第147号 2006.11.07
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
◆本日は、格差社会をテーマにとりあげてみたいと思います。
国会で、安倍総理は、確かにジニ係数
(注:所得配分の不平等度を示す指数。大きくなるほど不平等度が高い)
は上昇しているが、世帯の小規模化なども背景にあり、
一概に格差が拡大しているとは申し上げられないという趣旨の
答弁をされていて、
政府は格差の拡大を必ずしも認める立場にはないようです。
でも、現実には多くの世論調査が示しているように、
国民は格差の拡大を実感しています
◆本日は、私が統括担当理事をつとめます
公共政策プラットフォーム、プラトン
が現在まとめつつあるデータから、
格差社会をあらわすデータをいくつかご紹介したいと思います。
☆まず第一に、貯蓄のない世帯の拡大です。
日銀の調査によりますと、平成17年には貯蓄なし世帯は、
全世帯の23.8%と、調査開始以来最高の水準に達し、
平成18年も22.9%と引き続き極めて高水準に高止まっております。
さらにご関心のおありの方には
下記のグラフをご覧いただきたいのですが、
高度成長期以降、バブル崩壊まで、
日本の貯蓄なし世帯の比率は大体3%から6%までの範囲内で
行ったりきたりしていました。
おおむね9割5分の世帯は多かれ少なかれ貯蓄を持っていたのが
バブル以前の日本経済でした。
それがバブル崩壊以降10%台に上昇し、
さらに小泉政権ができた平成13年に一気に16%台に上昇
15年には20%台に突入しているのです。
▼図1▼ 貯蓄なし世帯の推移
プラトン政策情報館
出所: 金融広報中央委員会(日本銀行情報サービス局内)
『家計の金融資産に関する世論調査』各年版より作成
もう少し詳しく、平成13年から平成17年の
4年間の貯蓄なし世帯の比率の変化を見ますと、
年間所得200万円未満の世帯では
平成13年には貯蓄なし世帯が25.4%と4世帯に1世帯であったのが、
平成17年には55.6%と過半数に及び、
実にこの4年間に30%ポイントの貯蓄なし世帯が増加していることが
見て取れます。
年間所得200万円以上300万円未満の世帯では、
21.2%から40.5%へとほぼ倍増しています。
世間では「いざなぎ越え」の好景気といわれています。
いざなぎ景気は、皆さん、ご存知のように、
昭和40年から5年近く(正確には57ヶ月)続いた、
わが国における戦後最長の好景気です。
政府の主張によれば、現在の景気は2002年から回復し、
ついに、いざなぎ景気が継続した期間に並んだというのです。
この主張の裏づけとして政府は、
企業収益、設備投資や個人消費の増加などを上げています。
確かに、個人消費の指標である消費総合指数は、
このところ鈍化しているものの、2000年を100とすると、
2002年2月の95.2から2006年8月には109.3にまで、
ほぼ単調に増加しており、また企業収益の回復を受けて、
民間企業が設備投資を増やしているのも、
設備投資総合指数の変化に 現れております。
しかし一方で、国税庁が毎年行っている「民間給与実態調査」では、
民間企業に勤めるサラリーマンの給与は、2005年1年間で、
前年より2万円少ない437万円であり、8年連続でダウンとなっております。
従って実際には、所得が伸びない中、この数年間で、
低所得者層を中心に、貯蓄の吐き出しで生活をしのいできた現実が
浮き彫りになっているわけです。
興味深いのは、貯蓄なし世帯は、300万円未満の層だけでなく、
1000万円超の所得世帯にいたるまで生じていることであり、
多くの勤労者世帯が、医療福祉負担や教育負担を含めて、
けっして家計のやりくりが楽になっていない実態を反映する
データとして興味深いものです。
詳細なデータは下記をご覧ください。
▼図2▼ 階層別に見た貯蓄なし世帯
プラトン政策情報館
出所: 金融広報中央委員会(日本銀行情報サービス局内)
『家計の金融資産に関する世論調査』各年版より作成
ここ数年の勤労者所得の減少にもかかわらず、
税負担や医療費、教育費の負担のあおりを受けて、
貯蓄の取り崩しによってなんとか生活水準を維持している姿が
如実に見て取れるのではないでしょうか。
貯蓄がゼロになった世帯の多くにとって、
一般の金融機関の融資を受けることは困難です。
とすれば、その先に待ち受けているのは、
消費者金融しかありません。
いざなぎ越えの景気回復の中で、なぜ消費者金融問題が
これほど大きな社会問題になっているのか、
その背景には所得格差と、貯蓄なし世帯の急増が存在するのです。
☆二つ目は、有効求人倍率、すなわち、求職者一人に対して、
どれだけの求人があるかの統計数字です。数字が大きければ
人手不足、すくなければ人手が余っているという状況です。
ここでも地域格差が目立っています。
例えば今年9月のデータでは、東京品川管区のハローワークの
有効求人倍率は4.70倍。
それに対して、例えば私の地元の一部である京都府の
京田辺管内では0.41倍にすぎません。
高校新卒者の有効求人倍率で見ますと、
東京都は4.41倍と一人の高卒の新人に
4社以上の求人があるのに対して、
青森県では0.17倍、沖縄県では0.21倍、高知県では0.24倍と、
高校卒業の新人でも5人に一人ないし、4人に一人しか
県内では職を得られないという状況になっています。
▼図3▼ 高校新卒者の都道府県別求人・求職状況
注:
は求人倍率が
2倍を超えている都府県、
は求人倍率が0.5を下回っている道県、
は求人倍率が0.5以上1未満の県。
プラトン政策情報館
出所: 厚生労働省職業安定局若年者雇用対策室
「平成
18年度高校・中学
新卒者の求人・
求職状況(平成
18年7月末現在)について」
☆三つ目は、貧困率の国際比較です。
貧困率とは、全国民を可処分所得の高い順に並べたときに、
中央に位置した人の可処分所得額の半分に満たない人の数の
割合ですが、すでにわが国は、貧困率15.3%と、
OECD平均の1.5倍であり、メキシコ、アメリカ、トルコ、
アイルランドにつぐ、ワースト5になっております。
▼図4▼ OECD諸国の貧困率比較
プラトン政策情報館
出所:
OECDレポートより作成
日本人がこれまで持っていた「1億総中流」という国民意識は、
日本には大金持ちも少ないが、
逆に、欧米先進国と比べて、貧しい人の数も少ないという意識であり、
国民の間に、ある種の平等感や、
時には連帯感を生み出す土台になっておりました。
この国民意識が大きく崩壊し始めたのが、いまの時代であります。
以上、今回は、従来のメールマガジンと、一味変えて、
格差社会というものをできるかぎりデータであらわしてみました。
皆さまのご感想などをいただきたく存じます。
◆◆ お知らせ ◆◆
11月度 国政報告会
名称 松井孝治と座談会
日時 11月23日(木・祝日) 13時から
会場
京都商工会議所ビル
3F第3会議室
※地下鉄烏丸線「丸太町」駅6番出口直結
今回は13時から国政報告会、
その後14時半頃から会場付近にあり、
翌24日開館予定の京都国際マンガミュージアム
の見学を行う予定です。
なお 今回、懇親会は行わない予定です。ご了承下さい。
皆様のご参加をお待ちしております。
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●京都から、この国のかたちを変える。●
第147号 2006.11.07 発行 (配信数:1720部)
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