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第153号 2007.2.16
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
本日のメールマガジンは、いわゆる柳沢発言を「枕」に、
地球環境の問題をとりあげようとして 書き始めたのですが、
余りに長文になりましたので、今号では
柳沢大臣発言についての 私の感想のみを書かせていただき、
より本質的な問題については、できるだけ「間」をおかずに
次号にてご紹介したいと存じます。
したがって本号は、次号への「まくら」とお考えください
★柳沢発言について
先月末から柳沢厚生労働大臣の発言が問題になっています。
私は、柳様さんの言葉尻をとらえて ああだこうだと
申し上げるつもりはありません。
しかし、その言葉の背景にある、女性観、人間観には、
疑問を感じます。
女性が子供を産む「機械」や「装置」などという発言は
もちろん論外です。
海外メディアでも報道され、大臣というより政治家・人間として、
明らかな失言だと思います。
本人は陳謝撤回されていますし、
政府も公式に不適切と認めていますが、
私が申し上げたいのは、
柳沢大臣の政治家としての責任感の問題です。
それは、「産む機械」発言に加え、
もうひとつの問題発言といわれている、「健全」発言です。
★「2人目が欲しいと思える社会を」
柳沢大臣は「機械」発言のあと、2月6日の記者会見で
「若い人たちというのは、結婚をしたい。
それから子どもも2人以上持ちたいと、
極めて健全な状況にいるわけです」
と発言されています。
個人的なことですが、私は、妻との間に、
一人ではありますが 子どもを授かることが出来たこと、
自分が子育てに 多くの時間を割けないのに
妻や家族が頑張ってくれていることや、
学校や地域の方々のご支援に、とても感謝をしています。
そして同時に、少子高齢化の折、総人口の維持に
一定数の子どもの数が必要であることもわかります。
また 自分の実体験
(私には兄がおりましたから、一人っ子である
自分の息子のおかれた環境との違いを体験しながら)
からも、子どもにはできたら兄弟姉妹がいた方が
教育上も 望ましいという気持ちも持っております。
だから、柳沢さんの「健全」発言のことを、
本当は、頭から「あしざま」に 言いたくはないのです。
国民の価値観の多様化は 認めるにせよ、
少なくとも、柳沢さんが、
「日本中の、諸環境が許す皆さん方には、
2人以上の子どもを 持ってもらいたいし、
そういう方々を応援するのが自分の役割だ。
できるだけ多くの方々に
2人目の子どもを持ちたいという
希望を持ってもらえる社会を作りたい」
とおっしゃっていただいておれば、
私個人は賛成させていただいておりました。
(もちろん仮にこういう意見であったにせよ、
個人の価値観の多様化への政治的介入だ
というご意見があることは認識しています。)
以前、このメルマガで紹介しましたように、
6年前の私のスローガンのひとつは
「2人目が欲しいと思える社会を」
だったわけです。
★政治家としての責任
しかし、柳沢さんの決定的な問題は、
少なからぬ若者が、2人目を持ちたいと「思えない」状況に
おかれていることを 十分に認識されていないこと、
そして、そのことについてのわれわれ共通の、
政治家としての責任に言及することなく、
2人の子供を持ちたいと思っている若者が
それなりの数存在することを、
単純に「健全」という表現で 表しておられることです。
現実には、日本の中には、
経済的な問題であれ、それ以外のご事情であれ、
ご夫婦やご家族の事情で、
子どもを産みたくても産めない方も極めて多いし、
そうした状況の中で、2人以上の子どもを持ちたいとは、
現段階では「思いたくても思えない」状況におかれた方々が
数多くおられるわけです。
厚生労働大臣の仕事、というよりわれわれ全員の責任は、
出来るだけ多くの夫婦が子どもをもち、
できたら複数持てるような環境を整える 社会制度作りですし、
そのための 多くの社会的障害を 取り除くことだと思います。
そんな状況の下で、
厚生労働大臣をはじめ政治家(私たちを含め)は、
諸環境整備にきちんとした努力をしているかどうかを反省し、
その責任を認識するところからはじめなければならないのに、
「若い人たちというのは、子どもも2人以上持ちたいと、
極めて健全な状況にいるわけです」
とおっしゃるのは、少々おめでたい発言に過ぎはしないでしょうか。
★言葉としての「健全」度
なお、蛇足ですが、広辞苑によれば、
健全とは、
「(1)心身ともにすこやかで異常のないこと。たっしゃ。
(2)ものごとに、欠陥やかたよりがないこと。
堅実であぶなげがないこと」
と表記されています。
皆さんはどのように思われますでしょうか?
何らかの事情で2人目の子供を持ちたいと思えない方が、
すこやかでないとか、欠陥があるとか、
まさかそんな意味で
柳沢大臣も発言されたわけではないのでしょうけれど、
2人の子どもを持ちたいと思うことが健全という表現は、
やはり、少なくとも、
そうした環境を整えるために、
さらに努力を払うべき立場の人間が
使うべき表現ではないように思うわけです。
★しかし、・・・
こう書きながら、しかし、もう少し、視点を国際的、
長期的なものに広げると、
別の疑問がわいてまいります。
人口バランスが逆ピラミッド化したわが国において、
財政システムや社会保障システムの維持を考えた場合、
あるいは、先ほど私が申し上げたように、
家族のありようなどを考えた場合、
夫婦が、できたら2人以上の子どもをもてる社会を築きたい、
そう思うのは自然なことに思えます。
私もずっとそう思っていました。
しかし、
現在の地球規模での環境エネルギー問題や 食糧問題、
その背景にある世界的な人口爆発、
国内的には 各種異常犯罪の多発や 財政急速な悪化や
社会保障制度への不信感の高まりの中で、
2人以上の子どもを持ちたいと思うことは、
本当に自然なことでしょうか、
そして6年前の私がスローガンとして掲げたように、
政府として推奨すべきことでしょうか。
それらを実現するための前提として、
われわれがなすべきことを 忘れているのではないでしょうか?
次号(近日発行)では、映画「不都合な真実」と、
私が尊敬する、松井孝典先生(東京大学教授)のお話を交えながら、
環境・エネルギー・食糧問題、人類のあり方について
考えてみたいと思います。
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●京都から、この国のかたちを変える。●
第153号 2007.02.16 発行 (合計配信数:2846部)
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