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一部自治体の問題事例を引き金に、公務員の処遇についての議論が活性化している。重要な論点ではあるが、公務員改革の中核はキャリア官僚制度にある。二大政党制の下で、政権交代が本来のダイナミックな政策転換をもたらせるか否かは、政治家を支える政策スタッフの充実が鍵であり、キャリア官僚制度の見直しが必要だ。
背景には社会環境の大きな変化がある。第一は職業観、職業環境の変化である。年功序列・終身雇用を前提として22,23歳で将来を決定する時代は終焉した。ゆりかごから墓場まで同じ組織に面倒を見てもらうという意識は、中央官僚のみを例外に急速に希薄化している。
第二に専門性の深化である。情報・金融分野を中心に高度な政策知識が必要な分野が拡大するとともに、旧来型官僚が得意とする事前調整型行政領域は縮小し、ルールに基づく事後監視型行政領域が拡大している。この変化に対応できる人材が霞が関には絶対的に不足している。
第三に、閉鎖性の弊害である。タコツボ化し、組織的天下り体質から脱皮できない閉鎖的集団の判断は、旧来事業を温存するなど社会常識から乖離してしまう場合が少なくない。国際的にもまれな純血主義のわが国の官僚制を改革するために、人材登用ソースをオープン化することは時代の要請である。
第四にキャリア官僚たちの弊害である。規制改革や三位一体改革など、省庁横断的な改革への各省庁・与党各部会の激しい抵抗に、改革意欲を有する優秀な官僚ほど挫折感は強く、意欲ある官僚たちの霞が関からの脱出が続いている。
これらの変化を踏まえ、少ない国家資源をどの分野にどう配分すべきかを全体的な視野で考えられる「国益官僚」を育てなければならない。同時に、分野ごとに専門性に優れたスタッフも必要である。現在の官僚制度は、両方に失敗している。
省庁別の採用と組織内人材養成には限界がある。省庁間、政治家・政党、業界との利害調整や根回しに明け暮れ、高度な政策知識も国益意識も身につかず、所属官庁への帰属意識(一家意識)だけが育まれてしまう。
むしろ、一定の経験を積み、優秀で仕事盛りの政策人材が広く社会の各分野から官邸や内閣府に集まり、職業官僚と切磋琢磨して仕事をする仕組み作りが必要である。
まず、事務次官を頂点とする幹部官僚になることを保証する国家公務員1種試験制度は廃止し、幹部官僚の採用は霞が関も含め広く社会全体から募るオープンな制度を創設してはどうか。現在の1種試験は2種試験と統合し、専門分野ごとの職業公務員の受け皿とする。
外部登用を進めるためには、公共部門の規制緩和・民間解放を促進する観点で進められている「市場化テスト(官民競争入札)」的な手法をとるべきである。経済協力開発機構(OECD)などの国際機関と同様に、特定の官僚ポストを官民で競争させ、最適任者を任命する。その評価機関を内閣の下に設置する。応募は他省庁も含めて既存の官僚にも門戸を開く。いわば官僚FA制の導入でもある。
こうした改革を実現するには、公務員制度改革のみでは不十分である。公務にかかわる人材の選抜・養成を人事院や各省庁に委ねるのではなく、公共政策大学院の充実やシンクタンクの整備、そして最終的な人材を登用するための政治の意志が不可欠である。
与野党を超え、今こそ政治は、容易な職業官僚バッシングではなく、「国益官僚」を社会全体で育てるための環境整備に注力しなければならない。
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