民主党参議院議員・松井孝治
年金制度改正が国会で議論されようとしている今も、国民が汗水垂らして納めた保険料や税金が湯水のごとくムダ遣いされている。許されるはずもない事だが現実である。
私は4回にわたりこの背景に、実に根深い構造的な問題があることをお伝えしようと思う。年金保険料のうち年金給付以外に使われた金額は、明らかになっているものだけでも5兆6000億円。全国に13カ所ある大規模保養基地(グリーンピア)に使用された話は有名だが、このほかに各種保養施設やスポーツセンターなどの年金福祉施設と言われるものが260ヵ所余り。まさに箱者行政の典型だ。
年金保険料のムダ遣い
ほかにも、社会保険庁のオンラインシステムの構築費用などで1兆3900億円。こんなものに皆さんが納めた保険料が使われて来たのだ。
政府は、保険料を上げ給付を下げるという「改革」法案を出そうとしているが、その前にするべき事がある。責任の明確化だ。
年金保険料のムダ遣いと同様の構図は、雇用保険料でもみられる。具体例を挙げよう。旧スパウザ小田原という施設をご存知だろうか。東京ドーム5つ分の敷地に、地上12階地下1階の本館にコテージ、巨大な天然温泉のスパ、その他屋内外テニスコートやボウリング場などもある総合リゾート施設。現在は保険料を投じて平成10年にオープンしたのだか、その6年後、約50分の1の8億円で売られることになった。たった6年間で、皆さんの給料分から強制的に徴収した保険料のうち約450億円を見事にすってしまったのだ。これは実に約5万人の失業保険給付に相当する額である。
この旧スパウザ小田原開発の責任は誰にあるのか。現役官僚から聞き取り調査した結果、2人の旧労働省事務次官経験者が浮かび上がった。関秀夫氏と清水傅雄氏である。
関氏は事務次官から雇用促進事業団に理事長として天下りし、本プロジェクトを構想。調査費の概算要求、立地決定、基本設計などにもかかわり、その後スパウザを運営する勤労者リフレッシュ財団を設立し、自ら理事長に就任した。
清水氏も、施設の概算要求時には予算要求の取りまとめ役である官房長を務めており、雇用促進事業団を監督する職業安定局長などを経て事務次官に。そして、関氏の跡を継いで雇用促進事業団の理事長となり、現在はリフレッシュ財団の理事長である。
なんという分かりやすい構造だろう。役所の中でも名うての“やり手”とされていた2人がマンモスプロジェクトを作り、巨額の雇用保険料が水泡に帰したのだ。後輩の官僚たちはもちろん失敗に気づいていたが、2人の大物次官のプロジェクトに異議はさしはさめなかった。これこそが天下り問題の本質なのだ。
年金・雇用保険共通の膨大なムダ使いの背景にある中央官僚の天下り問題。ズパウザはその氷山のごくごく一角にすぎない。
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