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第154号 2007.2.19
「不都合な真実」と「松井孝典教授」の問題提起
皆さん、こんにちは。
松井孝治です。
お約束どおり前号のメールマガジンの本編をお届けします。
本日は超長文です。普通のワードのA4文書にして20ページ分あります。
こういう長文をまとめているときは、
京都府内一円広くてよかった(特にこの時期,北部南部への車での移動が
頻繁でした)、東京・京都の往復もありがたい(笑)と思います。
(何時間もある移動時間にこういう文章をパソコンで打っています)
ここまで長いと読んでいただく皆さんにも半端でないご負担をかけます。
今回のメールマガジンに関する限り、
いわゆる「メールマガジン」だとは思わないでいただけるとありがたいです。
内容の多くを占めるのは、松井孝典教授の1時間余りの講義メモです。
極めて深く考えさせられる分析・ご見識です。
この大「問題提起」に対して、私自身、自分の人生をかけても、
ごくごく部分的にしか対応できないような大課題です。
簡潔に要約できないかとも思いましたが、余りにも、割愛するのが惜しく、
分量が大きくなってしまいました。
ちょっとした読書という感覚でお読みいただくことになりますので、
お願いですから、本当に、お時間がおありの際にお読みください。
では始めさせていただきます。
前号で、私自身が 6年前に
「2人目が欲しいと思える社会を」
をホームページにキャッチフレーズのひとつとして掲載していたと
申し上げました。
現実には、必ずしも、多くの若者は2人目を欲しいと思える状況には
ありません。
そうだとすると、柳沢大臣の言葉の問題だけ責めていても駄目で
(あるいはわれわれにも責める資格がなくて)、
政治家全体が、一体どうしたら、人々が沢山の子どもを持ちたい
と思えるような社会を作れるのかという議論が必要です。
★地球規模で考えると
私は、日本の若者
(私たちより若い世代の方々 と申し上げたほうが正確でしょうが)
の感性は鋭くて、理屈ではなく、感覚的に、日本、そして世界の将来に
不安を感じ、そのことが出生率の低下につながっている面がある
のではないか と以前から感じています。
では何が不安なのか。
財政赤字、年金・医療・福祉制度の将来像が見えないこと。
治安の悪化、雇用の先行き不安、子育て環境の悪さ、などなど。
そうした事柄が日本の事情としてはあります。
そうした問題を解決するためにも、
「鶏が先か、玉子が先か」という話になりますが、
少子化に歯止めをかけなければならないのですが、
若者を中心とした将来への不安感はそれだけではありません。
社会保障制度や財政の問題は、日本や先進国中心の問題としては
極めて深刻な問題ではあります。
でも、地球規模で考えますと、
人口爆発そして経済発展に伴う、
食糧・環境・エネルギー・水などの問題が、
まさに地球上、どの国、地域も例外なく深刻な問題です。
わが国の事情としては、深刻な少子高齢化の状況の中で、
あるいは教育環境の面などで、できれば、一家族2人以上の子どもを
持てるような環境を作るべきだと思いますが、
国際的な、食料、環境、エネルギー、水など
の問題まで視野に入れて考えると、
こうした議論をしている私自身も含めて、
余りにも、現在の人類が自分たちが作り出してきた状況の深刻さ、
特に、未来の世代への責任の重さを痛感します。
そうした中で、
6年前の私がスローガンとして掲げた
「2人目がほしいとと思える社会を」を、政府として推奨するためには。
その大前提として、特に、地球規模でのエネルギー、環境、食糧などの
問題への取り組みが遅れているのではないでしょうか?
これが今回のメールの本題です。
前回のメールが「枕」だと申し上げましたのは、
人類が直面する本質的な危機的状況を前に、
われわれ国会議員は、与野党を超えて、
言葉の問題もさることながら、
本質に立ち至った議論を行わなければならない、
という自戒を込めた問題提起をしたかったというのが、
私の本意であるからです。
そのことを痛感させられたのが、一本のドキュメンタリー映画でした。
★「不都合な真実」について
1月下旬、「不都合な真実」という映画が日本で公開されました。
私は福山哲郎参議院議員のご紹介で、昨年、夜の試写会で
拝見いたしましたが、非常に考えさせられる内容の映画でした。
地球が真に温暖化しているのかどうかについては国際的にも
論争は残っているようですが、このドキュメンタリー映画を観る限り、
議論の大勢は決しているように拝見しました。
私も週に2回から3回は朝、街頭で皆さんに政策を訴えたり、
チラシを撒いたりさせていただいております。
もちろん 朝夕の冷え込みというのは
それなりに厳しいものがあるのですが、
それでも今年の冬などは本当に暖かな朝が多いようにも実感します
(東京ではまだ雪が降っていないんですって?)。
また ゴア前米国副大統領のプレゼンテーション能力にも
学ぶ点は多々ありました。私達が社会全体で環境やエネルギー問題、
生活スタイルの変化に取り組まなければならない点は山積していますし、
まず我々自身の意識を 変えていかなければならないと思います。
そのことを見事に描き出した出色のドキュメンタリーだったと思います。
★ゴア前副大統領の10の提案
映画の内容、説得力は是非ご覧いただいてご判断いただきたい
と思いますが、映画の最後の部分の、
ゴア前副大統領からの具体的な10の提案
◇省エネ型の電化製品や電球に変えよう
◇アイドリングを停止しエコドライブにつとめよう
◇リサイクル製品を積極的に使用しよう
◇タイヤの空気圧をチェックし燃費を向上させよう
◇こまめに蛇口を閉めよう
◇過剰包装、レジ袋を断り、エコバッグを持参しよう
◇エアコンの設定温度を変えて冷暖房のエネルギー節減をしよう
◇たくさんの木を植林し、CO2を吸収しよう
◇環境危機についてもっと学ぼう、
子ども達は地球をこわさないでと両親に言おう
◇この映画を友人に勧めよう
もそれぞれ具体的だし、100%賛同できるものばかりです。
小さな努力でしか大きなものは解決できないし、小さな努力一つ一つが
人間の意識を変えていくと思います。だから、私としてもこの映画を
すべての友人に 心から推薦するようにしています。
★それだけでよいのだろうか
一方で、ゴア前副大統領の献身的な努力に全面的敬意を表しつつも、
私の心の中には、果たして、この運動に協力するだけで十分なのか、
もっと奥深く物事を捉えなければならないのではないか
という思いが 若干生じたのも事実です。
ゴア前副大統領の提案は重要だし、少なくとも それらは100%実施
しなければならないけれど、きっとそれだけでは十分ではない。
日本はゴア提案をより積極的に行うべきだけれど、現在の経済社会、
文化的レベルを維持しながら、一体具体的にどこまでのことを行うこと
が本質的な問題解決になるのか、私自身の中でもまだ、その本質的答え
は熟していません。
少なくとも、現代の豊かさや経済レベルを極力維持しつつ、
地球レベルでの食糧・エネルギー・環境問題に取り組むためには
抜本的な政策パッケージを作り上げなければなりません。
各種の技術開発(松井教授の講演の後半にもその一部が紹介されています)
もありますし、国際的な環境協力もあるでしょう。
また 20世紀型の経済社会制度
「右肩上がり」、「大量生産・大量消費・大量廃棄」
という文明形態(松井教授の言葉を借りれば20世紀型「共同幻想」)
を抜本的に 見直す必要があります。
もっと申し上げれば、物質中心の豊かさや経済至上主義に代わる、
新たな価値観を創造するために、われわれももっと知恵を絞り、
斬新な政策提案をする必要があります。
<本日の本題>
☆★松井孝典教授のお話★☆
しばらく前にはなりますが、惑星環境の問題を、日本で、あるいは世界で
最も本質的に洞察しておられる松井孝典先生(惑星物理学の世界的権威
にして思想家ともいえる方ですが)の講演を、ある勉強会で伺った際の
お話を、読者の皆さまに紹介させていただきたいと思います。
一応こういう形でメールマガジンにご紹介させていただくことは、
松井教授のご了解はいただいておりますが、見出しの付け方、
解釈などで不十分なところも多々あろうかと思います。
誤解を生むような見出しなどがありましたら、
すべて私、松井孝治の責任でございます。
****************************
○印は松井孝典教授のご発言の趣旨。
質問はその勉強会での聴衆からの質問です。
<松井教授ご講演>
★「46億年分の1万年」
○宇宙の歴史137億年、地球の歴史46億年の中で、我々のような
現生人類が今のような生き方を始めて1万年くらい経ちます。
○現在我々は地球システムの中で「人間圏」という構成要素を作って
生きているが、システムというのは必ず駆動力を必要とする。駆動力を
必要とする以上は、エネルギーを必要とする。エネルギーとして何を
利用するかで、人間圏の発展段階は区別できる。
★ストック依存型「人間圏」VSフロー依存型「人間圏」
○現在は、化石燃料を使っている。化石燃料というのは、地球の歴史を
通じて、地球の中にストックされていたものです。ストックに依存し
た人間圏ということになる。
○ストック依存型の人間圏の前は、ではどういう人間圏だったかと言うと、
フロー依存型の人間圏だった。人間圏というものはあっても、
人間圏の内部に駆動力を持たず、地球システムの方の駆動力の上に
乗っかって生活をしてきたような時代である。フロー依存型の人間圏と
呼んでもよいでしょう。
○今、私(松井教授)が言っている、地球規模のシステムというのは、
大気だとか、海だとか、生物だとか、地殻だとか、マントルだとか、
コアだとかが構成要素であるようなシステム。それが地球の内部の、
例えば、放射性元素の崩壊による熱で対流を引き起こし地球システム
全体の循環を生み出している。あるいは、太陽から入ってくるエネルギー
によって地表付近の循環が駆動される。それが、地球システムの
関係性を作っているわけです。
○その中で、我々は、新たに構成要素として、人間圏というものを
作って生きているというのが現在。
イメージしやすい例としては、夜半球の地球を見ていただければいい。
夜半球の地球を見ると煌々と輝く光の海が見える。光の海が見えると
いうことは、我々が現在地球システムの中で人間圏というものを作って
生きていることの一つの非常にわかりやすい例。
このように、宇宙から見ると、地球システムと人間圏というものが
認識できる。
今、我々は、そういう人間圏を作って生きる存在なのです。
○では、人間圏はいつ生まれたのかということになるが、これは今から
1万年前くらい前。そこで先程からの1万年くらいのタイムスパンで
という話になるわけだが、実は、我々が農耕牧畜を始めた時に、人間圏
というものを作り始めたと、地球システム論的に分析すると言えるのでは
ないか。
★農耕牧畜VS狩猟採取
○農耕牧畜の前は何かというと狩猟採取という生き方をしていた。
狩猟採取という生き方は、これは生物圏の中の種の一つとして生きて
いるにすぎない。新しい構成要素を作って生きるわけではない。狩猟
採取と農耕牧畜とで、何がそんなに違うのか。
農耕牧畜は、例えば森林を伐採して農地に変えるという行為を考えて
頂ければいいが、その結果、太陽から入ってくるエネルギーの流れが
変わる。森林と農地では太陽エネルギーの反射能が違うからだ。太陽
エネルギーのどれくらいが地上で吸収されるかを変えるということは、
その流れを変えることになるのです。
○あるいは、雨が降った時に地表が侵食される。侵食される割合は、森林
と農地とでは全然違う。これは、例えば土壌の流出ということで、地表
付近の物質循環流量を変えることである。物の流れを変える。地球とい
う星全体のエネルギーだとか物の流れを変えるというような生き方、そ
れが農耕牧畜なのです。
○狩猟・採集はと言うと、生物圏の中の種の一つとして、生物圏の中の物
とかエネルギーの流れを利用している段階で、これは決定的に違う。
人間圏を作って生きるという生き方を肯定したら、我々が原子力に頼っ
て生きることを、実は全面的に否定することはできない。
地球に優しく生きるのだったら、最終的には狩猟・採集に戻る以外ない。
あるいは人間圏を作って生きるといっても、フロー依存型の人間に戻ら
ざるをえない。
○フロー依存型の人間のイメージというと、江戸時代のイメージである。
しかし、そうやって生きられる人の数は非常に限られる。日本で言えば
江戸時代が3,000万〜3,500万人なので、今の4分の1程度ということに
なります。
★文明の本質
○そう考えた時に、我々とは何なのか。あるいは文明とは何なのか。
例えば、文明というのは、私(松井教授)の言葉で言うと地球システム
の中に人間圏を作って生きるということです。そう考えても、今まで使
われてきた文明という言葉と何の矛盾もしない。資源・エネルギー問題
もあるいは環境問題も全ては文明の問題。
我々が人間圏を作って生きるという生き方を始めた時から必ず起こるべ
くして起こる問題です。それが文明の本質と言ってよい。まず、それが
一つ。
★汚染とは何か?
○もう一つ重要なことは、新しい構成要素を作るということは、システム
を変えるわけで、必ず、我々が今言っている“汚染”という問題が生じ
る。例えば“汚染”があるから人間圏の誕生賀確認でるのだという言い
方もできる。
あるいは地球システムの中に生物圏みたいな新しい構成要素が生まれた
時に、それが地球の歴史だが、必ず“汚染”は起きる。生物圏が生まれ
た時にも汚染が生じ、その汚染物質が酸素。
○それ以外の例としては、例えば、地球に大陸が生まれた時です。それま
で海だった所に大陸が生まれる。大陸が生まれたことによって、海が汚
染される。すなわち、大陸物質が海の中に流れ込む、これがいわゆる塩
分です。今の海には、塩分が3.5%ぐらい入っているのだが、これは
みんなもとは大陸物質です。
★人間圏を作って生きていること自体が悪なのか?
○大陸がないと、これは、全然違った成分と量の塩分になる。大陸が生ま
れた時に実は海は大陸物質によって汚染されたということになる。汚染
というのを何か善悪の悪みたいな捉え方をしていると、地球の歴史とい
うのは悪の歴史になってしまう。極めて奇妙なことになるのだけど、世
の中の環境の議論は、だいたいそういう善悪論が主流を占めます。
○我々は自然を変えてはいけない、変えたことによって生じる変化は悪な
のだという種類の発想です。そんなことを言ったら我々が現状のような
人間圏を作って生きること自体が間違っているということになりませんか。
★生物圏に生きてきた人類700万年と人間圏を形成してきた1万年の違い
○我々は人類という生物種です、人類という生物種は実は700万年以上前
に地球の上に生まれてきました。しかし、現在生きている我々現生人類
はそれ以前の人類とは生物学的には同じだが、実は違う存在なんだと僕
(松井教授)は言っているわけです。
なぜか。700万年に及ぶ人類の歴史のほとんどを狩猟・採集という生き
方をしてきたわけです。これは生物圏の中の種の一つとして生きてきた
ということです。
○しかし現生人類にいたって1万年ぐらい前に初めて人間圏を作った。我
々現生人類は他の人類とは違うということです、地球システム論的には。
○こういう認識を出発点にしないと変な議論になってしまうということで
す。世の中的に流布している、人間も生物の一種だから云々といった感
性的な環境論は、この点を無視して故意にごまかしている。
○我々は生物の一種です。しかし、人間圏という構成要素を作って生きて
いる。生物圏の種のひとつとして単純に生き物として生きているわけで
はない。農耕を行い、環境を変え、地下に埋蔵されてきた化石燃料を燃
やし、急速に地球環境を変えながら「文明生活」を送っている。このよ
うな人間を、生物種の一つとして生きてきた時代の人間と混同してはい
けないのではないでしょうか。
★人間圏を作れるようになった3つの理由
○こういう単純なことを見誤ると、本質からずれた変な議論がいくらでも
できてしまう。地球にやさしいとか、表面的には正しそうに見えても本
質的ではない議論がいくらも存在します。何で我々は1万年前に、人間
圏というものを作って生きるようになったか、僕(松井教授)は三つあ
ると思います。
★理由1 気候の安定化と農耕の始まり
○ひとつは、地球システムの気候システムが変わったこと。1万年くらい
前から実は寒氷期という時代に入った。それ以前には、地球の気温とい
うのはものすごく大きく変動していたわけだが、1万年くらい前から非
常に安定化した。
○年平均気温でいくと変化しても、1、2度で収まる。それ以前はという
と、10年で6度くらい変化するというような変化が何十万年も続いていた。
だから、皆さん地球温暖化で、100年で5度変わるというと、大変だ大変
だと言うわけだが、超長期(地球史)的に見れば驚くべきことではない。
1万年という歴史から見れば驚くべきことだが、地球の歴史から見れば驚
くべきことではない。10年くらいで6度変わるという変化を1万年くらい
前までずっと繰り返してきた。地球の気候というのは、歴史的には、実
はそういうものなのです。
○たまたまどういうわけか知らないけれど、1万年前から急に安定化した。
安定化すると、採集していたモノが、毎年定期的に採れるようになる。
とすると、これを栽培しようと思っても不思議ではない。これが農耕の
始まり、人間圏の始まりです。
○それ以外にも理由があります。700万年の歴史を考えたら、他の人類が
生きている時代に、地球環境が同様に安定化した時代はいくらでもある
わけです。どうして他の人類はそういう生き方を始めなかったのか。
我々の側に何か生物学的な理由があるのです。それをいろいろと考えて
みると、二つある。
★理由2「おばあさん仮説」
○実はおばあさん(閉経後一定期間生存し、子孫の教育を含めさまざまな
社会的活動を行う女性)という存在は、現生人類にしかありません。哺
乳動物にはない、もちろん猿にもいない。700万年の人類の歴史の中で
他の人類にもない。
○どうして現生人類におばあさんが誕生したのか、それは分からない。
分からないのだけれども、化石を見る限り、現生人類だけに存在する。
現生人類というのは16万年ぐらい前にアフリカに生まれたわけですが、
10数万年間同じように狩猟・採集をやっていきたんだけども、その段
階からの時代と比べても我々は違うのですね。
○我々は新石器を開発したり、いろいろなことをしている。例えば、
ネアンデルタール人というのは、そうではない。別の人類なんですけど
も、こういう人たちは新石器とか発明していない。我々が何か特別な理
由があって人間圏を作ったわけです。そのひとつの理由がおばあさん。
○もちろん、ネアンデルタール人にもおばあさんはいません。おばあさん
がいるとどういうことが起こるのか。実は人口増加が起こります。
人口増加が起こるので、アフリカに生まれた人類が短期間に世界中に散
って行ったわけです。これは今から5、6万年前のことです。世界中に
現生人類が住むようになったわけで、それはなぜかというと、その背景
として、人口増加という問題があったのです。
一ヵ所で狩猟・採集をやっていたら生きられる人は決まっています。
人口が増加すれば、どんどん別の場所に移っていかないと生きられない
ということで、世界中に散ったわけです。
いまでも我々はその人口増加という問題に直面している。そうだとする
と、気候が変わって、採集していたモノが毎年定期的に採れるようにな
れば、これは当然栽培しようと思うわけですね。
★理由3「共同幻想」
○それからもうひとつ理由があります。
○我々は言語を明瞭にしゃべれる。これは、おばあさんの存在ほど、化石
みたいな証拠で残らない。それはなぜかというと、喉とか舌の構造に関
係しますからやわらかい。そこで化石として残らないのですが。例えば、
頭蓋骨が残っていると、脳の言語野がどう発達しているか比較ができて
間接的な証拠が得られる。現生人類はそこがすごく発達している。
○言語が明瞭にしゃべれるということは、これはコミュニケーション能力
が高いということ。コミュニケーション能力が高いということはどうい
うことかというと、大脳皮質の中の、ニューロン、神経細胞がいっぱい
あるわけですが、神経細胞がネットワーク化していくことに関係します。
言語が明瞭にしゃべれると、そういうことにつながっていくのです。
すなわち、抽象的な思考ができるようになる。
○非常に簡単化していうと、外界を脳の中に内部モデル化して、我々はい
ろんなことを、人とコミュニケーションしているのです。科学というの
は、先ほども言ったようにあるルールに基づいて投影し、誰もが共通に
内部モデル化できるようなプロセスを経ている。
そうでない場合には、個人的にみんな違ってくる。民族によっても違う。
それこそ、共同体によって違い、それぞれが勝手なことをやる。いずれ
にしても、現生人類は、そういう特殊な能力を持ったんです。
○そのために、脳の中に内部モデルを作れるというか、共同幻想を抱ける
ようになった。ある種の共同幻想のもとに共同体を作って生きることが
できようになった。
食料が増えて、沢山の人が一ヵ所にまとまって住めるようになり、その
人たちがけんかもしないで何かある種の共同体を作って生きることがで
きるようになった。我々は人間圏を作れるようになったというわけです。
○だから、今我々がこれからどうしようかっていうときに、この2つの理
由(おばあさん仮説による人口増加と共同幻想を抱けることによる共同
体形成)は避けて通れないのです。
★長年にわたって人類が培った右肩上がり、20世紀の共同幻想は今日成り
立つのか?
○人口増加があるために我々は、誕生した時から右肩上がりの共同幻想な
んです。これが経済の右肩上がりにつながっているし、あらゆる右肩上
がりの発想につながっていて、これを否定するのは容易なことではない。
我々がなぜ人間圏を作ったのかという根幹に関わっている。
それからもうひとつ、共同幻想という問題について、
○この共同幻想は、正しいとか正しくないかを超えて、民主主義も市場主
義経済も貨幣も、あらゆることがみんな共同幻想です。人間圏を作って
生きるという意味で、20世紀には、それが非常に有効だったということ
です。
○だけど、地球システムの中で人間圏の置かれている境界条件が変わった
時に、じゃあ過去の共同幻想が正しいのかといえばそんなことはないの
です。
20世紀的な境界条件の下ではそれは有効であった。だけど21世紀的な
境界条件の下でね、はたして共同幻想が成り立つのかっていうことを考
えた時には、ほとんど成り立たない。
★ありえないスピードでの人口増加
○一番分かりやすい例を言いますと、20世紀の人口増加というのはだい
たい100年で4倍になっています。50年で倍です。
50年で倍になるという増え方が続いたとすると、そんなことは現実に
は起こりませんが、この速度で人類が増えていった時に、人類の重さ
と地球の重さが一緒になるのに何年かかるかといえば、たかだか2千数
百年でそうなってしまうというような速度なのです。
★20世紀の共同幻想で21世紀を考えること自体がナンセンス
○そういう時代が20世紀だったのです。そんな異常な増え方をした。
だから、20世紀に成立した共同幻想をもとに21世紀を考えるという
ことはナンセンスの極みです。
しかし、世の中で行われていることはそういうことなのです。
そこが今、一番問題です。
○いろんなところで、環境問題から何からいろんな議論がされているけれ
ど、議論が解決の方向に向かっていかない非常に大きな理由です。それ
は20世紀をすべて前提にしているからです。
20世紀的共同幻想をどうするかということから議論しないと文明の問
題は解決できない。
★何を前提にエネルギー問題を考えるのか
○エネルギーの問題に入りますが、この問題も同様で、前提条件をどう考
えるかで、いくらでも異なる結論がでてきます。例えば、原子力はよく
ない、原子力を推進すべきではないとか、逆の結論も出てくる。だから、
どう現状を認識するか、何を前提条件として受け入れるか、そこからス
タートしないといけない。
○これまで述べてきたように、地球システムの中で、我々は、今、人間圏
を作って生きている、しかもその人間圏はストック依存型の発展段階に
ある。
これをこれまでと同様維持していくのかいかないのか。
維持していくとなると、これは絶対に何らかの駆動力を必要とする。
エネルギーを必要とする。
で、エネルギーを必要とする以上、宇宙の究極のエネルギーは原子力で
すから、原子力と関わっていかざるをえない。これを否定することは簡
単ですよ。しかし、それは人間圏をつくって生き、しかも発展し続ける
という前提条件を変えないとあり得ない。
★「時間を早めた」ことで得た「豊かさ」と「問題点」
○そういうストック依存型の人間圏はよくないという議論に与するとすれ
ば、ストック依存型の人間圏の一体何がいけないか?
○それは、地球システムにおける物質循環という意味で、時間を速めると
いうことです。人間圏を作った結果、どうして我々はこんなに豊かにな
ったのか?
それは時間を速めたからです。
○時間を速めた」というのはどういう意味かと言いますと、例えば、地球
における物質循環あるいはエネルギーの流れのスピードを、我々は10万
倍速くしている、だから我々は豊かな人間圏を作ることができているの
です。
○具体的な例でいきますと、例えば、オーストラリアから鉄鉱石を日本ま
で2週間くらいで運んでくる。オーストラリアというのは、もし人間が
そういうことをやらなくても、数千万年先には、いずれ日本列島にぶつ
かるのです。これはプレートテクトニクス的な意味です。
○数千万年を、例えば2百年かけて全部採りつくし移動させるとすると、
例えば2千万年を2百年で行うということで、時間を10万倍速めてい
るということになります。
我々の1年は、人間件を作って生きるという意味ですが、地球の歴史で
いうと10万年に相当する。だから、これだけ短期間に豊かになったので
す。本来はスローなものをファーストにしたから豊かになったのです。
○現在我々が直面している多くの問題は、すべて、この「時間を早める」
という問題なのです。食料だって何だって。あるいはサイエンスだって
そうです。
昨今の技術的なことに偏重した科学技術行政というのは、スローサイエ
ンスを無視している。
○スローサイエンスとは何かという、私がやっているよう科学ことです。
非常にピュアなサイエンスね。これは我々の社会に直接すぐにはフィー
ドバックされない。だけど、例えば、ナノテクノロジーだとか、バイオ
テクノロジーだと、すぐに社会に還元されるわけです。
○あらゆるものの考え方の根源にはファーストにする、速くしていくこと
がある。これをどうするかということを考えねばならない。本当は先ほ
ども言ったように、我々が右肩上がりという共同幻想まで立ち戻って考
えないといけないのだけれども、現状認識をどのような時空スケールか
らスタートするか、さらに前提として何を考えるか、前提をどうするか
によって結論は全然違うわけです。
○今のストック依存型じゃなくて、フロー依存型の人間圏が理想だと思え
ば、それは原子力なんか否定したほうがいい。太陽エネルギーだとか、
風力だとか、そういう生き方。それはもちろん可能なのです
○そのかわり、地球上で100億人の人が豊かには暮らすということはあり
えない。10億人の人が豊かに暮らすというソリューションはありうる。
○その時に、豊かさとは何なのかという問題はあります。豊かさも「共同
幻想」だから。
我々は今のような生き方が豊かだと思い込んでいる。それはそれで悪い
とは言いません。しかし、前提条件をどう整理するかによって、結論は
100%違ってしまうので、そこのところをよく考えないといけない。
★あと100年は持たない人間圏
○今のままいけば、人間圏は100年先まで持たない。
○例えば、今我々が消費している食料、穀物生産量に換算して考えると、
アメリカ的な生活スタイルとして1990年くらいのレベルで比較した時に、
一人当たり年間穀物換算量でだいたい800キログラムほど使っている。
年間の穀物生産量は90年くらいからほとんど変わらなくて、むしろ下
がっているが、だいたい20億トンぐらい。
世界的に流通させる時の効率で考えると実際に消費されるのは生産量
の3分の1ぐらいとして、だいたい現在の先進国人口に相当する我々
が、その暮らしを維持するので一杯だということです。
○これが、例えばインドの水準ですと、一人当たり年間200キロくらいで
す、800キロではなくて。だから、インド並みの食生活をすれば、4倍
くらいの人が生きられる。こういうことが全てスローライフということ
に関わってくる。
★「人間の頭の中」を変えるしかない(カストロ議長が見抜いた本質)
○現在の文明の問題点は、結局、人間の頭の中を変えるしかないのです。
○僕はキューバに地質調査に行っていますが、カストロ議長と会ったこと
があります。カストロ議長と食事を一緒にしている時に、次のようなこ
とをおっしゃっていました。
「先進国は、例えば、援助する時に、ミルクなんかを援助してはいけま
せん、豆乳でやるべきです。」と。
それはなぜかと言うと、まさに今僕が言っているような話です。牛とい
うのは穀物で飼育するわけで、飼料を牛に食べさせ、その牛から牛乳を
搾るわけですから、もとの豆乳で換算しますと何分の1かになってしま
うのです。
栄養価値が豆乳と変わらないとしたら、豆乳そのものを援助したほうが
よっぽどいいということになる。
○頭の中の発想をそういうように変えていかないと成り立たないのだけれ
ど、物事を考えるときに、この前提条件を変えるということは本当に難
しいのです。
○これは21世紀に、人類がどんな「共同幻想」を抱けるかということです
が、ある種の宗教のようなものだから難しい。
★石炭ガス化発電の重要性
そこでエネルギー問題の中で多分過去の識者の方がおっしゃった点で抜け
落ちているだろうと思うことをひとつ申し上げます。
○それは、石炭のガス化発電です。
これは中国だけではないのですが、アジアを含めて、経済発展していく
と必ずエネルギーを必要とする。
そのエネルギー源の中で一番多いのは何かっていうと、中国の場合は石
炭です。
○アジアの国々が、原子力を利用できないとすると、結局は石炭に頼らざ
るをえないですね。石炭には、硫黄分の量によって良質なものと悪質な
ものとある。中国産のものは硫黄分が圧倒的に多い。これを燃やすと、
大量のSO2が出る。あるいはCO2が出るということになる。それをどう
するかということが世界的に大きな問題になる。
○ちなみに、今現在でも、中国はCO2の排出で世界第2位だし、SO2は
世界1位です。これが日本に酸性雨として降って来る。今よりもっとひ
どい状況が起こります。
○わが国の安心・安全戦略を考えた時には、中国からこういう汚染物質を
出させないということが重要です。その時に、石炭を一回ガス化してや
ると、これは熱効率的な意味でも、あるいは排出物を低減するという意
味でも、非常に大きな効果があるのです。
○こういう技術開発を中国と共同でやっていく。これは石炭をガス化して
発電するという話ですが、これは昔日本が国策としてやっていたのです
が、現在は行っていない。
○もっと重要なのは石炭ガスです。発電ではなくて。石炭をガス化して輸
送する。
先程も言いましたけど、中国の場合には、鉄道網が整備されていないの
で石炭を掘っても有効に利用できない。輸送手段が未整備です。鉄道網
がない代わりに何が発達しているかというと、実はパイプ網が整備され
ている。そういうものを使えば石炭の有効利用につながる。
○この辺の問題がエネルギー絡みで、日中であるいはアジアでという枠組
を考えた時に、日本にとっても非常に大きなメリットがあるんじゃない
かと思います。
★核燃料サイクルについて
○原子力に関して言えば、ウランの可採年数というものを考えた時に50年
未満です。先ほども述べたように、人間圏は、駆動力としてエネルギー
に頼らざるをえない以上、最終的には原子力に頼らざるをえない。その
時に、ウランの再利用というか、1回燃やしたものから出てくるプルト
ニウムを取り出し、利用していかない限りこの年数を延ばすということ
はできないわけです。
○そうだとすれば、現実の人間圏を今可能な技術で維持しようとすれば、
核燃料をサイクルさせて使うということ、これは避けて通れない。
○現在の人間圏(文明)のスタイルを維持する限りは、これはいずれアジ
アだってどこだってみんな原子力に頼らざるをえなくなります。原子力
や核燃料・廃棄物を処理するという能力をどこかの国が持っていないと
混乱してしまう。
そういう意味でもわが国はこの技術を大切に進展させていく必要がある
と、僕(松井教授)は思っているのです。先に申し上げた人間圏(文明)
の前提を全部認めるのなら、絶対に必要な技術です。
○同時に中国やアジアの問題を考えた時に、石炭のガス化、あるいは石炭
ガス化発電、この技術もまた大いに発展させていかないといけない。
今現在、石炭ガス化発電は実証試験段階にあって、これはこれで進んで
いるのですけども、こういう技術をもっと世界的視野で発展させていく
ということを考えないといけないだろうと思います。
○私(松井教授)は、科学者の立場から、現在の人間圏(文明)を前提と
して何が求められるかを申し上げたところです。あらためて申し上げま
すが、今の人間圏(文明)を認めるか認めないかは、別問題です。
その点まで見据えた問題解決が、世界の政治的リーダーに求められてい
ることは言うまでもありません。
<質疑応答>
★なぜ核融合でなく、原子力なのか?
質問)
究極のエネルギーは原子力であってそれを利用せざるをえないとい
うことを先生は言っておられるんですけども、ちょっとここでは論理の飛
躍があるような気がして、例えば、究極の宇宙のエネルギーの原子力とい
うのは、さっきの核融合だと太陽ですよね。じゃ、なぜ我々は太陽の核融
合を利用しないで我々の身近にあるところの原子力というのを利用すると
いうことにするのでしょうか。
○それは非常にいい質問です。
実は、エネルギー的に考えれば、核融合の方がずっといい。従ってそれを
やろうとしているのですよ、日本だって。核融合を使って発電しようとし
ているのだけれど、これはこれで、実は容易ならざる問題があるのです。
○太陽というのは圧力で、というか重力ですね、内部のものを閉じ込めら
れるのだけども、核融合に必要なプラズマ状態をどう閉じ込めるかという
のが大変な技術で、まあそれをいろいろと実験しています。しかし、現実
的な技術になるのにはまだだいぶ先の話です。
それまでどうするかという話ですよ、原子力は。今日は核融合まで話を進
めなかったのだけども、それがひとつの理由です。
○それからもうひとつ付け加えておきますと、地球そのものが原子力発電を
やっているということです。地球という星自体が。発電という言い方はお
かしいかもしれないけれど、原子力の熱(核分裂エネルギー)で、地球シ
ステムが駆動されているわけです。
だから別に地球の上だったら原子力発電にそう本質的に重大な問題がある
わけではないだろうということです。
○というのは、核融合を地球でやるということは、太陽を地球に持ってく
るということですから、これは地球にとってとんでもない熱汚染が起こ
るわけです。もし、核融合が実現したら、我々の欲望は無限ですから、
いくらでもエネルギーが取り出せるとなったら、地球は、今議論されて
いるような環境問題ではないレベルの重要な問題に直面します。
○すなわち、熱汚染ということになると、今議論している温暖化とかとは、
もう異質の問題です。欲望をどう制御できるかという問題をクリアしな
いかぎり、おそらく核融合なんて手にしたらえらいことになります。
それで、あえて、今日は、僕(松井教授)は核融合までは言わなかった。
原子力にとどめた。
○江戸時代というのは、日本列島に降り注ぐ太陽の光とそこに降る雨の量、
それだけであらゆるものを作っていたんです。閉じた格好で、それを利
用して生きていた。それがスローライフということです。
そういう利用の仕方はね、そういう生き方をゴールにするのならその可
能性はあります。しかし、それではこの国に3000万から3500万人しか生
きられない。
○入射するエネルギー密度みたいな量を上げようと思ったら、地球の周り
に例えば反射鏡を並べて沢山太陽のエネルギーが日本に降り注ぐように
するとか、太陽光発電みたいなものですよね、そうすれば増やせますよ。
だけど、それはファーストライフにするということなんですよ。スロー
ライフじゃないんです。
★ゴール(目標、生き方、国のあり方)を何にするか抜きにエネルギー
政策は語れない
質問)
ファーストといった時に、いきなり原子力発電という形じゃなんじゃない
でしょうか、ということ。究極のエネルギーが原子力であるならば、地熱
あるいは太陽でも核融合・核分裂という形の中でいろいろとエネルギーが
出てくるのであれば、それを利用するという形のファーストもあるんじゃ
ないでしょうか。
○それはありうるのだけれど、例えば、東京近郊みたいに3000万人が住
んでいるところで、地熱でも、風力でも何でもいいですよ、それだけ
でエネルギーはとてもまかなえないわけです。これだけの高密度人口
や経済を集中的に維持するためにはね、現時点では、化石燃料か原子
力しかない。
○そういう1000万人規模都市をやめにします、30万人規模都市で、循環
した都市システムを考えますというのなら、それはそれでできます。
○先ほどから述べているように、ゴールを何にするかによって議論は違
うということです。今置かれている状況を是として、で、どうするのか
という議論をする以上はそうならざるをえないと言っているだけです。
その前提条件を変えれば、いくらでも議論はできます。
○どのぐらいの人口の都市を考えるのかによっていろいろな経済の仕組み
を考えることは可能です。
東京周辺みたいな3000万人規模の人口集中地域を、既存の自然エネル
ギーだけでまかなおうというのは、これは原理的に無理なことです。
○ドイツなんかが結構環境政策が進んでいるというのは、基本的に大都市
がないからです。大部分が30万人規模の都市なんです。
これはずっとさかのぼってその根源を探れば、ヒットラーが、実は環境
というものを考えたからとも言えるのです。環境問題とは、全体主義と
関わっているところがあるんです。
○先ほどから言っているように、前提を変えたらいくらでも議論は成り立
つんです。そこのところを間違えてほしくない。日本での議論を見てい
ると、そこのところを、みんな適当に都合よくつまみ食いしちゃって、
理想的なソリューションがあるかのように言うんで議論が発散しちゃう
んだけれど、何を前提として議論しているのかというところをきちっと
明確にすると、もうちょっと収束していくと思います。
そうしたことが政治家の役割だと、私は申し上げているわけです。
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ここまで読み進んでいただいた方、特にありがとうございます。
☆以上が、松井孝典先生の講義録を、この場での引用のご許可をとり、
内容については松井教授にお手数をおかけして、
一通りのチェックはいただきましたが、
見出しなどは、私、松井孝治の責任で整理してまとめたものです。
それに伴う誤解や不備等がありましたら、
私、松井孝治の責任とお考えください。
☆確かに、「不都合な真実」はいろいろなことを考えさせてくれる
ドキュメンタリーではあります。
☆米国にとって、特に、ブッシュ政権にとって、もっとも「不都合な」真実
であるのでしょうけれど、程度の差はあれ、日本にとっても、世界中の
ひとびとにとっても、「不都合な真実」であると思います。
☆こうした真実に「蓋(ふた)」をすることなく、現状の生活を大きく
変えない中でも、一人一人の市民が、意識を変えながら、地道で小さくと
も努力をする必要がある。その点、全く賛成ですし、アル・ゴア氏の
政治活動に敬意を表したいと思います。
☆しかし、松井教授のご講演を併せて読み込むと、
・そもそも地球上で人間圏を構成して生活している人間とは地球にとって
どのような存在であるのか、
・生物種として人間が今行っていることはどのような意味を持つのだろうか、
・我々は未来の世代に何を残し、今そのために何をなすべきであるのか、
・現在のような文明形態、都市への人口集中を放置していてよいのだろうか。
・前提条件としての、人間の生き方を見直すことがまず必要ではないか。
・われわれは以上の問題を視野に入れたエネルギー・環境政策の大きな
転換を成し遂げつつあるだろうか?同様に、食糧・水政策を基本に
立ち返って考えているのであろうか?その点にこそ、政治や行政に携わる
人間は力点を入れるべきではないか。
さまざまの問題意識が頭をよぎります。
☆世界終末時計は23時55分
米国の雑誌”Bulletin of the Atomic Scientists”が管理する
いわゆる”Doomsday Clock(=世界終末時計)”は
現在、23時55分を指しています。
2002年は7分前だったのが、2007年に5分前に進んだ。
(5 minutes to midnight)
時計が進んだ理由は:
「世界は第二の核時代の際にたっている。
米ロは数分以内で核攻撃を開始でき準備状態にあり、
北朝鮮は核実験を行った。国際社会は、イランが
核爆弾の獲得を計画していると懸念を強めている。
気候変動は人類にとって深刻な挑戦となり、
生態系へのダメージはすでに随所で見受けられる。
洪水、破壊的な嵐、旱魃の増加、南極北極での
氷雪の融解。こうした現象は生命、財産の損失をもたらしている。」
とあります。詳しくはコチラをご覧ください
☆終末時計と趣旨は違いますが、松井教授のお話で
46億年前に地球が誕生してから、今の瞬間までを1日とすると
生物種としての人類が生物圏に生き始めた700万年前は、23時57分49秒
人類が現在の生活を開始した1万年前は、23時59分59.8秒
になります。いかに人類の存在が地球の歴史の中で最近のものかがわ
かります。
松井教授がおっしゃるように、仮に、我々がこれまでの20世紀的発想や
行動原理のままで生きる前提で、人間圏が、あと100年持たないとす
ると
人間圏に生きてきた人類の歴史1万年を一日とすると
今は23時45分36秒
生物圏に生きてきた人類の歴史700万年を一日とすると
現在は23時59分59秒
ということになります。
☆「不都合な真実」が提起する問題を、さらに松井教授のお話のスケール
でかみしめればわれわれが現在、大きな歴史的転換期、危機的状況の中
で生きているという大切な事実が一層明らかになります。
☆我々政治家が、まずこの事実を厳粛に受け止め、人間の生き方を見直し、
今必要な技術の振興やさまざまな食糧政策、環境エネルギー政策、人口
対策、海外協力に邁進しなければならないし、是非とも読者お一人一人
にもよく考えていただきたい問題です。
☆本日は、この長い、メールマガジンを最後までお読みいただき、本当に
ありがとうございました。
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●京都から、この国のかたちを変える。●
第154号 2007.02.19 発行 (合計配信数:2846部)
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