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  皆さん、こんにちは。松井孝治です。
 
  本日は、先日、参議院内閣委員会にて審議され、参議院を通過しました道路
  交通法改正案についてご説明いたします。

  皆さんの日常生活に密接に関連する法律改正ですので詳し目にご説明いたします。
  長文になりますがご容赦ください。

 ■今回の改正案の要点は五点あります。

 ☆第一は、違法駐車について☆

  従来は運転者のみの責任を追及していたのに対して、
  改正案では、自動車の所有者(法律的には、ローンやリース
  の場合を想定して使用者と呼んでいます)にも
  責任が及ぶこととされています。

  ただし、運転者が反則金を払った場合は
  その限りではありません。

  最近、駐車違反の標章
  (ドアミラーなどにくっつけるオレンジ色のものですね)
  を付けられても、ペンチなどでそれを取り除き、
  出頭しない悪質なケースが増加しており、
  海外でも取り入れられているように、
  最終的には運転者のみならず所有者(使用者)に
  責任追及が行くように制度を変えるものです。

 ☆第二は、違法駐車の取締まりの事務の一部の民間委託☆

  改正案では、
  現在、全国の交通警察官が行なっている
  違法駐車(放置駐車)の確認、及び標章の取付事務を
  一定の要件を満たす法人に
  委託することができることとするものです。

 ☆第三は、暴走族対策☆

  現行では
  暴走族の集団暴走行為について、
  被迷惑者や危険に遭った人が被害を届け出ないと
  取締りの対象となりませんでしたが、

  改正後は、
  被害届けがなくても取締りの対象となります。

  典型的には
  夜中に暴走族の騒音で悩まされている方々などは
  被害届けを出すことなど事実上無理ですが、
  今後はそうしたものも
  もっと機動的に取り締まれるようになります。

 ☆第四は、自動二輪車による高速道路二人乗り解禁☆

  高速道路における二人乗りを条件付
  (年齢が20歳以上、経験が3年以上)で認めるものです。

  同時に安全確保のために警察官による危険防止装置の整備と
  罰則強化を行ないます。

 ☆第五は、トラックの運転免許区分の変更☆

  現在は普通免許で車両総重量にして
  8トンまでのトラックを運転可能ですが、
  改正案では、
  自動車の種類として
  新たに中型自動車(車両総重量が5トン〜11トン)を設け、
  中型自動車を運転しようとする者
  (20歳以上、普通免許経験2年以上)は
  中型免許を受けなければならないこととするものです。

 ◆以上五点の多くに私は賛成です。

  特にオートバイの高速道路二人乗りは、
  日本、韓国以外の主要国はすべて解禁されており、
  民主党がずっと主張していた、
  一般道よりも却って高速道路のほうが事故率も低く、
  なおかつ一人乗りに比較して
  二人乗りのほうが事故率が低いという客観的データを
  政府側が取り入れたものとして評価をしております。

  一定の年齢や経験を条件としたことも適切であると考えます。

 ◆ただ、私が問題を感じたのは、
  違法駐車の取締りの民間委託です。

  定期購読者の方々はご存知の通り、私は、一般的に、
  行政領域であっても可能かつ適切な分野については
  民間委託を行うことに前向きです。

  適切な管理のもとで、利用者のサービスが向上し、
  税金の負担が安くなり、
  また民間のビジネスチャンスが広がることは結構なことです。

  ましてや、今、全国的に治安が著しく悪化しており、
  警察官も不足している中で、都心部などでの駐車違反が
  交通渋滞を招いているケースが多く、
  本来なら、違法駐車の取り締まり事務の民間委託という発想も
  あってよいとは思うのです。

 ◆しかし、今回の改正案には、やはり難しい部分があります。
  理由は、次のとおりです。

 1.日本の法律では違法駐車は犯罪であること。

  海外に在住された方ならご存知の方もおいでかもしれませんが
  ニューヨークやロンドンでは違法駐車の取締りを
  警察官以外に委託しています。

  ただ、忘れてならないのは、これらの地域では、
  駐車違反は犯罪(刑事罰)でなく行政罰であるという点です。

  我が国では、例えば青空駐車一晩で罰金刑、前科一般なのです。

  放置駐車を刑事罰が課される犯罪の類型に置きながら
  その取締りを民間に委託することについては、
  内閣委員会の参考人質疑でも、
  法律家から厳しい批判があったほか、
  内閣法制局にも当初異論があったと聞いています。

 2.民間委託で公平、公正な取締りができるか、問題が残ること

  政府は、民間法人委託に当たっては一般競争入札にかけ、
  また民間との契約について、歩合制の導入も排除していません。
  ニューヨークなどは、委託されているのも公務員であり、
  利潤を追求する動機で、
  取締りが行われているわけではないのです。

  現状ではの警察の取締りですら、
  国民の間には不公平感があるのに、
  果たして民間委託で公正な取締りができるのか?

  例えば、通行の妨害にならないようなところでも、
  違反のとりやすいところで、
  どんどん摘発を進めるといった事態にならないかどうか、
  疑問が残ります。

 3.天下り批判について

  以上の批判に対して、
  政府は、きちんと警察当局が民間委託先を指導・監督します
  と説明されています。

  もちろんそうあってほしいのですが、
  他方では、今後民間委託先が
  警察OBの方々の天下り先になるのではないか
  という批判もあります。

  この点は、警察に寄せられたパブリックコメントでも
  最も指摘の多かった点ですし、
  委員会の参考人質疑でも複数の参考人から指摘された点です。

  私は、霞が関の高級官僚の天下りと
  地域の現場で永年真面目に活動されてきた警察官の方々の
  再就職とを同じようにとらえるべきではないと考えますが、
  それでも、国会質疑ではこの点について十分な説明が
  なされたとは思えません。

 4.何のための行革か

  そもそも、この民間委託は何のために行うのかという原点を
  見直さなければなりません。

  政府は、治安が悪化する中で警察官が足りない、
  同時に行財政改革の観点から大幅には警察官が増やせない、
  しかし違法駐車も見過ごせない、
  だから民間委託を導入すると述べています。

  しかし、私が委員会で、
  民間委託では全国で何人分の業務が合理化されるのか
  と質問したところ、
  政府側からは500人という数字が示されました。

  思わず、桁が2つほど違うのではないかと、
  耳を疑いたくなりました。

  平成15年度から平成16年度にかけて、
  全国の警察官は3150人増員になっていますし、
  我が党のマニフェストでは、
  全国の地方警察官を3万人増員、
  自民党マニフェストですら1万人増員を約束しています。

  500人程度の警察官の増員で済むのなら
  その中で十分に吸収できる数字ではないでしょうか。

  違法駐車対策できちんと警察官が街を巡回してもらえば
  他の犯罪防止にも十分役に立つはずです。

  その意味で、違法駐車を刑事罰対称に残したまま、
  あえて種々の懸念がある民間委託に踏み切ることには
  納得がいきません。

 ◆そのような視点に立って、
  参議院内閣委員会に私が提案者となって、
  今回の法案から、
  違法駐車の民間委託部分のみ削除する修正案を
  提出させて頂きました。

  野党全会派は、私の修正案に賛同頂きましたし、
  与党の中にも
  「個人的には松井さんの修正案は理解できるけれど・・・」
  とおっしゃって頂いた方々もおいででしたが、
  残念ながら私の案は否決されました。

  以前から申し上げているように、
  与党事前審査体制の下では、
  内閣提出法案は、「完成品」であり、
  国会は「通過儀礼」なのでしょうか。

  修正案を否決された以上、
  結局、オール・オア・ナッシングで
  法案全体に対して賛否を表明せざるを得ず、
  他の賛成すべき条項も含めて、
  民主党が反対の立場をとらざるを得なかったことも
  非常に残念です。

  このあたりは、今後の国会改革のひとつの
  ポイントにしていかなければなりません。
  (この点は次回メルマガで申し上げます)

 ◆ちなみに、私が委員会で提起したその他の問題は、
  以下のとおりです。

 ○今回の法改正で、運転免許の区分が変わります。
  従来からの総重量区分に
  新たに中型免許を設けようというものです。

  しかし、そもそもこの重量規制が作られた
  昭和31年から比べると、車の性能も随分良くなっています。

  本当に重量に基づく区分がいいのか、
  それとも車体の全長などの外形で区分した方がいいのか、
  そのあたりをきちんとしたデータに基づいて、
  調査をした上で免許区分を再検討すべきではないでしょうか。

  例えば同じ3t積みトラックでも、
  冷凍コンテナ装備などがついたものは
  総重量が5tを超えるので中型免許が必要になりますが、
  それよりも車体が大きなトラックでも
  総重量が軽いものは普通免許で運転できます。

  以前のようにステアリングが重く、
  ブレーキやエンジンの性能が悪いときなら車の「重さ」が、
  運転技術上の重要な要素であったこともわかるのですが、

  最近のトラック事故の大きな原因は、
  内輪差による巻き込みなど「車両感覚」に
  起因するものであることを考えても、

  そろそろ免許区分のとり方を、
  重量から車体のサイズに変更することを
  真剣に検討すべきなのです。

 ○自動二輪車の駐車違反も、
  四輪車と同様に適用対象になるのは、当然のことですが、
  一方で、
  二輪用の駐車場施設がどれだけ整備されているかというと、
  政府はその実態も把握していないのが現状です。

  そうした受け皿を用意しないで、
  放置駐車を民間委託で厳しく取り締まるということでは、
  全国の二輪車利用者には、大混乱を招くのではないでしょうか。

  四輪用の駐車場整備については、政府は法律に基づき、
  一定の整備推進策を行っていますが
  二輪車にはそうしたものはありません。

  極端なことを言えば、
  二輪車は車庫証明なしで乗れるので、
  所有者は、夜間など自宅前の
  道路においておられる場合が多いのですが、
  これなどを民間委託で取り締まった場合、
  二輪車ユーザーは文字通りお手上げ状態になってしまいます。

 ○先ほど申し上げたように、
  高速道路における自動二輪の二人乗りの解禁については
  率直に評価をしています。

  しかし、道路交通法によれば、
  各都道府県公安委員会が、独自の判断で
  二人乗り禁止区間を決められることになっております。

  折角二人乗り解禁になっても、
  例えば東名高速や名神高速、首都高速などで、
  各都道府県警察の判断で、あちこちで禁止区間を決められ、
  そのたびに一般道を走らされたのでは、
  何のためにこの解禁があるのかわからなくなります。

  この点については、
  警察庁がきちんと核都道府県警を指導するとの答弁を得ました。

 ○レッカー移動された車の処分期間が、
  これまで3ヶ月であったものが1ヶ月に短縮されます。

  つまり1ヶ月を超えると
  競売に掛けられることもありうるとのことです。
  ただ、突然の長期出張を命ぜられたとか、
  ご家族もおいででなく代理で引取りにもいけなかった、
  などややむを得ない事情の方の場合、
  弾力的に対応すべきではないかという指摘には、
  そのようなケースの場合配慮するとの答弁を得ました。

 ◆以上申し上げてまいりました、当日のやり取りの議事録や
  修正案は、以下でご覧頂くことができます。

  http://www.matsui21.com/shitsumon_index.html

  ご興味のおありの方はご覧ください。


 ■事務局便り
  日頃より松井孝治メールマガジンをご購読頂きまして、
  誠にありがとうございます。

 
 <お知らせ>
  ○ 東京と京都におけるポリシースクールの開催のお知らせ

  ☆「アカデミーヒルズポリシースクール」開催(東京)

  毎回、ご好評を頂いております六本木ヒルズ内
  アカデミーヒルズでの「ポリシースクール」ですが、
  今月は、セミオープンのシンポジウム形式で
  行なわせていただきました。

  ●日 時:2004年4月17日(土) 11時00分〜13時00分
  ●場 所:六本木アカデミーヒルズ(森タワー49F)
  ●テーマ:NPO、市民の現状と課題
      「公益」とは。「公」の役割。NPOの現状と課題。
       市民エンパワメント、シティズン・リテラシー
  ●ゲスト:上野真城子(大阪大学大学院教授)
       村尾 信尚(関西学院大学教授)
        URL=http://www.murao-n.net/

   詳しくはこちら  http://www.academyhills.com/

  ☆「京都‐統治構造研究会」の開催

  東京(六本木ヒルズ)で開催し、ご好評を頂いております
  上記、アカデミーヒルズ・ポリシースクールの
  京都版を青岳社様の皆様のご協力の下、開催いたします。
  ご都合のよろしい方は、是非お越しください。

  ●日 時: 2004年5月15日(土) 
        13時30分〜16時00分
  ●場 所: 京都テルサ 2F中会議室 
        http://www.kyoto-terrsa.or.jp/
  ●テーマ: 意思決定のメカニズム/現状と課題
  ●ゲスト: 予定しております。
    
  お問い合わせ: 京都事務所  075-213-6648 
            e-mail: info@matsui21.com
  詳しくはこちら http://www.matsui21.com/m/taiwa/04/4_10.html

<第96号: 2004.04.17発行>

         
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