|
〜 小泉トーンダウンで中島人事院総裁の”遺言”むなし 〜
営利企業に対する天下りについては不十分ながらも政府中立期間である人事院が規制しているが、非営利団体の外郭団体への天下りは各省庁が審査しており、事実上、何のチェックもできていないという事実を昨日、指摘した。
政府の公務員制度改革の大綱では、その人事院の天下り審査も廃止し、全て各省庁の審査にしようという案が盛り込まれていた。
この改革案は天下り規制強化を求める世論に全く逆行するものだ。先日の決算委員会での私の質問に対し、天下りの目付け役である中島忠能人事院総裁=写真上=は、「この改革案では全く駄目だ。大臣というのは勧奨退職と再就職のあっせんの責任者に天下りが適正かどうかということを判断させるなど全然理屈に合わない」と明言。政府の高官が内閣の改革案を否定するのだから異例の発言だ。
奇しくも中島氏は本日付で人事院総裁を勇退されるが、その直前の、本音の勇気ある発言だったと思う。失礼かもしれないが、私には中島総裁の”遺言”にすら聞こえた。
一方、小泉総理=同下=も同じ委員会の場で、私の質問に対し、「事務次官が所管の特殊法人や独立行政法人に天下りしていくのはもう許される時代ではない」と述べ、事務次官の天下りを原則禁止する考えを示した。しかし、これですんなり自体が改善するほど霞ヶ関は甘くない。
新聞各紙が小泉発言を報道するや、早速、現職事務次官も含めて公然と批判が飛び交った。「特殊法人は公的な性格が強い」「事務次官の経験や知識が生かされなくなる」などなど。
結局、事務次官等の特殊法人・独立行政法人のトップへの天下りに関しては”全ポスト数の半数以下に抑えよう”という数値目標を設定する方針を打ち出した。だが、当初の総理発言からみれば明らかなトーンダウンであり、抜本的な改革にはほど遠い。
そもそも事務次官で1年間に退職するのは10人足らず。うち、特殊法人の理事長への天下りなどたかだか数人程度で、総理が決済する天下り案件などは氷山の一角に過ぎない。これでは、これまで指摘した政府のムダ使いの根本的な構造を改革するには全く至らないのだ。
特殊法人の数は現在45、独立行政法人は95あるが、昨年10月に独立行政法人化した32の団体のトップのうち、天下りはなんと26人にものぼる。公的分野にも民間の経営手法を活用しようと創設された独立行政法人制度が聞いてあきれる。これら団体の生え抜き職員の間では、「しょせん、うちは植民地ですから」との締めともつかないため息が漏れている。
さらに、全国で約7000ほど存在する国の所管の社団・財団の役員には、判明しているだけでも6000人強の中央官僚が天下っているのだ。
これらの団体の多くには国などから多額の補助金や委託費が支出されたり、公設施設の運営が委託されるなど国と密接な関係がある。免税や優遇税制が適用されていることも忘れてはならないだろう。
参議院選挙が近づく中、小泉政権が行財政改革に本気で取り組もうとしているかどうかは、膨大な外郭団体への官僚の天下りについて、真剣にメスを入れられるかどうかを見極めれば自ずと明らかになるのだ。
|