ご質問・お問合せ
ホームプロフィール国会質問会議録写真集記事・著作イベントリンク



平成十六年六月十一日(金曜日) 午前十時四十一分開会

=委員長(和田ひろ子君)=
 ただいまから内閣委員会を開会いたします。
     ─────────────
=委員長(和田ひろ子君)=
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  公益通報者保護法案及び国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府国民生活局長永谷安賢さん外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

=委員長(和田ひろ子君)=
 異議ないと認め、さよう決定いたします。

    ─────────────
=委員長(和田ひろ子君)=
 公益通報者保護法案及び国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。
  質疑のある方は順次御発言願います。

=松井孝治君=
 おはようございます。民主党の松井孝治でございます。

  本日は、これまで本会議及び委員会において公益通報者保護法案について議論が中心的に行われておりましたが、国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案についての質疑が余り行われておりませんので、そのいわゆる野党案についての質問をさせていただきたいと思います。

  提案者の川橋議員にお尋ねさせていただきたいと思いますが、まず、この野党案、国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案のそもそものねらい、いわゆる趣旨説明は伺っておりますけれども、それをもう少しかみ砕いて、なぜこの法案が必要なのか、その辺りについて、時間も限られておりますので、場合によっては政府案との対比も含めまして御説明をいただければ大変有り難いと思います。

=川橋幸子君=
 この法案を熱心に作られたのは櫻井充議員でございまして、私は今日はそのピンチヒッターということでお答えさせていただきますけれども、本当に櫻井充議員の場合はきっと皆さんの心に訴えられるようなことが多いかと思いますが、私は本当に官僚と、いただいたものを正確にお答えさせていただくということでお許しいただきたいと思います。

  本法案の趣旨、目的といいますと、やはり近年、官僚の税金の無駄遣いあるいは裏金作りとか、あるいは防衛庁水増し請求など様々な不祥事が続いております。残念ながら続いております。二〇〇一年に情報公開法が施行されまして、官僚の不祥事を防止する手段として期待されたのでございますけれども、結局、この情報公開は不十分なままで、なかなか官僚の責任を追及するための手段にはなっていないということがこの法案提案の一番の趣旨になるわけでございます。

  そこで、昨今、公益通報、すなわち多くの人の利益という観点で、内部情報を明らかにいたしまして組織の適正化を図ることが非常に有用であることが諸外国でも指摘されるようになりました。しかし、我が国ではこうした法律がなかったために、行政の不祥事に対しまして公益通報を行って組織の改善を図ろうといたしましても、告発者は、通報者は保護されるどころか逆に内部情報を明らかにしたことで不利益処分を受けるおそれが大変強うございます。このような状況では情報を提供することは困難でございまして、組織の改革、改善を図っていくことは難しいと考えられます。そこで、行政の適正化を図るために公益通報者を保護する法律の制定が必要であるということで本案を提案させていただいております。野党共同で提案させていただきます。

  政府案とどこが違うかもまとめて答えるようにという松井議員からの質問でございますけれども、簡単に申しますと、公益通報の範囲が非常に広くなるということが一つ。それから、保護される人たちが、これは行政の適正化、行政の適正化といいますか、行政が本来持つ国民に対する使命をどのように発揮していけるかという、そういう行政の使命を発揮するための適正化ができるということに主眼を置いておりますので、政府案の対案というよりも、むしろ政府案を補う、補完するということで保護される対象の人が異なっているというところが大きなことかと思います。

  取りあえず、こうした答弁でよろしゅうございますでしょうか。

=松井孝治君=
 具体的に、例えば通報者については政府案と対比してどういう違いがございますでしょうか。

=川橋幸子君=
 それでは、これも公式見解、野党公式見解でございますが、政府案の方は公益通報の範囲を国家公務員のことに関してだけではなくて民間についても、関しても通報できるという規定ぶりになっております。このことだけ見ますと、政府案の法律案の方が範囲がより広いように感じられますけれども、しかし、国家公務員のことに関して見ますと、本法律案の場合は法令違反又は違反するおそれがある事実、人命又は健康に重大な影響を与えるおそれがある事実、それに加えまして会計経理に関し明らかに不当であると認められる事項がある事実というような三つの事実を公益通報の対象事項としておりますので、政府提案の法律案よりもはるかに広い範囲となっておりまして、しかも、先ほど申し上げましたように、昨今、会計経理の不正、今回決算委員会でも多くの警告決議がなされまして、その中にも盛られておりますけれども、そうした会計の経理に関して不当な事項についても公益通報の対象としているということですので、はるかに広いということが言えると思います。

  また、対象者につきましては、政府案の方では労働者しか保護されないということになっておりますけれども、本法律案はすべての国民が保護の対象となっていると。これも、保護法益の対象範囲、人の範囲も少しずつ違いますけれども、単純な言い方をさせていただきますと、保護される人の対象も広がっていると言えると思います。

  さらに、こうした場合にどのように広い範囲でしかも風評被害のようなものを防ぎながら通報者を保護するかということになりますと、第三者機関が必要ではないかという趣旨から、この野党提案の法律案では、行政適正化委員会を設置することによりましてこうした制度の仕組みが適正に活用される、通報者の保護も図られやすくなる、通報もしやすくなるということをねらいとしております。
  これでよろしいでしょうか。

=松井孝治君=
 ありがとうございます。よく分かりました。

  正に通報者も、政府案が公務員を含む労働者であるのに対して、野党案は国民全体でありまして、その国民全体がその通報に関して保護をされるという違いがあるということもよく分かりました。

  また、政府案は通報対象が法令違反であり、しかもその法令が七法令に限定されているということですね。それに対して、野党案はより広範な対象としているし、またそのおそれまで含めて対象にするということですから、ある程度その法令違反の可能性がある、あるいは正に法令違反になる事実が生じようとしている範囲まで対象となるということで、対象も広範であると、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

=川橋幸子君=
 質問者の松井議員の方がよく御存じでいらっしゃると思います。

  さらに、ちょっと一番の私ども民主党案といいますか野党案のセールスポイントを申し上げさせていただきますと、政府案の場合は、例えば雪印食品のケースなんかが典型になるわけでございますけれども、下請事業者が通報してもそれは保護の対象とならないということでございますが、民主党案ですと、弱い立場にある下請事業者なども保護されるということになりまして、それから対象事項では、先ほど切迫している状況でないと政府案の方は認められないという仕組み、今正にそのおそれが生ずることというような要件が書かれているわけでございますけれども、民主党案の方は未然に被害を防ぐ観点から、切迫している状況にはなくとも、公益通報として認めることが是非とも必要であるということから、その対象事項も広くなっている、外部への通報がしやすい仕組みとなっているということでございます。

=松井孝治君=
 先ほど、川橋議員の答弁で、行政適正化委員会という言葉が出てまいりました。この通報先を、この行政適正化委員会という機関を設けたと、これは政府案との大きな違いですね。ここの趣旨、これは当然、通報者の保護あるいは通報者がより公益通報をしやすくするための措置だと思うんですけれども、行政適正化委員会を通報先にしたということの趣旨について、もう少し詳しく御趣旨を教えていただけますでしょうか。

=川橋幸子君=
 まず、お答えの前に一言おわびをさせていただきます。ちょっと先を急ぎ過ぎてしまいまして、これから考えていることまでも先ほど民主党案のセールスポイントとして申し上げてしまいました。下請事業者にも適用拡大というのは今考えておりまして、やがて間もなくこの委員会の方に提案されるその内容の方まで申し上げてしまいました。どうぞお許しください。

  さて、行政適正化委員会でございます。行政適正化委員会は、簡単に言いますと、通報しやすくすることと、それだけではなくて、通報者の保護が図られやすいようにしているということがこの行政適正化委員会の役割でございますけれども、つまり国家公務員の場合は、業務上の、職務上の守秘義務の問題がございまして、民間と異なるところがございます。国家公務員の不祥事といいますのはもう国民の不利益にそのものつながるわけでございますけれども、公益通報というこの制度を運用していきますと、守秘義務とそれから公益通報と異なる、異なるといいますか、一見両立し難いようなそうした問題が生じる場合がございます。ということでございまして、今回、行政適正化委員会という新たな仕組みを考えますと、その辺の調和が図られるのではないかということがこの民主党案、野党案の意味でございます。

  守秘義務は、公務員にとりましては、国民に対しても大事な役割でございますけれども、板挟みになる場合にそうした職員が守秘義務違反に問われることがないように、そういう作用を及ぼすようにこの行政適正化委員会というものが作られる、作るという、そういう趣旨になってございます。

=松井孝治君=
 分かりました。

  今私もちょっと正に伺おうと思っていたんですが、こういう法律ができますと、ある意味では、これは与党側でも懸念の声がありましたけれども、密告を非常に助長すると。それは日本の文化にそぐわないんじゃないかという批判がありますね。野党案を立案されるに当たって、そういう非常に密告を助長する、これ公益通報と密告というのは同じ事柄であったとしても、その取る方の取り方によって別の解釈があるのかもしれませんが、確かに密告が非常に横行するとか、あるいはそれが誹謗中傷のようなたぐいのものが横行するということになるというのはこれは望ましいことではないと思うんですが、その辺りは今の御説明の中にも多少あったと思いますけれども、野党案においてどういう御配慮をされているんでしょうか。

=川橋幸子君=
 まあ、密告奨励、野党案にといいますか、割合個人的な意見になるかも分かりません。私個人は社会の仕組みが変わってきているんだと思うんですね。非常に複雑になってきている。それから一方では、近代社会は発展すればするほど複雑になってきている。しかも、組織、組織の間の壁といいましょうかバリアが大きくなってくる。こういうときに何が本当に国民のためになり、何が本当に組織のためになり行政のためになるかということを考えますと、民間では、昨日は参考人の方々からもコンプライアンス経営ということを様々伺いましたけれども、それは行政も同じではないでしょうか。

  そうしたときに、行政の場合は、内部と、上司と部下という関係のほかに、国民ということを考えながら公共性を追求していこうとすると、いわゆる内部の情報を外に出すのがもしかしたら自分の出世に不利になることがあっても、迫られた場合にどっちの価値観を取るかという、そういう問題が非常に大きいような気が私の個人的経験からもいたします。私の個人的経験では、中にいて批判すると、天に向かってつばをするという言葉がございまして、いずれ自分に返ってきてしまうことがあるわけですけれども、でも正義と勇気というのはそういうことではないと思います。

  ですから、いわゆる密告奨励といった場合に、密告という言葉自体には、個人的に思いますには、そのような考えを持って密告という、そういう言葉の概念と、刺す、チクると昨日は神本委員がおっしゃいましたけれども、そういう言葉とは違うんだと、不利になっても正しいことを追求するというのが私は公益通報だと思います。そういうものをむしろ助けてあげるというそのシステムが必要ではないかと、これが行政適正化委員会の役割だと思います。

=松井孝治君=
 よく分かりました。

  私も、これ、公益通報ということになってくると、何が公益通報で何が誹謗中傷なのかというのは非常に判断しにくいところがありますね。したがって、その受けた方が、それが本来公益通報であり、きちんとした公益を守るために正義感に基づいて勇気を奮って通報されたものを、いやこれは個人個人の主義主張で、むしろ誹謗中傷のたぐいだということで抑え込まれることがあってはいけないし、また逆に、公益通報という名の下に非常に誹謗中傷のような根拠のない情報が流されるということもこれは良くないことであると。ましてや、それは公務員が行うということであれば、そこについての行政上の守秘義務というものをどう守るかということも必要だと。

  そういう意味で、何らかの形で直接当該職務を担当している行政機関以外の第三者機関的行政適正化委員会のようなものを設けて、そこが中立公正な立場から判断するという意味において、野党案は工夫がされているなというふうに感じました。

  時間が全体押しておりまして、もう私に与えられた時間、限られておるんですが、最後に一つだけ川橋議員に御質問をして私の質問を終わりたいと思うんですが、この通報者に対して、公務員の場合は身分保障がありますからそう簡単に首を切るということはできないわけですが、それでもいろんな不利益処分がなされる可能性というのがあると思いますが、そういう通報者に対する不利益処分をどのように防ぐのか、それについての野党案の対応をお尋ねさせていただきたいと思います。

=川橋幸子君=
 これも御答弁は繰り返しになるかもしれませんし、もう既に質問の前提の中で言ってくださったことに尽きるのかなというふうに思いますけれども、やはり公務員に対する不利益取扱いというのは、本法の、民主党案の第四条で規定はしておりますけれども、そもそもは国家公務員法上の身分保障が大きい。国家公務員法七十五条に規定されているそうですが、正当な理由のない不利益処分はなされないという、そういう建前でございます。建前と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういう制度上の保障があるわけでございます。しかも、不利益処分を受けたと思う職員がおりましたら、その場合は国家公務員法に基づきまして人事院に対する不服申立てという救済手段もあるわけでございます。

  これが根底であることは変わりないところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、守秘義務の問題と公益通報との関係、非常に微妙な問題も出てくることが多いといたしますと、やはり行政適正化委員会というようなところに通報いたしまして、そしてそこで解雇等の不利益取扱いが正当かどうかを第三者機関の目でチェックしていただくと。やはり最後のところは訴訟で持ち込むことにつきましては政府案と同じでございますが、その前に一つ第三者機関を置くことにおきまして、非常にこうした不服申立てとか不利益取扱いについての裁判となりますと当事者間で非常に大きな傷を持つことが多うございます。しかも長引くことが多うございますけれども、その前にこうした行政適正化委員会というステップを入れることによりましてチェックが働く、不利益が被らないようにする安全装置が、防護装置が働くと、このように考えているところでございます。

=松井孝治君=
 終わります。ありがとうございました。

s
+-+-Copyright Koji Matsui Official All Right Reserve.-+-+