第157号  2007.4.16

  皆さん、こんにちは。
  松井孝治です。

 ★統一自治体議員選挙は前半戦から後半戦へ

  統一自治体選挙前半戦が終わり一週間がたち、
  後半戦に突入しました。

  わが京都府・京都市の民主党は、得票率を大幅に伸ばし、
  議席も若干増加させましたが、
  残念ながら複数擁立区の共倒れなどもあり、
  得票率の大幅増ほどには議席増を獲得できませんでした。

  特に惜敗した同僚・先輩・後輩の皆さんや
  その支援者の皆さんには 
  なんとも残念な結果となってしまいました。
  それにしても 多くの方々のご支援には
  極めて勇気付けられました。

  私も、連日、早朝から、夜遅くまで
  演説会回りをいたしておりましたので
  (前半戦だけで街宣車の乗車や演説会の参加は
   延べ100箇所近くに及びました)、
  声はガラガラになり、終わったと思った瞬間
  風邪をひいてしまいましたが、今では回復し、
  統一選後半戦に向け、今度は京都府南部を中心に
  予定者の活動の支援に走り回っております。

 ★また「骨抜き」! 政府与党の天下り規制案

  ところで先週の金曜日に、政府の天下り規制案が
  政府・与党間で合意されたようです。
  渡辺大臣の言動には一部期待も持っていましたが、
  結果的にはそれは見事に裏切られました。
  (この種のことは 私が議員になる前後から日常茶飯ですから、
   特に渡辺議員のことを 悪く言うつもりもありませんけれども、
   「またか」という感じです)

  片山虎之助自民党参議院幹事長が
  「なかなかよい案である」と
  まんざらでもない表情を されていたことからもわかるように、

  この案では暫定期間経過後(遅くとも4年以内には)、
  現行の不十分な「天下り」規制
  (2年間は関係民間企業に再就職できないこと)も解禁され、

  「官民人材交流センター」を通じて、
  退職翌日から正々堂々と天下りをあっせんする、
  「天下り解禁制度」となるのです。
  天下りのお目付け役である人事院の事務方の一部には、
  直言居士の中島総裁あたりが現役でいらっしゃれば、
  こんな案には激しい抵抗をしていただいたのに、
  今の人事院では 何も言えないといった嘆き節もあるほどです。

 ★オールジャパンの天下り紹介センター構想

  塩崎官房長官は、
  各省庁が自分の役所の出身者を斡旋することはない
  とおっしゃっていますが、

  この新センターは
  「退職勧奨を行う人事当局からの依頼も受け付け」、

  新センターの職員は、
  各府省の「人事当局等とも必要に応じて協力するものとする」
  と明記されております。

  天下りを受ける側から見れば、
  所管官庁も含めた日本政府全体から
  天下りの斡旋を受けるわけですし、
  各省庁ガ事務的に下準備をするわけですから
  これまでと、実質的には大差はありません。

  要するに、
  各省庁と新センターとの関係は密接に保たれており、
  個別企業や団体に この人物をと、根回しをしておいて、
  最終手続きだけ、人材バンクを通す
  ということにもなりかねません。

 ★出口も入り口も各省庁、
  ゆりかごから墓場まで面倒を見て育てる「省益意識」

  余談ですが、
  採用の際も、本来の採用担当は人事院の一括ですし、
  人事院の共同初任者研修 と言うのもあるのですが、
  実質的には 人事院試験の成績も参考にしつつ、
  各省庁が面接をして 採用を行うのです。
  採用の入り口における人事院、
  そして 卒業の出口における人材バンク(交流センター)
  という形になれば、
  一応 出入り口の形式的なトンネル機関を 経由するだけで
  各省庁からみれば面倒くさくはありますが
  痛くもかゆくもありません。

  結局のところ、各省庁が人材を採り、人材を育て、
  老後まで人材の面倒を見る という気風に
  変化は 余り期待できないのではないかと考えます。

 ★「名を捨てて実を取った」霞が関

  結局、霞が関は「名を捨てて実を取った」
  ということになります。

  すなわち、
  これまで役所の人事異動(勧奨退職などにともなう退官)が
  6月下旬が多かったというのは、
  2年間は関係民間企業には再就職できないが、
  2年を経過したらその「禁」が解けるから
  という理由が主たるものでした。

  しかし、今回の「公務員制度改革」により、
  この不十分な民間への天下り規制も、
  おそらく2,3年の後には撤廃されるので、
  その後は人材バンクさえ経過してしまえば、
  翌日から、民間企業でもどこでも就職できるわけです。

  官僚にとっては「肉を切らせて骨を絶つ」
  というような解決策かもしれません。

  政府は、事後規制で 
  天下り官僚の口利きなどは厳しく処罰するといっていますが、
  前号でも申し上げましたように、
  そもそも天下った本人が 証拠を残すような形で
  口利きをするなどというようなケースは
  これまでもほとんどありませんので、
  これもザル法になることはほぼ間違いがありません。
  (わが党の新しい天下り規制法案でも 口利き禁止規定など
   行為規制を置いていますが、
   この点の構成要件の難しさは同じです)

 ★何故、国家公務員の再就職には特別に税金を使うのか?

  渡辺大臣は、「新人材バンク(官民人材交流センター)」
  の天下りあっせん対象に
  非営利法人も加えたと自信満々ですが、
  要するに、民間企業だけでなく、各種非営利法人にも
  堂々と日本政府として天下りをあっせんする、
  そういう国家公務員専用人材派遣サービスに
  税金を使うということにほかなりません。

  一般の納税者同様、国家公務員もハローワークは使えるし、
  民間にも 同種のサービスを提供する企業もありますが、
  国家公務員にだけは、
  新人材バンク・官民交流センターによって、
  税金を使って 特別の再就職支援を受けられるわけです。

  しかも、よほどのことがない限り
  定年までの身分保障がある公務員について、

  事務次官を頂点としたピラミッドを維持するために
  勧奨退職を継続するために、
  何故、センターを設置して再就職支援を行うのでしょう?

 ★要は年功序列ピラミッドの維持のための大量の税金投入?

  解決策はあります。
  これまでのように 年功序列で高額の給与を保証することなく、
  しかし、定年まではスタッフ職などという形で
  雇用を保証すればよいわけです。
  局長や次官はその職務に応じた給与は必要でしょうが、
  その職務を降りれば、一専門職としてそれなりの給与で、
  退官まで専門性を生かして働いてもらえれば、
  人件費の膨張は避けられますし、
  官僚のやりがいも阻害されません。

  今や、民間企業は言うに及ばず、県庁や市役所でも、
  自分より若い上司の下で働くのは常識ですが、
  依然として霞が関だけは、部長級から局長級、事務次官へと
  同期が昇進するにつけ、
  自分の組織の風通しをよくするということで、
  民間企業や、外郭団体に人を押し込んでいる実態があり、
  それが、回りまわって、そうした団体への補助金の交付、
  高額の事業発注、官製談合、無駄な事業の継続
  につながっていることは 私が毎回指摘しているとおりです。

  要するに、天下り制度の維持には、
  新センター設置運営のコストに加え、
  定年まで職員を雇用していた場合の人件費の
  何百倍もの無駄な補助金や
  公共発注が行われていることを忘れてはなりません。

 ★天下りを「公認する」政府案VS天下り禁止の民主党案

  天下りあっせんを、政府で一箇所にまとめても、
  以前からずっと申し上げたとおり、
  各省庁の協力を得てこれを運営する限り、
  こうした天下りの悪弊は是正されるどころか、
  むしろ天下りに「お墨付き」を与えられることになり、
  大問題です。

  われわれ民主党案は
  (1) 天下り禁止対象を民間企業のみならず、公益法人、
    特殊法人、独立行政法人など非営利法人にまで拡充する
  (2) 天下り禁止期間は現行2年を5年間に延長する
  (3) 公務員は 自己都合で退職する場合を除き
    定年まで働いてもらうこととし、場合によっては定年延長や、
    民間でも行われているような 退職後の再雇用も検討する
  (4) 官民交流など 外部登用はこれを積極的に実施し、そうした
    方々の民間などへの復職の場合などは 弾力的に認め、
    その代わり、第三者機関が過去の地位利用などを監視する
  (5) 従来 法定されていなかった地方公務員や
    一部外郭団体からの 天下りも規制対象に加える。

  といったものですから、
  政府与党案のように、ただでさえ甘い現行天下り規制を解禁し、
  オールジャパンの 天下り推進バンクを作るという発想とは
  正反対であることを 申し上げておきたいと存じます。

  なお、この問題について、
  政府与党案を作らされている現役の官僚からも、
  なぜ このような無意味な案に労力を割くのか
  嘆き節が 聞こえて参ります。

  繰り返し読者の皆さんに申し上げたいのは、
  私が、官僚バッシングの一環で
  こういうことを 申し上げているのではなく
  本来、天下国家のためにという気持ちで奉職した 
  官僚の本懐を遂げるためには 今の天下り制度は 
  その誇りや威信を傷つけているのではないか 
  と思うからなのです。

 ★問題は、官僚の専門的知識の薄さ 
            −海外の親友からのメール−

  ところで前回のメールを読んで、私の長年(学生時代から)の
  友人(現在国際機関赴任中の中央官僚)から、
  次のようなメールが参りました。

  要するに 日本の官僚には 諸外国の官僚に比べ
  政策的知識の深みに欠ける為、
  天下りという組織的あっせんがなければ
  再就職先が見付けられない方が多い
  という事態を嘆いているメールです。

  ご本人の許可を得て引用させていただきます。

〜〜〜〜〜
> ちょっと以前になりますが「溝畑君」の話や、最近の一連の
 天下り規制の話、興味深く拝見しました。「天下り」の件は
 いわば貴兄が一番よく知っている点であり、貴兄の考えに大
 筋で賛成ですが、ちょっとコメントしたくなりました。

> 現下の「天下り問題」の底流には、役人(特に中央省庁)の
 役割の抜本的な変化があると思います。一昔の先輩は、政治
 家を「動かす」ということを生きがいに仕事をしていました
 よね(貴兄の挙げた「官僚たちの夏」など)。我々が補佐ク
 ラスだった頃も、まだそういう雰囲気が残っていたと思いま
 す。しかし、今日、政治主導が定着して、役人は「指示され
 る」立場ではあっても、「動かす」立場からは遠くなってい
 ると感じます。(政治家である貴兄には釈迦に説法だと思い
 ますが。)特に当地に出張にくる課長クラスなどを見ている
 と悲惨です。大臣の食事の世話とか、議場の席取りとか、
 まったくくだらない仕事に忙殺されています。(時の大臣の
 お人柄にもよりますが、昔よりひどい気がします。)

 ≪(松井註)これは単なる議場の席取りとか食事のお世話とい
  うことを通り過ぎた、大臣の個人的な嗜好への過度の対応や
  省庁間の縄張り争いなどを指し示しているものだと思います≫

> よい悪い、好き嫌い以前に、これは不可避の流れなのだと思
 います。民主主義の制度の下で、役人が政治家を「動かす」
 というのはやはりおかしな現象です。しかし、だからといっ
 て役人が不要になるわけではないのは当然です。高度に複雑
 な現代国家はtechnocratなくして動かないのですから。
 問題は、今日の日本の役人は、もはや「政治家の黒子」とい
 う存在でもないし、さりとて真の意味のtechnocratでもないと
 いう中途半端な存在なのだと思います。過渡期にあるといっ
 てもいいのでしょう。

 ≪(松井註)tecnocrat=専門技術・知識を持つ行政官
  といった意味でしょう≫

> 欧米で政治家(大臣クラスを含む)が役人に期待するのは知
 見です。といっても「ロジ」の知見とか、「根回し」の知見
 ではありません。(もちろん、組織ですから最低限のロジや
 根回しはありますが。)「サブ」についての知見です。

 ≪(松井註)「ロジ」とは会議の席次を決めたり、会談の
  アポを取ったり、食事や各種日程(視察的なものを含む)
  のアレンジをしたりすることです。
  要するに政策や交渉の中身(「サブ」)ではなく、
  日程などの段取りといったところでしょうか。≫

> しかも、大臣自身セミプロが来る(米国の歴代USTR代表
 や国務長官、ECの貿易委員などを想起するとよい)ので、
 生半可な知見では駄目です。この点、日本の役所のレベルは
 甘いですから、「君も就任1年でプロになったねえ」などと
 お世辞を言いあってお互いにその気になるようでは全然駄目
 です。(最近は少しマシになった役所もあるようですが。)

> ご承知のとおり、欧米では日本のような意味での「天下り」
 はありません 。役人を退職すると、本人の知見を買ってくれ
 るところに(あるいは自分で売り込んで )
 いわばマーケット・ベースで就職するわけです。日本の現下
 の「天下り」議論が紛糾するのは、日本の役人の「知見」は
 市場では売れないことが多いからです。法令策定の技術、予
 算獲得のノウハウ、各省協議の技術、はたまた「詰める」技
 術などというのは、民間ではたいした値段では売れないのは
 当然です。それを、人材バンクだろうが各省だろうが、
 なんとか「斡旋」しようとするから無理が出るわけです。

 ≪(松井註)日本の官僚で出世する人間の優れた技能は、
  いかに予算獲得のために知恵を絞れるか(多くの場合
  その後使い物にならない予算)、いかに省庁間の権限争議
  に強いか、いかに政治家への説明がうまいか(うまく丸め
  込んで自分の役所の利益を通してくるか)などですので、
  ほとんどの場合、民間では役に立ちません。
  そもそも、いくら東大を優秀な成績で卒業して、いろんな
  予算の獲得や権限折衝などに強くても、お客さんの顔も
  嗜好も知らない、社員にどのような能力を持った人間が
  いるかも把握していない、
  かといって、欧米の官僚のように、
  知的財産権や国際経済法等々についての専門的知識なども
  希薄な人材が そんなに簡単に民間で売れるわけがない
  ことは明らかです。
  天下りを取る方は巨額の補助金や発注、そして規制のお目
  こぼしなど その人物というよりその人物が所属していた
  組織からの「お土産」を期待しているのは当然でしょう。≫

> 他方、米国のように「技術屋」(ローヤーなども技術屋と
 呼ぶとして)のみが役人になっては良くない、という議論
 も理解できます。そうであれば、政権交代が不可欠です。

> 一党がずっと政権を担っている一方で強力な「黒子」たる
 役人の存在を許すのは、まさに政官の癒着や役人のモラルの
 低下につながります(昨今の官製談合問題など)。
 政権が時々変わることこそが、役人が有効に政治家を補佐
 しつつ、出過ぎず、腐敗せず、変に跋扈しない最大の
 「予防薬」だと思います。
             後略
〜〜〜〜〜

 ★結論は政権交代、そして政界再編

  ということで、わが友人の現役官僚の意見でも
  やはり公務員制度を本格的に変えるためにも、
  政権交代のために頑張れという激励に行き着きました。

  今回の騒動で、渡辺喜美大臣や塩川官房長官の発言に
  若干でも期待した私もおろかであったかもしれませんが、
  彼らの発想に 私が本日申し上げてきた問題意識と
  共通する部分があることも事実です。

  私がずっと批判し続けている、極めて不透明な
  「政府与党内調整」というもので完全に骨を抜かれた
  天下り規制ですが、
  能力・実績主義など評価できるものもあります。

  途中まで、よい発想で走っていても、
  第4コーナーを回ったあたりから、
  族議員と古い官僚の連合軍によって改革案が骨抜きにされていく、
  いつもの、この姿を見るたびに、
  やはり政権交代と、それに伴う政界再編が必要と痛感する
  今日この頃です。

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  ●京都から、この国のかたちを変える。●
   第157号  2007.04.16 発行  (配信数:2847部)

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<第157号  2007.4.16発行>

     
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