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首相悩ます3つの難問
「銃規制、肝炎、年金」
「安心と安全の国づくり」を掲げる福田政権が、まさに国民の安心や安全に関わるテーマで苦境に立たされている。「公約違反」と批判される年金記録問題に加え、和解協議が難航する薬害肝炎訴訟、そして国の銃規制のあり方が問われる長崎県佐世保市での散弾銃乱射事件。首相官邸の対応次第では、その批判は政権の信任そのものを揺さぶりかねない。
支持率急落 与党に危機感
「年金問題は大きいですからね。これが順調にいっていないというのであれば、信頼を失うこともあるかもしれない」福田首相は17日、記者段に対し、内閣支持率の低下について、年金記録問題が影響しているとの見方を認めた。
共同通信社の15、16両日の電話世論調査では、支持率が35.3%と、11月の前回調査と比べて11.7ポイント落ち込み、不支持が初めて支持を上回った。日本経済新聞社の14〜16日の電話調査でも、支持率は43%と、11月調査より12ポイント低下した。
首相は9月の就任会見で、年金記録問題について、「一年金の問題というより、政府に対する信頼を失ったことにもつながる」との認識を示し、解決に全力を挙げると表明した。
その首相が最近になって、「公約違反というほどおおげさなものか」「公約でどう言っていたか、思い浮かばなかった」などと、不用意な発言を繰り返している。
安倍前内閣の支持率が、今年5月に年金問題や松岡農水相(当時)の自殺などを契機に10ポイント前後急落し、参院選での与党惨敗につながった記憶が新しいだけに、与党内には危機感が募る。
公明党の漆原良夫国会対策委員長は17日、支持率急落について記者団に「大変ショックを受けている。総理を含めた閣僚の言いぶりが、国民の目線から少しずれていたのではないか」。
この日、社会保険庁は「宙に浮いた年金記録」5千万件への対策として、公的年金の加入者や受給者に記録を確認してもらう「ねんきん特別便」の発送を始めた。
町村官房長官は17日の記者会見で特別便の発送を足がかりに、「国民の信頼を取り戻すよう全力を挙げていく」と意気込むが、首相周辺からは、傷口を広げかねないとの懸念も漏れる。
「特別便を受取った人たちの反応が心配だ。社会保険庁が電話などの問い合わせに十分に対応できるだろうか」
民主、攻勢へ一気
一方、民主党は政権の動揺につけ込み、攻勢を強める。「政治が腐りきっている」。民主党の小沢代表は16日の講演で、年金記録問題の「公約」をめぐる福田首相の発言を厳しく批判した。
山岡賢次国会対策委員長も17日、記者団に対し、「(首相の)問責決議案提出と選挙によって国民に信を問え、という機運が急激に高まってきている」と指摘した。
福田政権は長崎県佐世保市の銃乱射事件への対応でも守勢に回っている。町村官房長官は17日、首相の鳴り物入りで発足した「生活安心プロジェクト」関係閣僚会議で同事件に言及し、「ニュース性のある話だ」として議題に取り上げるよう進言。だが、首相は慎重体制を崩さず、記者団には、「散弾銃の所持について、どういう管理運用をしているか調べなければいけない」と述べるにとどめた。
これに対し、民主党は「狩猟目的の銃規制のあり方を早急に議論したい」(松井孝治「次の内閣」内閣府担当相)。銃の所持を許可した後の監視体制や販売規制の強化などを盛り込んだ銃刀法改正ができないか、議員立法の検討に入る構えだ。
薬害肝炎訴訟でも、首相は和解協議に先立ち、「政府に責任がないというわけにはいかない」と言明、早期解決に意欲を示したが、原告が求める「全員一律救済」には消極的。未提訴患者にも基金から一定金額を支払うとした新提案は16日、原告側から拒否され、合意のメドは立たない。
首相は17日も記者団にこれまでの立場を繰り返した。「基本的には大阪高裁の和解骨子(案)をベースに、その枠の中で対応していただく」
朝日新聞 2007年12月18日朝刊4面
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