第151号  2006.12.20


  皆さん、こんにちは。
  松井孝治です。

 ★臨時国会閉幕

  昨日、臨時国会が閉会いたしました。

  教育基本法改正、防衛庁の省昇格法案の成立など
  重要法案が議論されるとともに、
  政府与党内では、道路特定財源の一般財源化が議論された
  国会会期でした。

  同時に タウンミーティングの問題に代表されるような
  世論操作、また、昨年の郵政解散から1年を経ての
  造反組大量復党など 安倍総理の政権運営が問われた
  国会だったと思います。


 ★お金の値打ち

  本日からは 19年度予算の財務省原案の提示、
  復活折衝などが始まります。

  また 今般の道路特定財源の決着は、私から見れば、
  いかにも無原則な妥協としか思えません。

  これらの問題にも関連して、
  本日は お金の値打ちのお話をしたいと思います。

 ★障害者自立支援法のもとでの応益負担

  障害者自立支援法という法律の下で、
  障がい者の方々に応益負担が求められて 半年が過ぎました。

  今まで、作業所で 毎月20日程度朝から夕方まで働いて、
  あるいは 木工品などの小物を作ったりしながら、
  月に数千円程度の作業賃を もらっておられた障がい者の方々は、
  新しい法律の下で、作業所での給食代や、各種光熱費・人件費の
  自己負担分などで 収入どころか、逆に 月額2万円程度の負担
  をしなければ、働かせてもらえなくなっています。

  また、発達に課題のある子ども達が 幼稚園や保育園に通いながら、
  専門家の療育を受ける施設などに通う場合も、
  新たに自己負担が導入されています。

  さらにお気の毒なのは、こうしたお子さんをお持ちのご家庭は
  月々幼稚園・保育園への支払いも必要であり、
  療育園に通園している間も、幼稚園・保育園の授業料は
  免除にならず、二重の負担を余儀なくされていることです。

  では、こうした、「自立支援法」の下での 
  自己負担・応益負担の導入で、
  一体いくらの税金が節約できるのかと申せば、
  年間250億円程度なのです。

  250億円というお金は もちろん大きな金額ではありますが、
  それがどの程度の金額なのか、一般にはわかりにくいと思います。


 ★応益負担は 第二東名高速1キロ半 分?

  わかりやすい事例として、例えば、
  各種の高速道路の建設費と比較してみます。

  今年2月の 国土開発幹線自動車道建設会議
  (国幹会議、国土交通大臣の諮問機関)は
  未開通19路線、49区間、合計1276kmの整備を決定していますが、
  その1km当たりの整備単価を概算してみます。

   北海道縦貫道              29.2億円/km
   北海道横断道根室線         33.3億円/km
   日本海沿岸東北道          35.2億円/km
   東北中央道               38.8億円/km
   常磐道                  27.3億円/km
   東関東道水戸線           284.8億円/km
   東関東道館山線            51.0億円/km
   北関東道                 49.5億円/km
   東海北陸道               67.3億円/km
   第2東名(第2東海道)        176.3億円/km
   中部横断道               69.6億円/km
   近畿道紀勢線             38.2億円/km
   第2名神(近畿道名古屋神戸線) 157.3億円/km
   近畿道名古屋大阪線        228.6億円/km
   近畿道敦賀線             55.5億円/km
   中国横断道姫路鳥取線       49.8億円/km
   山陰道                 36.4億円/km
   四国横断道              113.7億円/km
   東九州道                37.0億円/km

  道路公団民営化の際に、建設工事の見直しを行った結果、
  単価を圧縮した後の数字でこれですから、相当なものですね。

  郡部などで、整備単価が安い道路でも、
  最低1km当たり30億円程度はかかっています。

  第二東名にいたっては、1kmの道路を整備するのに
  なんと176億円もかかる計算になります。

  第二東名を2km短縮すれば、障害者自立支援法で、
  障がい者の方々に負担を求めている 応益負担を撤回して
  おつりが来る計算になります。

 ★京都の事例

  京都の読者の皆さまを想定して、もう少し、目に見える、
  わかりやすい事例を挙げましょう。

  <京都国際マンガミュージアム>

  開館して三週間で すでに1万3千人余りの方々が訪れ、
  京都・洛中の 新たな文化発信拠点とも言われている
  京都国際マンガミュージアム(館長:養老孟先生)は、
  地元の町内会が1千万円を寄付され、京都市が1億円を拠出し、
  国からの補助も受けて 京都精華大学が
  京都市との共同事業として 設立運営されているものです。

  以前のメルマガにも書きましたように、
  廃校となった、元・龍池小学校の建物をそのまま改装した、
  素晴らしく美しい内装と外観、そしてわが国最大規模の
  マンガのコレクションを拝見すると、
  京都人としての誇りを感じないわけにはまいりません。


  <木屋町御池の噴水>
  もうひとつ 御池通りで目立つモニュメントといえば、
  マンガミュージアムから1kmも離れていない御池・木屋町、
  京都ホテルオークラの南側、
  御池通りの真ん中に設置された噴水があります。

  夜になると 何ともいえない青い光が点灯するあの噴水です。

  フランスの有名なデザイナーの方の設計だそうで、
  この噴水の設置費用は2億6千万円。
  年間維持費が清掃費用・電気代などで約600万円、とのことです。

  この噴水を見て、御池通りの美観に花を添える素晴らしいものだ
  と思う方もおいでなら、渋滞時など交通の邪魔だ、
  あの青い光は 鴨川や高瀬川界隈の美観とマッチしない
  という批判を伺うことも少なくありません。

  両者の比較をしての感想は、 
  読者お一人おひとりによって異なるのかもしれません。

  米国人がよくいうように、
  それはリンゴとオレンジを比較するように意味がない、
  というご指摘もあるかもしれません。

  しかし 本当にそうなのでしょうか?

  確かに、個人の嗜好の問題であるならば
  比較はナンセンスかもしれませんが、
  ことは公金の使い途の問題です。

 ★「あれもこれも」から「あれかこれか」へ

  政治や行政は、国・地方ともに
  巨額の財政赤字が累積している中にあって、
  「あれもこれも」ではなくて「あれかこれか」の
  選択をすることが求められています。

  教育と公共事業、福祉とODA、というように、
  異なる行政領域の支出の比較をして、
  今の日本や地域のために 何が必要なのか、
  を考えるのが 政治家や官僚の仕事だと思うのです。

  でも 現実には、各省庁から見れば、
  自分の省庁(場合によっては自分の所属する局や課)の
  予算を 他の省庁(や局や課)に差し出すくらいなら、
  無駄な事業であっても 使い切ってしまいたい、
  というのが 役所の本音です。

  自分の省庁の予算を 他省庁に譲るのは
  一家伝来の敷地を お隣さんに差し上げるような 
  感覚なのです。

 ★「離れ」で「すきやき」?

  特に そうした観点から問題になるのは、特別会計です。

  各省庁が 特別会計の存続にこだわるのは、
  特別会計というのは、財務省のチェックが及びにくく、
  各省庁が 好きに使える省庁の「財布」であり、
  大幅の剰余金や 不要資金が出ても 
  それを翌年度以降に繰り越しやすい、
  役所側から見ると 極めて使い勝手のよい会計であるからです。

  塩川元財務相が、
  「母屋=一般会計」で お粥 をすすっているときに、
  「離れ=各省庁が所管する特別会計」で すき焼き を食べている
  と評されたのは、まさに「言い得て妙」、です。

  でも そこまでわかっているなら なぜそれらを原則廃止して、
  一般会計に統合しないのか、皆さん疑問に思われるでしょう。

  それは 各省庁やその背景にある族議員の
  激しい抵抗があるからなのです。

 ★ここも縦割りの弊害

  道路特定財源などがそうですが、
  目的税で徴収し、特別会計に繰り入れられているものを
  別目的の事業の財源に使おうと思っても、
  法律で使途が決まっていて、
  別用途には使えないものも多いのです。

  また、同時に、
  そうした法律の縛りはない 一般会計などの予算などでも、
  各省庁から見れば 自分の省の予算は
  自分の「領地」という意識が強く、その配分比率の見直しは、
  官僚同士の折衝では 極めて困難です。

  そこで、政治がそこに立ち入って見直しの議論を行う、
  そこまではよかったと思います。

  しかし、結局のところ、首相が異例の指示をしたものの、
  道路族議員の反対攻勢にあって、腰砕けとなり、
  本則と暫定税率の区分のあり方も あいまいなまま、
  必要な道路はきちんと作る、
  そして 余った部分だけを一般財源化するという
  玉虫色の決着となりました。

  まさに 政治が 道路建設を必要と判断する限り道路は作られ、
  そして 道路特定財源5.3兆円のうち、1800億円だけが
  申し訳程度に 一般財源化される という決着となったわけです。
  
  道路特定財源はもちろん、省庁のひも付き補助金など、
  国(各省庁)が地方の財源を握っている限り
  例えば、
  京都市が、仮に、もっと文教予算や福祉予算を増加させたい、
  公共事業関係費を福祉に振り向けたいと思っても、
  現実には、
  たとえ京都市が住民のニーズを把握していたとしても
  自由に財源の再配分を行うことは出来ません。

  本日申し上げた、
   ○障害者自立支援法と 道路整備のお金の値打ちの大きな格差、
   ○マンガミュージアムと 御池通りの噴水のギャップ、

  分野によって、同じ金額の予算の重みが一桁、
  いや二桁も三桁も異なる、日本の財政。

  こうした中央集権の構造を なんとしても根っこから
  見直していかなければ、巨額の財政赤字の中で、
  未来の世代に活力ある日本を継承することは 困難です。

 ★「コンクリート中心」から「人間中心」へ、
  さらに「自然や地球との共存」へ

  私は、国のお金の使い道を、
  「コンクリート中心」から「人間中心」へと
  大きく舵を切っていくことが 必要だと思っています。
  
  無論 公共事業にも必要なものも たくさんあります。
  しかし「作ることが目的」の公共事業ではなく、
  生活の安全など人間本位の公共事業、
  さらに申し上げれば、
  人間が自然や地球と共存することを助ける公共事業、
  に大きくシフトしなければならない と思っています。

  未来の世代のためには、
  税金の無駄遣いを徹底的に削ることにより、
  より多くの財源を 教育や福祉に振り向けていく工夫も 
  必要です。

  そのためには、霞が関の机の上で、
  地域の実情もわからない「遠い政府」が、
  圧力団体や族議員、さらには天下りOBの訴えに耳を傾けて、
  省益確保の観点で、役所の陣取り合戦で、
  予算の争奪戦を繰り広げる中央集権型、
  縄張り争い予算編成ではなく、
  財源を思い切って地域に移譲し、
  そして 地域は 住民環視のもとで地域の優先順序で
  税金の使い道を決めていく体制が 必要だと思います。

 ★「国」にはやらなければならない仕事が山ほどある  

  では、国の仕事はなくなるかと言えば、全くそうは思いません。

  ○北朝鮮の核開発問題への対応をはじめとした外交・安全保障政策、
  ○福祉や教育の基本設計、
   具体的には、今の年金制度を根本から作り直すこと、
   文部科学省と教育委員会、
   学校現場の関係を現場重視で組みなおすこと
  ○地球規模での環境・エネルギー・食糧問題への対応方針
  など、

  まだまだ国家として手薄の問題に
  もっともっと 力を注ぐことが求められています。

  地域は地域で、国は国で、
  国民の安全や 未来の世代の幸せのために
  全力を挙げて仕事をする体制、それをつくりあげることが、
  私が申し上げている「国のかたち」の変革なのです。

 
 ☆ おしらせ ☆

  ◆年末国政報告会のご案内
 
   「松井孝治と座談会」

   日時 12月22日(金曜日)18時から
      懇親会は 20時過ぎより別会場にて(実費制)

   会場 京都商工会議所 3F第2会議室
        地下鉄「丸太町」駅 6番出口上

   会費 無料(懇親会は実費を申し受けます)
 
   ご参加の皆様は
       京都事務所 info@matsui21.com 
   または 電話 075(213)6648 FAX 075(213)6645
   までご連絡下さい。
   当日、直接会場へお越し頂いても結構です。


  ◆後援会報送付のご案内◆

   例年、お送りさせて頂いております
   松井孝治の1年間の活動をまとめた「M'sレポート」。
   2007年、1期目の任期・最終年を迎えるにあたって
   これまで5年半の活動を振り返るものとして
   お送りさせて頂きます。

   年末または新年には、ご登録者の皆様の
   お手元にお届けさせて頂きます。
   未登録の方は下記より、是非ご登録下さい。


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  ●京都から、この国のかたちを変える。●
   第151号  2006.12.20 発行  (配信数:1789部)

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<第151号  2006.12.20発行>

     
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