四に規定する、「医師等は医療を受けるものに対し、良質かつ適切な医療を行うようつとめなければならない」という医師等の責務違反を問われることにはならないのでしょうか。坂口大臣のご見解を伺います。

 私は以上のような条件で株式会社に病院参入を認めるのは典型的な「やったふり改革」であり、このような条件であれば、地域の患者さんにとっても、医療関係者にとっても、また民間企業にとっても、むしろ医療分野については株式会社参入を認めないほうがまだしもまじめな態度ではないかとも思いますが、両大臣のご見解はいかがでしょう。

 特区制度に関連して一つ提案がございます。私は、昨年来、折角特区制度を活用して法改正を行っても霞が関の省庁の課長クラスの運用通達で事実上参入制限が行われている事例を当院の委員会で指摘してまいりました。法律の施行に当たっては、政省令、告示や通達といった形で、中央省庁が地域の事情を無視して画一的に解釈・運用をしているという批判が全国から寄せられています。この際、福祉、環境や町づくりといった、より住民に身近な特定分野については、自治体が法律の運用に関し、それぞれの地域の実情に合った条例を制定し、政省令の規定を代替することができる、そのような趣旨の「条例による政省令上書き法」ともいうべき法律を制定し、法律の運用に柔軟性と地域の民意を反映させる制度を創設してはいかがでしょうか。そのような法律を策定することは、決して、「地方自治体には「法律の範囲内」で条例を制定することができる」という憲法九十四条に反するものではないし、法律の運用を霞が関の裁量にゆだねるのでなく、透明な民主的統制に服させるという意味でも有意義なのではないかと考えますが、金子大臣のご見解を伺います。

  以上、明らかにしてきたように、今回の法案の総括的印象は「ぬるい」という一言に尽きます。最近の特区制度の状況は、当初の政府、特に鴻池担当大臣の意気込みから大幅に後退ないし変質していると言わざるを得ません。例えば、制度創設後一年以内に一件の認定もなされないようなケースについては、法律や関係制度を見直すことを義務化するなど、特区制度にもう一段の推進力を与える工夫と特区制度への情熱が必要なのではないでしょうか。今からでも遅くありません。今一度特区に火を入れ、特区を活用して地域から日本を変えるという運動を全国に燃え広がらせる気迫はないのか。
最後に金子大臣のご決意をお伺いして、私の質問を終わります。

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