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〜 IT調達のココがおかしい 〜
保険料のムダ遣いをもう一例ご紹介したい。年金保険料の中で年金給付以外に支出された
5兆6000億のうち、約1兆円は社会保険庁の情報システム予算である。最近急速に低価格・高性能化しているコンピューターに、かくも莫大な経費が投じられている裏にはからくりがある。民間ですっかり影を潜めた旧型のメインフレームを使って、ソフトとハード、そしてサービスを一体化して、どんぶり勘定で経費を計上しているのだ。国際的ルールで、一般に政府が無競争で特定の会社に発注できるのは一件1000万規模未満の比較的小額のものに限定されている。ところが、同庁は昭和r年代から同じ2つの企業に無競争で発注を行い、今年度だけでも800億円と200億円で計1000億円、これまでに計1兆円の発注を行っている。
IT業界では政府のIT投資は「カモ」と呼ばれているが、中でも群を抜いて、美味しいカモ・が同庁のシステムだ。
民間のIT投資に比べて約3倍の金額が遣われていると言われているが、業務成果はすこぶる悪い。1万円を徴収するのに必要な経費(徴収コスト)は、国民年金が810円で、国税136円の6倍である。しかし、総経費中のシステム経費の割合は、社会保険庁が国税の4・5倍も遣っているのだ。さらに同庁は先の2社に対して2000億円にものぼる未払い金まで抱えているが、国の予算書を見てもどこにもない数字だ。この予算は電話代と同じ名目で計上され、特別会計予算であることもあり、筆者の知る腕利きの財務官僚ですら見抜けなかったと反省するほど巧妙かつ不透明な仕組みなのだ。
そして当然、この仕組みにも裏がある。賢明な読者にはおわかりだろう。この「おいしい」発注が行われている会社(及び子会社)には、歴代、厚生労働省、社会保険庁出身の官僚が多数天下っているのである。
このシリーズで、私は税金や保険料のムダ遣いと天下りの関係を取り上げてきた。
たまたま厚生労働省の問題を取り上げたが、程度の差はあれ霞が関の各省庁は類似の構造を持っている。
私もU年前の今日、国のため、社会のためにという思いで官僚になった。今でも多くの若者が同じ気持ちで、霞が関の門をくぐっていると信じている。
そうした若手の官僚の諸君に問いかけたい。君たちが各官庁で、「つかさ」「つかさ」で全力で働くのは大いに結構だ。だが、役所のために働く前に、日本国の国家公務員であることを忘れないでほしい。そして、国家公務員である前に日本国民であることも。
君たちの先輩は、預かった税金や保険料を、知らず知らず自分たちのものだと勘違いしていないだろうか。そして、国民の皆さんから預かった貴重なお金を、事業の発注や補助金の名目で企業や団体に余分に渡し、見返りに自分たちが天下らせてもらうという、もっとも恥ずかしい仕組みを作ってはいないだろうか。
私は今回の連載を官僚バッシングのための企画に終わらせたくない。こうした天下りの仕組みを作らせたのも政治の責任だ。官僚が本来抱いていた志を国益のために吸い上げる仕組みを作るのが政治の役割であり、厳しい天下り審査の仕組みづくりはそのための序章に過ぎないのだ。
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