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第140号 2006.6.5
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
本日は二つの話題を提供したいと思います。
1.「国のかたち」
一つ目は川勝平太教授と語った「国のかたち」です。
6月2日の第12回政策対話には
中学・高校の先輩の川勝平太教授をゲストとしてお招きし、
貴重なご講演をいただくとともに
対談のようなかたちで意見交換をさせていただきました。
(会場一杯のご参加ありがとうございました)
先生のお話に、一部私の意見を加えて、
2日の議論を要約しますと
以下のようなことだったのではないかと思います。
○欧米にキャッチアップするときに都合のよかった
中央集権(東京への国力の集中)の日本の統治構造を、
地域がその個性を十分に発揮できる
地域主権国家に思い切って変えていく。
○その各地域は、欧米モデルでもなく、
旧来の東洋モデルでもない、
それら双方を吸収して、日本が世界に先駆けるような、
自然や環境と人間経済の調和的発展を具体化したような
新文明を切り拓かなければならない。
○その際、中央政府は外交、防衛、通貨など
国家として必要不可欠な機能をしっかりになう。
○日本をその文化的景観や特性に着目して、
北海道・東北を「森の国」、
関東を「野の国」、
中部を「山の国」、
関西以西を「海の国」
に捉えなおしてみてはどうか。
(この点は私個人は、面白いとは思いますが、
まだこの4地域分類がよいのかどうか確信はありません)
○4つの「国」それぞれが主要先進国なみの経済規模をもっているので、
国土交通、農林水産、経済産業、文部省など、
国の仕事のうち3分の2くらいの仕事は
思い切ってそれらの地域に分権していく。
○「森の国」、「野の国」、「山の国」、「海の国」には
大幅な課税権を与え、
中央の財源は、これらの地域政府が中央に上納し、
中央のスポンサーになる形をとる。
○これまでの東洋文明の日本化を行ってきた京都、
西洋文明の日本化を行ってきた東京、を超えて、
それらも取り入れた、新たな文明のモデルを
これからの日本は作り上げなければいけない。
○そのシンボルが「国の顔」である新首都の建設であり、
人口10万から30万人規模の小さな首都を、
例えば、「野の国」から「森の国」への入り口である那須に築く。
そして、鎮守の森を背景に社(やしろ)を建てるがごとく、
全国47都道府県産出の木材を集めて
和風の国会議事堂を建設するとともに、
首都全体を、日本の文化的景観のシンボル
となるような都市として建設する。
当然ながらコンクリートで覆うような
20世紀的都市建設の道はとらない。
○外交関係は、単に米国や中国といった
大国との関係のみならず、
中央アジアから中東、ヨーロッパにかけてのユーラシア外交、
太平洋諸国や東南アジアとの関係を含め、
さまざまな中小規模の国々との関係も重視し、
さらには例えば同じ中国でも、北京政府との関係だけでなく
個別地域と戦略的な関係を築き上げていくなど、
地域間連携を深めていく。
○外交の主体は中央政府のみならず、
例えば、東南アジアや太平洋諸国との経済連携は、
「海の国」が積極的に進める
(今の国が担う経済官庁の権限が
相当程度分権されているので十分交渉可能)など、
日本全体として、
より複眼的かつ戦略的な外交を行う体制を築き上げる。
といったところです。
しばらく時間はかかりますが、
2日の政策対話のやり取りは
いずれホームページにもアップしたいと思っております。
2.「ムシ」と「カビ」
もうひとつは社会保険庁と防衛施設庁の問題です。
先日、プラトンのお昼のBBLセミナーで、
郷原信郎氏(桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長)
のお話を伺いました。
長崎地検次席検事、東京地検検事をつとめられた
わが国のコンプライアンスの第一人者で、
私が個人的にも尊敬している人物です。
郷原先生のお話の中でもっとも印象的な言葉は、
米国における不正は「ムシ」型、
すなわち組織に害虫が紛れ込んで悪さをするので、
それに対して殺虫剤をまく必要があるのに対し、
日本の場合は、「カビ」型なので、
単に殺虫剤をまいてもカビは消えず、
原因としての湿度や温度のような、
社会的な背景、構造問題を変えなければ、
改革は成功しないというお話でした。
5月29日の参議院決算委員会で、
社会保険庁の保険料納付率不正問題に関して、
私は、川崎厚生労働大臣に、
何度も内部調査を繰り返しているのに、
調査のたびに隠されていた新事実が明らかになる
という隠蔽体質を変えなければ
国民の信頼は回復できない
ということを指摘しました。
asahi.com上での紹介記事
質問当日(29日)の夜にも発表される調査をさらに精査し、
膿みは出し切るべきではないですか、
「この調査で社会保険庁の報告に嘘があったら
自分(川崎大臣)の首が飛ぶんだという大臣の決意を」
と迫ったところ、
大臣の答弁は
「自分(大臣)が政治生命をかけるといえば
正しく報告してくれる人たちでない」
要は、調査結果には
とても自分の首はかけられないというものでした。
大臣に直接真実の報告をしろといわれても
うその報告をする社会保険庁の体質、
また、それについて、
公然と部下の虚偽についての政治責任を否定される大臣、
これでは、国民の年金制度への信頼は回復されません。
この問題は、
単に、不正な手続きを行った個人の問題ではなく、
地方事務官制度という複雑な法的身分で働いてきた
社会保険庁の職員の身分の問題、
さらには厚生省キャリアと、社会保険庁本庁職員、
各県の社会保険事務局や社会保険事務所採用の職員
の間に横たわる相互不信の問題があるように思います。
その点や、
年金保険料についての職員の意識の問題、
特別会計という財務省・会計検査院などのチェックの行き届かない
「自分達の「財布」の中の金である」
という内輪の意識があったのではないかと思います。
これらの点を含めて小手先ではない抜本的な改革が求められます。
政府は、社会保険庁を「ねんきん機構」に改組する
という現在の中途半端な法案をいったん廃案にし、
われわれの歳入庁構想
(国税組織に社保庁も統合するというもの)
も含めて再検討すべきではないかと思います。
●もうひとつ、5月29日の東京新聞夕刊に
興味深い記事がありました。
東京新聞記事によると、
組織的に公共工事の違法な受注配分を続けてきた
防衛施設庁の官製談合事件の三被告に対し、
同庁の有力OBが中心となって
「事件は組織的に行われた。
三人だけにその責任を帰していいのか」
と、裁判所に嘆願書を提出することになったというものです。
嘆願書の発起人は
「裁きを受けるのは当然だが、検察が認定している通り、
今回の事件は組織的な犯罪で、
しわ寄せが三人にいってしまっただけだ。
何とか力になりたいと思った」
と述べているそうです。
嘆願書の文面には
「談合は非難されるべき行為であり、
相次いで摘発されてきた。
それにもかかわらず繰り返されるのは、
さまざまな要因が絡み合い重なり合った、
いわば日本の社会に根ざしたものだ」
「事件は三人だけの責任ではなく、
施設庁出身者、工事に携わった者など
関係者すべてが真剣に受け止め、
反省すべきものだ」
という記述があります。
これこそが、まさに郷原教授がおっしゃったところの
カビそのものです。
そして、その原因を断ち切るために必要なのが、
早期退職勧奨慣行や
組織的な再就職斡旋(天下り)の見直しなのです。
次回はゲートキーパー制度について触れてみたいと思います。
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●京都から、この国のかたちを変える。●
第140号 2006.6.5 発行 (配信数:1694部)
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