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こちら特報部
「政治家が判断せよ」
〜前略〜
一方、フランスは官僚のステータスが高い。身分保障のある形では局次長までだが、政治任用により、局長級(約六百人)や内閣の一員(キャビネ、約七百人)など政府の要職に就く。多くは歴代大統領を輩出してきた国立行政学院(ENA)卒業生で、政治任用が終わると政治家に転身したり、政府とかかわりの強い民間企業に天下りするケースも多いという。
英国勤務経験がある中央省庁幹部は「自分たち官僚が政策をつくるものだと思っていたが、英国はまったく違った。物事を決めるのも、責任を取るのも政治家。官僚は言われたことを実行するだけ。決定権がないから、業界はもちろん、特定企業からの接待もない」と、日本との違いを語る。
米国と経済交渉にあたってきた元局長も「交渉相手が政治任用かどうか意識したことはなかったが、給料は日本よりグンと安いようだ。自分のキャリア(経歴)の一ステップにすぎないと考えているようで、(政治任用期間が)終われば民間のよい地位につく。感覚も環境も違う」と話した。
日本の官僚は半分“政治家”
民主党で政治任用制度導入論の旗振り役を果たしてきた松井孝治参院議員は、自らも通産省(現・経済産業省)出身だ。「今は政治主導ではなく、完全に官僚主導。日本の官僚は半分以上“政治家”なんですよ。政治家がすべき判断や調整をし、政治家の根回しまでしている。官僚におんぶに抱っこで、本来は官僚が踏み込むべきではない領域までやらせてきた政治家にも問題がある。政治家は施策の立案・実現のためにブレーンやシンクタンクを持つべきだ」と話す。
「官僚の仕事は、あくまでも政治家が政治判断をする材料を調えること。官僚の出したさまざまな選択肢をみて、政治家が今何が必要かと判断をするのがあるべき姿。そういう構造になっていれば守屋氏のように君臨するドンはそうそう生まれない。政治任用はあるべき姿にするための一つの手段」
では、日本で政治任用はうまく機能するのか。
前出の省庁幹部は「そういう方向に行こうとしているのは分かるが、何もかもが中途半端」と懐疑的。国会に出される法案の多くが政府提案であることなどを挙げ「与野党とも政策は官僚頼み。そのくせ、失敗した時だけ官僚をたたく。権限がある代わり、政治家が責任も取る英国とは大違い。官僚から権限を取り上げてもいいが、官僚は何も考えず、言われたことしかしなくなる。それで政治家はやっていけるのかな」と笑みを浮かべた。
しかし、新藤教授は各省の事務次官の廃止を提唱する。閣議にかけられる重要事項を事務次官たちがおぜん立てしてきた実態が政治主導を阻んだと指摘。「次官を廃止すれば、副大臣が機能し始める。さらに局長級以上を政治任用にすれば、霞が関の閉鎖体質は大きく変わる。薬害などを繰り返さない基礎的条件はできる」と強調する。
閣僚代われば官僚笑うだけ
閣僚がころころ代わる状況も「政治が弱くなって、官僚がほくそ笑むだけ」と新藤教授。首相在任中は閣僚を代えないことが原則だと付け加えた。
ただ、前出の元局長は「どの国の制度も、その国の歴史の中で納まってきた。一部だけ変えてもだめ。内閣総理大臣補佐官だってうまく機能しないから、福田内閣になって人数を大幅削減した」とクギを刺し、「日本の局長は年間の半分は国会対応に追われ、米国のように議会証言は年数回という国と違う。国会答弁は過去の経過も踏まえなければならず、わずか二、三年のために民間から来た人にそれができるのか」。
そのうえで、こんな殺し文句も付け加えた。「へたに目立つ人を局長に据えれば、今度は大臣が怒りだす。その点、官僚は、手柄を大臣に差し出す心得ができていますよ」
東京新聞 2007年10月31日朝刊
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