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マニフェスト点検3

【2003年10月22日(水) 日本経済新聞 朝刊掲載】


民主党 松井孝治府連選対委員長


 民主党がマニフェスト(政権公約)の冒頭に掲げた七つの重点公約の表題は「脱官僚宣言」。 「マニフェスト全体を貫く基本思想」(幹部)といえる。 政と官の関係見直しに関し、同党は

1.閣議の内容を事実上決めている事務次官会議の廃止
2.幹部公務員への政治任用拡大
3.与党幹部の入閣――などを提唱。

衆院選後の四百三十日間で実現する「工程表」も示した。市民運動家出身で、厚相時代に薬害エイズ問題で省庁の隠ぺい体質に切り込んだ菅直人代表の持論を盛り込んだ。

 具体策をまとめた党政権準備委員会(仙谷由人委員長)の中心は松井孝治、鈴木寛両氏ら当選一・二回の若手議員だ。松井氏は通産省(現経済産業省)の官僚時代に政府の行政改革会議に出向し、省庁再編の具体案づくりに参加したこともある。「日産のカルロス・ゴーン社長のように『自分がトップに立てば何をするか』を政治家が官僚に常に語りかける組織にすべきだ』との理念で今回の改革案を作成したという。だが同党の案には課題も多い。

「民間人を幹部公務員に起用するには民主党が下野した後の身分保障が必要だ」
「すぐにできる話じゃない」
「改革に四百三十日も必要と言えば遅すぎると批判される」

 九月末の政権準備委で異論が噴出した。最終的には自民党政治との違いを強調するためマニフェストに盛り込んだが、メンバー内にも「たとえ政権交代が実現しても、実行に移す過程ではしばらく試行錯誤が続く」との見方は残る。

 自民党の政権公約にも「官から民へ」「行政の役割を変える」と記した章がある。
ただ特殊法人改革や官民人事交流に触れただけで、政策決定システムの抜本改革などには踏み込んでいない。
自民党内で過去に全く議論がなかったわけではない。
昨年三月には小泉純一郎首相の主張に沿った形で、自民党国家戦略本部が与党の了承がなければ政府が国会に法案を提出できない「法案事前審査制」を廃止する緊急提言を公表した。

 しかし影響力を失うことを恐れた党内から反論が噴出。昨年七月に同本部などの
「政治システム改革についての提言」に盛り込むことが見送られてからは議論が低調になり、今回の政権公約取りまとめでも大きな議論にはならなかった。

 首相の頭にあるのは小泉流の政治スタイルと二年半の実績のようだ。
「郵政民営化、道路公団改革、私が首相になるまではだれもが実現できないと思っていた」。
 繰り返しこう強調する首相について周辺は「官邸主導、政治主導などと紙にいくら立派なことを書いても意味がないと思っている」と解説する。

 焦点の年金制度改革は官邸で関係省庁の次官級や局長級の会合を開き道筋をつける方針。郵政民営化は首相自らが議長を務める経済財政諮問会議で検討する。
小泉流の「官邸主導」を形にして対抗する構えだ


●「政と官」のあり方に関する自民、民主両党の主張

■公務員制度改革■

自民党 課長以上の2割程度の官民交流を目指す。天下りを制限。
公務員制度改革法案を2004年の国会に提出
民主党 局長以上に民主党の政策への全面協力を誓約させる。
官邸スタッフなどに若手官僚や民間人を積極登用

■予算編成改革■

自民党 2004年度からの省庁の枠を越えて重点化・効率化を実現する
予算編成を実現
民主党 内閣財政局を新設し、予算、税制改革を実現

■その他■

自民党 政権公約に記述なし
民主党 政調会長が官房長官、幹事長が無任所国務相として入閣。
主要官僚は首相官邸や周辺に常駐。次官会議を廃止、閣議に多数決制を導入

 

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