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第128号 2005.12.15
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
本日も長文です。お許しください。
先週の土曜日(10日)には、
延べにして、会場の定員の倍を超える方々に
民主党シンクタンク「公共政策プラットフォーム」
(愛称:プラトン)設立記念シンポジウム
にご参加いただき誠にありがとうございました。
参加した皆さんの感想もおかげさまで概ね好評でした。
今後とも皆様のご指導やご協力をお願いしたいと思います。
近日中に議事録をアップいたします。
今日は、そのシンポジウムのメインテーマであった
コミュニティ・ソリューションを
もう一度取り上げてみたいと思います。
<子どもたちの死に報いる政治の役割>
最近子どもたちが陰湿かつ残虐な犯罪の犠牲になる事件が
あいついでいます。
犠牲となった子どもたちのご冥福を心からお祈りするとともに、
親御さんをはじめご家族の皆様、
ご友人や学校関係者の方々の
ご心痛には言葉もありません。
心からお見舞い申し上げたいと思います。
こうした問題の再発防止のためには、
全国の学校や地域での児童生徒の安全確保に向けての努力、
地域警察官の増員も含めた治安対策の強化、
特に幼い子どもたち、女性、お年寄りなどを対象とした
憎むべき犯罪の撲滅、再犯の防止
のための断固たる取り組みが必要であると考えます。
この問題については、
政党の枠を超えて可能な限り早期に対策を講ずる必要があります。
<問題の本質>
しかし、同時に私は、
こうした異常犯罪の増加、最近明るみに出た耐震偽装問題、
あるいはBSE問題をはじめとした食品安全をめぐる問題
などにはある共通項があると考えます。
個別の問題への対応はもちろん必要でありますが、
対処療法的対応だけでは問題解決は
不可能であると考えています。
その意味で、こうした問題は一部の異常者・犯罪者の問題、
一部企業における企業倫理の荒廃の問題
としてとらえるのは部分的に過ぎると思います。
これらは、戦後長く続いた、
日本の安全や安心神話の崩壊にほかならず、
この際、戦後長く続いた社会のあり方全体を
見直していくべき時期だという
警鐘が打ち鳴らされているのだ
ということに政治家は耳をそばだてなければなりません。
<政府の解決=ガバメント・ソリューション>
戦後長らく、事柄によっては明治以降の
近代化の歴史を通じて、
わが国は、産業振興、国土開発から、国民教育、社会福祉など
ほとんどすべての行政領域において、
政府が主導の国づくり、体制作りを行ってまいりました。
集権的資源配分システムとも言い換えられるこの体制は、
戦後の復興、高度成長期において
一定の成果を挙げてきたことは皆様ご承知のとおりであります。
しかし、同時にこの体制の歴史は、
都市化や核家族化の流れもあいまって、
地域や家庭が持っていた、
自立的あるいは相互扶助的な問題解決のメカニズムを、
官が代替してきた、
すなわち、
伝統的には、家族や地域社会が担ってきた役割を、
何らかの理由で、
多くの場合中央の官僚組織の仕切りのもと、
行政が担うように変化してきた歴史でありました。
最近の事例でいえば介護保険の例を思い起こしてください。
<政府の失敗=ガバメント・フェイリャー>
しかし、ここ20年来、
中央の官の問題点が目立つようになりました。
税金のムダ遣いは言うに及ばず、
補助金や交付金を地方や民間に流すに当たって、
最終的な交付対象に至るまでに
それを中間搾取、
わかりやすく申し上げればピンはねする仕組みが、
政治と官僚と業界が密接に結託する形でできあがっているのです。
結果として、
ただひたすら、国民の血税がアリバイ作りのような形で、
各種団体を通じて湯水のように使われ、
ひどいことに、それらが地域や現場の問題解決には何の貢献もせず、
場合によっては現場を苦しめ、
結局のところ利益を天下り官僚と政治家とで
山分けするような事例が頻発しています。
これが、
ガバメント・ソリューション=政府による問題解決
の失敗であります。
<市場の解決=マーケットソリューションと
市場の失敗=マーケットフェイリャー>
この10年間、こうした弊害の中で、
中央の官に任せるよりは、
民間企業の知恵や活力を問題解決に活かそう
という動きが出てまいりました。
細川内閣以来本格化した規制緩和の動きであります。
小泉さんがおっしゃる
「官から民へ」「民営化路線」は
この流れに沿ったものです。
多くの購読者の皆さんはご存知のとおり、
私は規制改革論者ですし、
閉鎖的な官の仕組みでは解決できない事柄を
市場、マーケットの力を借りて解決すること自体は
推進すべき手法だと考えます。
しかし、当然のことながら、
マーケットソリューション、
市場による問題解決にも限界があります。
公的分野に市場活力を導入するに当たっては、
きちんとした安全管理の仕組みを作り、
しかるべきチェックの枠組みを作らない限りは、
今回の耐震偽装のような問題が起こってしまうわけです。
「民に丸投げ」と言うことでは、
特に安全分野の問題は解決せず、市場の失敗が生じてしまいます。
<地域の解決=コミュニティ・ソリューション>
「政府の解決=ガバメント・ソリューション」、
「市場の解決=マーケットソリューション」は、
現代社会において便利なものではありますが、
同時に、家庭や地域の問題解決能力を奪ってきた側面もあります。
私が生まれ育った、1960年代の京都の町中では、
悪戯をすると、家の中でも親父に殴られたり、
また近所にも怖いおじさんや口やかましいおばさんがいて、
しょっちゅう注意されていたものでした。
公園とかで喧嘩して帰ったときなど、
顔も洗って身づくろいもただしているのに、
お袋に喧嘩をしたことがばれていて、
お袋ってなんでもお見通しなんだと恐れたものでした。
でも、今思い起こしてみると、
近所の町内の人は何気なく子どものことを観察して、
それを近所同士で話題にしていたのだと思います。
しかし、いつの間にか、おやじのげんこつは消え、
夕暮れ時に道端に床几を出して
縁台将棋を楽しむご隠居や職人さんも
町から消えました。
不審な人物が幼い子どもをさがして
街をうろついても
誰も気にかけない無関心が国中に蔓延しています。
「政府の解決」を徹底すべき
という考え方も一つの考え方でしょう。
あらゆる街角に監視カメラを構え、
警察官の数を100倍にすることができれば、
憎むべき犯罪を相当程度抑止できると思います。
でもゼロにはできないし、根っこが同じである限り、
必ず犯罪は潜在化するのではないでしょうか。
そもそも個人的にはそんな世の中に住みたくはありません。
同じく、小学校中学校の授業単位数を1.5倍にして、
先生の数を倍にすれば、
ひょっとしたら
学力低下に歯止めはかけられるかもしれません。
でもこれも私の趣味ではありません。
私が申し上げたいのは第三の道、
「コミュニティ・ソリューション」、
言い換えれば、「地域による解決」、
NHKの番組ではありませんが、「ご近所の底力」であります。
私の居住学区でもある
京都市立御所南小学校の取り組みは
前々号においてとりあげました。
最近NHKでも京の和菓子のシリーズ解説をなさっていた
老舗「末富」のご主人である山口富蔵さんが
小学3年の児童に和菓子作りの実習を指導されたり、
オテル・ド・ミクニの三国シェフが、
小6の子どもたちがグループごとに
相談してつくりあげたレシピに基づいて、
1時間で(!)料理を作り上げる実習指導をされたり
(うちの妻にも習わせたかった(笑))など
面白い試みを次々と実施されています。
もちろんそれぞれボランティアです。
こうした試みで子どもたちの好奇心や創造力を刺激することは
学力向上にも寄与しているようです。
同じくコミュニティ・スクールとして全国的に有名な、
三鷹市立第四小学校では学校の中にNPOの事務所があり、
地域の方々を中心に200名以上の方々が
そこに登録されているということです。
そこで、例えば、
来週、落ちこぼれやすい、分数の授業がある
となると、補助教師の募集があり、
あっという間に20名のボランティア補助教師が集まり、
プロの先生の指導の下、児童3名ないし4名に
ひとりボランティアの補助教師がつくような体制が整えられ、
落ちこぼれる率が大きく減少したと言うことです。
コミュニティ・スクールに限らず地域の学校というのは、
子どもたちを育てる場であるにとどまらず、
地域コミュニティの中での中核を担う集団なのだと思います。
10日の「プラトン」のシンポジウムで、
いみじくも、石田・犬山市長さんがおっしゃっていた、
「公立小学校というのは子どもたちのためにあるだけでなく、
実は子どもを介して大人たちのものなのだ」、
という発言は、自分の経験に照らしても誠にうなずけるものです。
多くの人々は、実は、
自らの商売とか、生活の糧としての仕事などとともに、
何かしら、人の役に立つことを求めているのではないか
と思います。
そのときに一番身近なのは、自分が住む地域の、
特に子どもたちの目の輝きを増すために役に立ちたい
という気持ちだと思います。
これからの行政分野でお金がかかるのは、
「対人社会サービス」と言われる
教育や医療、福祉の分野になります。
「プラトン」シンポジウムで、
神野東大教授や逢坂前ニセコ町長(現衆議院議員)
がおっしゃっていたように、
行政ではサービスは提供できても、
温もりや愛情を与えることは難しいのだと思います。
それを支えるのが
家族であり、地域であり、友人であるはずなのです。
一方で、今の社会で、
人のために温もりや愛情を注ぎたいという善意は
決して捨てたものではないと思っています。
しかもこれらの多くは見返りを前提としたものではありません。
世の中全体に、
「上手に生きる」、「ウマク生きる」
風潮が広がっている今こそ、
まだ人々の中に残っている善意をもっとひっぱり出して、
そうした善意によって問題を解決する仕組みが必要だと思っています。
コミュニティ・スクールだけでなく、
医療や福祉、保育などの分野で
こうした問題解決に向けた運動を
社会全体として応援することによって、
おのずから、行き過ぎた中央集権分配システムは崩れていくし、
おのずから「行政サービスを提供する人=公務員」という図式が崩れ、
国全体の財政や社会保障のあり方も変容していくと考えております。
長くなりすぎました。
この続きはまた別の機会にお届けいたします。
風邪がはやっています。寒い12月、ご自愛ください。
★イベントのご案内★
◆松井孝治国政報告会◆
日 時: 12月15日(木)18時30分から
会 場: ハートピア京都 4階 第4会議室
(烏丸丸太町下ル東側)
参加費: 無 料
今夜に迫りました。
本日は1時間余り、国政報告と質疑応答を行った後、
同ビル内で会費制懇親会を開催します。
お問合せは 京都事務所 info@matsui21.com
電話:075-213-6648 FAX:075-213-6645 まで。
◆「京都からこの国のかたちを変える会」シンポジウム◆
日 時: 2006年2月18日(土曜日)
午後4時〜6時頃まで
ゲスト: 竹中ナミさん(プロップステーション代表)
村尾信尚さん(関西学院大学教授)をお招きして、
堀場雅夫堀場製作所最高顧問(同会代表世話人)
会 場: ウェスティン都ホテル京都 (東山区三条蹴上)
お問合せは 京都事務所 info@matsui21.com
電話:075-213-6648 FAX:075-213-6645 まで。
来年のことですが、カレンダーをチェックください。
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●京都から、この国のかたちを変える。●
第128号 2005.12.15 発行 (配信数:1775部)
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