第130号  2006.1.30



  皆さんこんにちは、松井孝治です。
  今年になってから初めてのメルマガの発行です。

  いよいよ20日から通常国会が召集され、
  施政方針演説と代表質問が終了し、予算委員会が始まりました。

 ◆政府は、小さな政府を掲げた「行革国会」としたいようです。
  行革が必要なことはいうまでもありませんが、
  数を減らすことは、行革の一部分に過ぎません。
  しかも、その一部分をとっても、5年間で5%、
  1年あたり1%の国家公務員削減という
  目標自身が極めて不十分なものです。

 ◆三位一体改革で財源を大幅に移譲し、
  国の関与を減らしたというのなら、
  10年間で、
  何割かの国家公務員も地方自治体に移行させるくらいの
  大幅な計画を打ち出すのならともかく、

  官民、国・地方の役割の見直しも行わず、
  年間1%の人員削減で、
  小さな政府を標榜するのは、羊頭狗肉、
  大山鳴動なんとやらの類です。

  結局財源移譲をしても
  本質的に国の関与を減らしていない
  ということの証明のような数字です。

 ◆今の国民の最大の関心事は、
  耐震偽装、米国産牛肉輸入再停止問題に加えて、
  ライブドア事件も加わり、「偽装」「粉飾」という問題です。

  その意味で、今国会は「安全」国会であると同時に、
  「偽装究明国会」であると思います。

  そして、この偽装構造に
  象徴的に従来型の政治・行政の旧弊があらわれているのです。

 ◆国民の安全を守るのは「お上」の仕事、
  これは一般的な国民の意識です。

  でも「お上」には、
  実は十分な専門知識をもった人員が確保されていないのです。

  「官」には安全確保、ルール監視の義務がありますが、
  実は、その実効性は虚構の部分が多いということなのです。

  建築物の安全確認でもそうですし、
  証券監視でもそうだと思います。

  廃棄物や水質、土壌などの安全性のモニタリングは
  誰がどれだけ行っているのでしょうか?

 ◆安全確保という聖域は、
  「お上」の「公正」「中立」な経験がものを言うという
  「虚構」のもとに、
  民間にはたくさんの「お上」からの
  再就職組(天下り)が舞い降りて、
  しかも検査される側と検査する側の密接な関係の中で、
  形式上、「安全」が「確保」され、
  実質はまったくいい加減な運用がなされているケースが
  少なくないのではないでしょうか。

 ◆もちろんまじめに確認・検査をされている方々も
  多数おられるわけですし、
  民間だから信じられないということではなく、

  むしろ民間にこそ専門化がたくさんおられるわけですが、
  大切なことは民間に検査を委任するときのルールが
  整備されていない、

  そして、民間から専門家を登用するルートが
  整備されていないということです。

 ◆米国産牛肉輸入の問題には、
  これにグローバル化という要素が加わります。

  これだけ大量の農水産品が輸入されている中で、
  日本に限らずどこの国の政府でも一国だけで
  食品の安全性を100%チェックできる国などありません。

  米国産牛なら米国当局の、
  中国産の野菜なら中国当局の
  チェックに頼らざるを得ない部分があるのは当然です。

  逆に、日本の果物を輸出する場合などは
  海外から日本の生産者及び政府の安全確認についての
  信頼が問われることになります。

 ◆今回の問題は、
  あれだけ、日米交渉をして安全性確保を条件に
  輸入を再開した早々、
  米国の検査係官にまったくその趣旨が徹底されていなかった
  ということを意味しており、信じられないことです。

  米国政府の検査担当官(あるいは農務長官にいたるまで)
  の本音は、
  アメリカ人の食卓に上る牛肉と
  同じ基準で検査しているのだから、安全なはずで、
  カリフォルニアのアメリカ人が食べてよいものを
  東京の日本人が食べられないはずない
  という問題意識だったのではないでしょうか?

  農務長官は「これは食品安全問題ではない」と述べ、

  農務次官は、
  「BSEのリスクは交通事故のリスクより小さい」
  という趣旨の発言をしたと報じられています。

  これらの発言は、
  米国側のこの問題についての姿勢を象徴しており、
  きわめて問題だと思います。

  BSEについての日本人の問題意識と
  米国の安全意識の感覚のずれ
  といってしまえばそれまでなのですが、
  日本の食品安全委員会での専門家の議論や
  食品安全についての国民感情が、
  日米間の政府交渉で米国側に本当に伝わっていたとは思えません。

  「20ヶ月齢未満」で、
  「背骨などの危険部位除去」というのは、
  日本の専門家が科学的に安全性を確保するために
  必要と判断した条件です。

  アメリカ側が、
  それより緩い安全基準で
  アメリカ国内への牛肉の出荷を認めていたとしても、
  二国間で対日輸出の条件として合意した上で、
  これを守れない挙句、
  農務長官や農務次官が無責任な発言を繰り返す、

  そんな米国政府に、
  安全検査を「丸投げ」していること自体が
  日本政府の国民への裏切りだと思います。

  日本人は何を非科学的なことで神経質になっているんだ、
  とりあえず日本側の要求を呑んでおけば
  輸出再開できるから、それでいい、
  というような感覚が米国側にあったように思えてなりません。

  有り体に申し上げれば、
  米国側に「舐められていた」のでしょう。

 ◆小泉総理は、
  この問題は、米国政府の責任だと繰り返し答弁していますが、
  本日の衆議院予算委員会での私の友人でもある、
  松野頼久衆議院議員の質疑により、

  日本政府の重大な責任問題が明らかになりました。

  民主党の川内博史衆議院議員の昨年10月28日の
  質問主意書で下記の質問を行っています。

 ★質問文(関係部分抜粋)

  九 輸出プログラムの輸出再開前の渡米確認検査について
(1)厚生労働省と農林水産省により、米国で未実施の規制が完全
  に遵守されることを前提に、食品安全委員会において米国牛肉
  および内臓の安全性評価が行われているが、輸出再開以前に、
  対象工場における具体的な完全遵守の確認方法や、SRM除去
  率などの科学的キットを用いた調査結果、調査人員、予算、確
  認頻度などを渡米して確認すべきだと思うが、政府の見解を求
  める。また、完全遵守にはマニュアル策定や定期検査のスケジ
  ュール策定や抜き打ち検査なども必要と考えるが、それら具体
  的計画について答弁を求める。

  質問文(関係部分抜粋)終わり

 ★これに対して、政府は

  昨年11月18日の閣議決定で下記のとおり決定し、
  国会に文書で回答しています。

  閣議決定(抜粋)
  厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を
  再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入
  再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け
  牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)
  に対する現地調査を実施することが必要と考えている。具体的
  には、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出
  証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、
  SRMの除去の実施状況、月齢二十月以下の月齢証明について
  の遵守状況等について現地において確認したいと考えている。
  お尋ねの抜き打ち検査の実施については、対象が外国にある施
  設であることから困難と考えている。

  閣議決定(抜粋)終わり

 ◆実際には輸入再開前の現地調査は行われておらず、
  政府の輸入再開は
  この閣議決定と国会への回答違反であったことが
  明らかになりました。

  これは閣議決定という
  政府の最高の意思決定違反であるばかりか、
  国会に対して政府が
  文書で回答した方針を農林水産省が違反した
  ということであり、
  農林水産大臣のみならず、
  内閣の国会に対する公式の説明違反に当たります。

  明確な閣議決定、国会報告方針違反を犯した農林水産大臣の
  辞任は当然として、閣議決定の責任者は総理大臣であり、
  11月16日の日米首脳会談の結果を受けて、
  米国産牛肉の輸入再開を急がせたのは
  明らかに総理官邸ですから、
  小泉総理の政治責任が問われるべき問題だと思います。

 ◆問題は今後の対応です。

  まず第一に、
  今申し上げた政治責任をしっかりと果たしてもらうこと。

  第二に、
  安全性が確保されるまでの間、
  輸入を停止したのは当然としても、
  輸入再開に当たっては当面、米国国内に検査官を派遣し、
  日米共同検査を行うぐらいの検査体制の見直し
  を行わなければ、
  国民の安全性への信頼は回復できないと思います。

  米国政府に日本の消費者の口に入る牛肉の安全検査を
  「丸投げ」して、それが見事に裏切られた以上、
  今度は米国内の検査に日本政府がきっちりと
  関与して米国の検査を十分に信頼できるような仕組みが
  できるまでは輸入は再開すべきではないというのが
  私の意見です。

  こうした一連の動きは、時代の必然かもしれません。

 ◆一方的に「官」が与えてくれると思っていた
  「安全」はいまや急速に空洞化しているのです。

  これからの時代は、
  国民が、中央の政府であれ、地方自治体であれ、
  (あるいは外国政府や国際機関であれ、)
  政府にものごとを「丸投げ」して、依存するのではなく、
  国民自身が政府の仕事をチェックし、
  特に、自治体が提供している、教育や福祉の仕事などは、
  できるだけ、住民の皆さんがその業務に参加して、
  ものを言い続けることが大切だと思います。

  このことは、単に行政に文句をつけるということではなく、
  住民が行政サービスの受益者の立場を超えて、
  行政現場に踏み込みながら、
  サービス提供者である行政の抱える悩みを共有し、
  住民と行政が改善の提案をし続けることを意味します。

  官と民、双方が、そうした提案を行い続けるのは、
  双方にとって決して楽なことではありません。

  しかし、そうした、努力をしてはじめて、住民が納得して、
  低負担高サービスの行政が実現できると思うのです。

  こうした努力を行う場のことを、私は、
  「公(おおやけ)」と呼ぶべきであろうと思っております。

  当然のことながら、住民が行政に関与することについては、
  海外の政府や国際機関の場合、
  そう簡単なことではなく、
  中央政府、自治体政府の順に関与の可能性が高まります。

  われわれが、「国から地方へ」、
  「住民に身近な行政サービスは、
   極力身近な自治体の責任で行うようにすべきだ」
  と主張し続けているのは、
  できるだけ住民が行政に一定の責任を持って参加するような
  「公」の領域を増やしたいからなので。

 ◆今年は一部の補選以外、国政選挙が予定されていません。
  これから数ヶ月、私たちは、じっくりと
  今後の日本のあるべき社会像を議論したいと思っております。

  皆様のご意見もお待ちしています。

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 ☆ お知らせ
   京都からこの国のかたちを変える会第3回シンポジウム

   最近、子どもたちが凶悪な事件に巻き込まれたり、
   耐震偽造やBSE問題、列車事故など
   国民生活の安全・安心が脅かされています。

   しかし巨額の財政赤字を抱える中で、
   旧来型の硬直した中央・官僚主導型の政府では
   こうした問題を解決できない状況にあります。

   今こそ、中央の「官」に依存する政治・行政ではなく、
   地域の信頼の絆、「公」の精神によって
   問題を解決するような仕組みを作る必要があります。

   今回のシンポジウムでは
   「チャレンジド」(障がい者)の自立・就労支援を
   されているNPO代表の竹中ナミさんと、
   大蔵官僚を辞して、全国的にNPO支援をされている
   村尾信尚さんをゲストに迎えて、
   これからの時代の「公(おおやけ)」のあり方を
   議論したいと考えております。

   ご来場をお待ち致しております。

   日時:2月18日(土)午後4時から6時まで
   場所:ウェスティン都ホテル京都
   入場無料

   できれば出席の連絡をください。
   info@matui21.com または 075-213-6648 まで。

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  ☆ おススメ
   
   ご存知のとおり、私の趣味はレイトショーめぐり。
   リクエストにお応えして、
   年始に鑑賞した映画のお奨めをご紹介します。

  ★「ホテル・ルワンダ」

   94年、100日間で100万人が虐殺されたルワンダで
   1200人あまりの人命を救ったホテルの現地支配人の
   実話に基づく映画。民族紛争について、戦争について、
   家族について考えさせられます。

   東京周辺では渋谷のシアターN(旧ユーロスペース)と
   川崎チネチッタにて上映中。
   京都ではみなみ会館にて2月中旬から。

  ★「歓びを歌にのせて」
   どこかに痛みや傷を抱える登場人物が
   「歌」「音楽」「共同作業」を通じて癒されていく
   という感動の物語。スウェーデンでは5人に1人が観たという。

   東京周辺では渋谷文化村ル・シネマほか、
   京都では京都シネマで上映中。

  ★「博士の愛した数式」

   80分しか記憶が持たない天才数学者と
   家政婦母子の心の交流を描いた佳品。
   心があたたまります。
   小川洋子氏の小説の映画化で、やはり原作の力がすごい。

   全国封切ですから、あちこちで上映中。

  ★現在上映してないと思いますが年末に観た
   「狼少女」はすばらしい映画でした。

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  ●京都から、この国のかたちを変える。●
   第130号  2006.1.30 発行  (配信数:1665部)

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