 |
|
第148号 2006.11.22
「粋」と「意気」
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
メールマガジンをもう少しまめに出そうと決意したのですが、
最近、地元・舞鶴で市会議員選挙があり、
その応援にたびたび出かけたり、
国会質問の準備に意外と時間を食われたりして、余裕がなく、
また、インターバルがあいてしまいました。
先日の内閣委員会では、風営法の規制強化や、
青少年が携帯電話から出会い系サイトにつながり
犯罪に巻き込まれる事例を防止するためのフィルタリング規制など、
ちょっと、私の普段の国会質問のイメージと違うものも
扱っておりますので、
ご関心の方は、議事録をお読みください。
また事務局便りでご連絡させていただきましたように、
関係者のご配慮のもと、12月4日月曜日のお昼前後だと思いますが、
参議院決算委員会で、半年振りにテレビ中継入りで
安倍総理以下各大臣に質問させていただく機会をいただきました。
この点はまた別途メールマガジンでも紹介させていただきます。
堅い話はそちらの方でということで、
本日は、逆に少し柔らかめの話題をお届けします。
★「粋」な店
私の趣味のひとつは、下町居酒屋巡りです。
そのことをプロフィールなどでお読みになられて、
どんなお店が好きなんですか、というご質問を時折お受けします。
私の答えは、ひとこと、
「粋」な店、
心意気のあるお店ということでしょうか。
このところずいぶんご無沙汰しているのですが、
例えば、東京の下町、南千住とか立石とかにある
庶民的なお店に好みのお店が多いです。
全く取り澄ました印象はなく、サービスは簡素できびきび。
お客さんも庶民的で、ここちよいざわめきがあるお店。
お店のご主人や女将さん、お運びさんなどの対応も大切ですが、
お店というのは半分ぐらい、
どういうお客さんがついているのかで決まる面があります。
そしてそのお客さんの質を決めるのが
お店のポリシーとか心意気だと思うわけです。
★コリドー街「クール」
居酒屋ではありませんが、2年ほど前に閉店した、
銀座コリドー街に「クール」というバーがありました。
私は自分の人生で数回しか言っていないのですが、
それこそ「粋」なお店でした。
役人時代のことになりますが、
最初に「クール」に行ったときのお話です。
カウンターで飲んでいたら
(私がおそらくその晩、その瞬間のお客の中で最年少)
常連と思しき隣のお客が話しかけてくれて、
その方とお話ししながら楽しく飲んで、
しばらくしてその人(名前も職業もわかりません)が
「お勘定」と言って支払いを済ませて帰りました。
少しばかりして、私がお勘定を頼むと、
「もう済んでます、さっきのお隣のご主人が払って帰られました」、
とのこと。
びっくりしましたが、ともかくありがたく、帰りました。
でもお店の雰囲気もよく、お酒もおいしいのに、
「ただ酒」を飲んでしまったことに、多少気が済まなくて、
翌日の晩、少し遅い時間でしたが、ともかくお店に行って、
同じようにカウンターで飲んでいました。
そうしたら、やはり、隣の常連さんとおぼしき初老のおやじさん
(前日とは別人)が話しかけてきて、全く同じような展開で、
結局その方がどこのどなたかわからないうちに
全く前日と同じようにご馳走になってしまっておりました。
おごってやるという恩着せは一切なし、
互いに一期一会で、無論名刺交換もしていないのに、
さりげなく勘定を済ませ、いつの間にか消えている、
そこまで全く同じでした。
私が、はじめてお勘定を支払えたのは、
意地になって行った三日目の晩でした。
★常連の心得
若いの(といっても30台後半)に、酒の飲み方を教え、
そっとご馳走する、このさりげなさ。
おそらくその常連さんたちも、
昔、先輩から同じようにご馳走してもらいながら
酒の飲み方を教わったのではないか、
その恩返しで、その方々は、ちょうど10年前の私ぐらいの「小僧」に、
酒の飲み方を教えてくれているような、
そんな雰囲気が、クールにはありました。
決して豪華ではないけれど、使い込まれて磨き上げられた内装。
何飲んでもほとんど同一のワンショットの料金。
でもだからといって原価率の高い酒を飲むなんて野暮は誰もしない。
何よりも、粋な常連の粋な振る舞い。
それこそが「クール」の最大の財産であったような気がします。
★下北沢「小笹寿し」
私が就職してからずっと月に一回は通い続け、
それこそ寿司の食べ方を一から教えていただいた、
下北沢の「小笹寿し」の親方、岡田周三さんは、
2年余り前に亡くなってしまいましたが、
それこそ、頑固一徹、「雷親爺」そのものでした。
いくらおいしいといっても同じものばかり頼むことは許さない、
行儀の悪い、あるいは野暮な食べ方
(うまいからといってトロとかイクラとか雲丹とかばかり頼むような食べ方)や、
半端な常連気取りで他のお客に
不愉快な思いをさせるようなお客にはめっぽう厳しい
(場合によっては、文字通り店からつまみ出されていたお客さんもいました)
親方は、本当に江戸っ子らしい粋な心配りと心意気の持ち主でした。
その親父さん(岡田周三さん)には、
折角店にきたお客には、できるだけ安い値段で、
できるだけ旨いものをたくさん食べさせたいという思い、
その場にいるお客さん全員が気持ちよく食べて
満足して帰ってほしいという強い思い、
があったように思います。
(注)
岡田さんのお話は、山口瞳さんの「行きつけの店」(新潮文庫刊)
に詳しく載っています。
岡田さんの人柄がにじみ出たよい話で、
特に山口さんのお父上のお通夜のエピソードなど
いつ読んでも泣けてしまいます。
★白金「金竜山」
これも十数年、東京で焼肉屋さんといえば、
ここと決めている、白金の「金竜山」。
口は悪いけど、ホントはすごく優しいおかみさんが名物です。
通い始めた最初の頃には、
「あんたみたいな安月給、上カルビなんて10年早いわよ」、と言われ、
中カルビまでしか注文させてもらえませんでした。
さすがに、最近、上カルビ、上ロースの許可が出ましたが、
それでも、最後の締めに一人一切れにしときなさい、
なんて、ご指導をいただいています。
これも、焼肉で一人数千円以上払うなんておかしいわよ、
おいしいものを安く、楽しく食べて帰んなさいよ、
という、お店のポリシーがあるような気がします。
ちなみに私のプロフィールの中で、
今から12年余り前に、私が役所を辞めようと思ったとき、
先輩に「ばっかもん」と一喝され、官邸出向を告げられたのが、
他ならぬ、白金・金竜山での話です。
★「粋」を支える心「意気」
それぞれが、私の感じる「粋」なお店であり、
「意気」を感じるお店です。
こうしたお店には、うまいとか、料理の割りに安い
というのは当然なのですが、それ以外にいくつかの共通点があります。
☆店が儲かればよいという考え方はとらない。
お客にはできるだけ安く満足して帰ってもらうことを旨としている。
そのため時に少々のお節介を焼く。
☆その場にいるお客が、それぞれに食事やお酒を楽しむことを優先し、
お客個人の勝手な振る舞いには毅然と対応する。
☆でもそれ以外のことは、大抵ほうっておいてくれるし、
変な「お任せ」メニューは原則としてなく、
簡素でてきぱきした客あしらいに徹する。
☆常連と一見に差別を設けない。
☆お客同士にもなんとなく、その場のほかのお客と楽しくやろう
という雰囲気がかもし出されている。
(こういう店では常連が、一見をじろりと見たり、
差別してかかったりということが極めて少ない。
例えば小笹では、そういう雰囲気をかもし出す
中途半端な常連気取りをするようなお客が
一番ご主人の「指導」を受けていました。)
お店の話をいたしましたが、
私は、この「粋」とそれを支える、主人やおかみさんの心意気は
人間全般に通じると思っています。
そして同時に「街」の気風や、お国柄、
ナショナル・アイデンティティにも通じるのではないかと思います。
★求める「国家像」は「人間像」
私は、日本が「品格ある国家」であってほしいと思います。
「徳のある国」と言い換えてもよいと思います。
そうした姿を「美しい」と評するのなら、安倍総理がおっしゃろうと、
「美しい国」という言葉をあえて否定する必要はありません。
私が尊敬する天谷直弘氏は、
まさに、20年余り前に美しい国、品格ある国家
という国家像を示されています。
でも私にとっての品格ある国家とは、
決して「聖人君子」の集まりのような国ではありません。
今日申し上げたような、「粋な」店、「粋な」客、
そしてそれを支える暖かくも気風のよい心意気のある人々。
そうした人々の関係の上に成り立つ国、
それが、私が考える日本の国家像に近いことは間違いがありません。
特に、今は亡き岡田周三さんの厳しい仕事ぶり、
破顔一笑、そして温かみを思い浮かべながら、
私が大好きな人間像を書き連ねてみます。
長いものに巻かれない、強いものにおもねない。
媚びず、逃げず、優しく、そして、おもしろおかしく、粋な人
人間に対する愛情に裏打ちされた「理」と「知」
天谷さんの言うところのノブレス・オブリージ、
責任に裏打ちされた志や気概
弱いものへのいたわり、強きものへの「諫」
個人と個人が肩を並べて、他者の生き方を尊重しながら、
しかし隣人に無関心ではなく、ある意味おせっかいで絆で結ばれた社会
そういう品格や風格、「粋」「意気」を大切にしたいとしみじみ思います。
==========================================================
●京都から、この国のかたちを変える。●
第148号 2006.11.22 発行 (配信数:1722部)
●松井こうじ後援会事務所
〒604-8141 京都市中京区蛸薬師通高倉西入
泉正寺町334 日昇ビル5階
TEL:075-213-6648 FAX:075-213-6645
【松井こうじオンライン】 http://www.matsui21.com
[ご意見、ご感想は…] info@matsui21.com
●転載を歓迎します。皆様の周囲で是非お広めください。
その際、宜しければメールにてご連絡ください。
Copyright(C)2001 Koji Matsui All rights reserved
|
|
|
 |