【2006年5月9日 日本経済新聞 掲載】

公務員改革「骨太」に


 政府は六月にまとめる経済財政運営の基本方針「骨太方針2006」で公務員制度の抜本改革を明記する。総人件費削減に加え、天下りの抑制に向けて四十歳代から退職を促される早期退職慣行の是正や天下りの弊害除去策、能力給導入などの改革にも踏み込む。国会論戦で野党の攻勢にさらされた小泉純一郎首相が指示したもので、秋に想定する臨時国会で必要な法改正を目指す。 「野党の質問でもいいことを言っている点もある。聞きっぱなし、答弁しっぱなしではなく、よく整理してほしい」。首相は四月二十七日の経済財政諮問会議で、中馬弘毅行政改革担当相に不満をあらわにした。
 首相のいら立ちは、二十六日の参院行政改革特別委員会で民主党の松井孝治氏に天下り規制など「改革の骨抜き」を指摘されながら、十分反論できなかったため。「これから政府がどう対応するのか、見せるように」と中馬氏にクギを刺した。
 骨太方針では、早期退職慣行の是正を急ぐ方針を明示する。キャリアと呼ばれる幹部候補は最終的には同期入省者の一人だけが事務次官として残り、それ以外の人は順次退職していく。この慣行がなくならない限り、天下りを減らすのは難しい。
 首相はすでに〇二年七月の閣僚懇談会で是正を指示。同年十二月の閣僚懇では「〇三年度から五年間で平均退職年齢を三歳以上引き上げる」と申し合わせた。平均退職年齢は五十四.四歳から〇五年時点で一.四歳引き上がったが、首相は今回、中馬氏に達成時期の前倒しを探るよう促した。
 天下り自体の全面禁止を法律で定めるのは憲法の「職業選択の自由」に抵触しかねないため困難だが、天下りした官僚OBがかつて在職した省庁に働きかける行為を禁じる規定などを検討。OBの発言力を封じ込めることで弊害除去を目指す。
 早期退職の見直しを進めれば、現在の年功序列型の人事システムが成り立たなくなるのは必至。同期入省組を同列に処遇することができなくなるためで、能力給導入なども含めて検討し全体として人件費抑制を目指す。
 政府は〇四年に公務員制度改革関連法案の骨子をいったんまとめたが、人事院や連合との調整がつかず、国会提出を見送ってきた経緯がある。骨太方針への公務員改革の明記は、次の政権に改革継承を促す狙いもある。

+-+-Copyright Koji Matsui Official All Right Reserve.-+-+