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朝比奈隆氏にささげる |
| 本日(2001.12.31)の新聞報道(京都新聞では1面トップ)にもあるとおり、私が尊敬してやまなかった指揮者の朝比奈隆氏が29日夜、逝去されました。
私なりの追悼の辞を述べさせていただきます。 朝比奈隆さん、 貴方は、大阪フィルハーモニーの音楽総監督であるほか、NHK交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニーなど東京のオーケストラも頻繁に指揮し、その愚直なまでに骨太な音楽で、いつも多くの聴衆を魅了、圧倒し続けてこられました。 私もここ15年来、何度となく、年末のフェスティバルホールでの第九演奏会に足を運んだほか、東京でも貴方の演奏会にはできるだけ切符を入手して聴きに出かけました。 (仕事の関係上折角買った切符を友人に涙を呑んで差し上げることの方が多かったですけれど・・・) そして、いつも演奏終了後、ステージから楽団員の方々が引き上げても、熱狂した聴衆から何度も何度も独りでステージに呼び出される貴方の姿を最後まで見届けてきた一人でした。 指揮のうわべのテクニックで貴方を上回る若手の指揮者はいくらもいたことでしょう。 でも貴方ほど、各作曲家の描いた音楽の神髄に迫り、厳しく、そして大きな音楽でわれわれを包んでくれる指揮者を私は知りません。 96年に貴方が世界屈指のシカゴ交響楽団をはじめて指揮されたときには、丁度、官邸勤務あけで3日間の休暇をもらえたので、 私にとって、京都、東京に次ぐ第三の故郷であるシカゴに出かけ、貴方が指揮するシカゴ交響楽団のブルックナーの第五番の初日を鑑賞することが出来ました。 ブラボーの歓声がわき、客席は総立ちで、米国人から見れば決して大柄ではない、しかし舞台では威風堂々たる東洋の老巨匠のブルックナーを賞賛しました。 演奏のすばらしさもさることながら、ステージ上で、世界を代表する管楽器奏者たちが、本当に尊敬の眼差しで貴方に対して、会場よりも大きな拍手を送っていたことに、私は心底感動の涙にむせびました。 会場を後にするとき、近くの席の初老の紳士が、「君はマエストロ朝比奈と同じ日本の出身か?偉大な指揮者を持っている君たちは幸せだ」と語りかけてくれたことも印象的でした。 貴方の振ったブルックナー、ベートーヴェン、ブラームス、シューベルト、チャイコフスキーの演奏の数々は深く私の心に刻まれています。 朝比奈さん、本当にたくさんの感動をありがとうございました。 政治家として、人間として、貴方の百分の一でいい、人の心をうち震わせることのできる人生を送りたいと願ってやみません。 長い間お疲れさまでした。 今は貴方が愛してやまなかったブルックナーの音楽の響きの中、天上で静かにお休み下さい。 2001.12.31 松井孝治 |